官僚(国民からの行政の受任者)の犯罪備忘録

議員の犯罪と官僚の犯罪とはその性質が酷似しているように思う。いずれも国民全般の利益よりは自己に利益をもたらしてくれる個別の者への利益供与であり、地位を利用した公の私物化である。以下は、行き当たりばったりの記事の羅列であり、その取捨選択の基準もなく、重要なものを網羅してもいないが、近年の忘れがたい官僚の犯罪の一部を備忘録としてとどめるものである。 なお、文中の茶色文字は筆者が書き加えた部分であることは前節の場合と同じであり、やはり原文と区別して読まれたい。

天下り 外郭団体「温床」
3900団体に2万人以上 衆院調査 規制に穴、公表も限界
(出典:2006年2月16日、朝日新聞朝刊)

 中央省庁から公益法人や特殊法人など外郭団体の役職員として天下り・出向している国家公務員は、05年4月時点で、3987団体、2万2093人に上ることが、民主党の要請に基づく衆院の調査で分かった。これらの団体への補助金は年間約5兆5400億円(05年度)で、文部科学省の場合、省の定員を上回る天下り・出向者がいた。政府は02年から課長級以上の単年度の新規の天下りは公表しているが、外郭団体への天下りの全体像が判明したのは初めてで、公表制度の限界も示した形だ。(向井貴之、丹内敦子)=4面に関係記事

 国家公務員法は、離職後2年間、退職前のポストと密接な関係にある営利企業に再就職することを原則禁止している。だが、特殊法人など外郭団体への天下りや、外郭団体から民間企業への天下りは規制の対象外で、外郭団体を経由した「迂回」が可能となっている。今回の調査で明るみに出たのはこの外郭団体への天下りの実態だ。
 民主党が国政調査の下調査とされる「予備的調査」を昨秋の特別国会で衆院に要請していた。調査対象は、元国家公務員が、@公益法人A独立行政法人(身分が国家公務員である法人は除く)B特殊法人・指定法人C国家公務員共済組合D国から補助金などの交付を受けている法人Eこれらの法人から出資を受けている法人−へ天下り・出向した総数と、それらの法人への国の補助金。
 政府は課長級以上の幹部に限定して天下り先を公表しており、04年8月から05年8月では1206人分。だがそれも単年度に限っているため、退職者を除く累積で天下りの実態がどうなっているか全体像が分からなかった。
 民主党によると、今回の調査では、現行法で天下り規制のない@からCに、天下り・出向者が特に多いことが判明したという。また、同党が調査結果を分析した資料によると、天下り・出向者のうち約4割の8884人が外郭団体の役員になっていることも分かった。
 省庁別で最も天下り・出向役職員が多いのは国土交通省で、全体の4分の1強にあたる5762人、ついで厚生労働省の3561人。文科省の場合、天下り・出向した役職員は2260人で、職員定数の2208人を上回った。外郭団体に国から投入されている補助金も、文科省が2兆1588億円で突出している。大学の独立行政法人化で本体のスリム化などが進んだことが天下りを際立たせた。
 民主党は規制対象に公益法人や特殊法人を含めるとともに、天下りの規制期間を退職後5年間に延長する「天下り規制法案」を今国会に提出しており、今回の調査結果をもとに、強く成立を求める考え。国会審議で規制や監視の論議が高まりそうだ。
 これに関連し、安部官房長官は15日の記者会見で、規制期間の延長には慎重な姿勢を見せたが、「天下り等については国民から疑いの目を向けられないようにしっかり対応していかなければならない」と語った。



外郭団体への天下り文科省2260人、現役超す
省庁調査 主要な再就職先 民間委託も助長

(出典:2006年2月16日、朝日新聞朝刊4面)

キーワード 予備的調査制度
 衆院議員が国会質問などの下調査として、基礎データを請求する制度。97年12月、国会法や衆院規則の改正で創設された。
 委員会の議決か、40人以上の議員の要請で委員会が命令し、国会職員が、官公庁に資料の提出や意見の開陳、説明などの必要な協力を受けて報告するが、強制力はない。国民の基本的人権を侵害する内容や、刑事訴追中の事件についてはできない。過去に原子力発電の単価や中央省庁の事務事業などがある。
 天下りを巡る今回の衆院調査は、中央省庁OBの再就職先として、かねて抜け穴と指摘されてきた外郭団体への天下りの巨大さを裏付けた。中央省庁から関係法人への天下り・ 、出向者は2万2千人を超え、国立大学の法人化で職員数が大幅に減った文部科学省では、現役職員数を天下りOBの人数が上回るという逆転現象まで現れた。小さな政府路線に基 づく民間委託も天下りを増やす一因となっている。(磯貝秀俊)=1面参照

 省庁別の天下り役職員数が5762人と最大だった国交省。同省は「6万3千人と職員数が多いからにすぎない」(人事課)と説明している。
 同省の天下り先の団体数も790で、文科省にが、次いで2番目だ。旧運輸省関係の団体が多く、全体の244団体が地方運輸局傘下だという。社団法人である「トラツク協会」や「バス協会」などへの天下りが目立つ。
 国交省によると、04年8月から1年間に退職した幹部(企画官以上)304人のうち半数以上の 173人が財団、社団の両公益法人と独立行政法人に再就職した。再就職先として公益法人などが主要な位置、を占めていることが分かる。
 一方で天下り先への補助金の額では、文科省の約2兆2千億円が群を抜く。その大半が私学助成など学校法人向けだという。同省の天下り先も上位10法人のうち6法人が学校法人で占められている。民主党幹部は「補助金の交付先と天下りとの関係を今後、解明してい きたい」としている。
 一方、同省の職員定数2208人に比べ、天下り役職員が2260人と多いことについては「国 立大学職員を含めて13万人いた職員が、国立大学の法人化で減った」(人事課)と説明している。本体のスリム化が進み、かえって天下りの多さが浮き上がった格好だ。
 業務の民間委託が天下りを増やす原因となっているケースもある。
 例えば法務省傘下の財団法人「民事法務協会」は、天下りの役職員数が773人と一団体として最も多い。同省は「登記簿管理のコンピューター化を進めるために、法務局OB400人をお願いしている」(民事局総務課)としている。
 防衛庁で最も多い307人の役職員がいるのが財団法人「防衛弘済会」だ。各基地・駐屯地にある食堂などの「隊員クラブ」の運営や雑誌の発行が中心で、「結婚相手紹介サービス」に入会する際の助成(05年度予算400万円)まで受けている。理事の陸海空将をはじめ役職員307人のほとんどは自衛隊OB。「隊員を相手にするのでOBのほうがやりやすい」(同会)と言う。


Initially posted August 16, 2003.Updated May 24, 2006