国土交通省官僚(国民からの行政の受任者)の犯罪備忘録

文中の茶色文字は筆者が書き加えた部分であることは前節の場合と同じであり、やはり原文と区別して読まれたい。



国土交通省編目次

  1. 水門談合 17億円課徴金 公取委二十数社に命令へ
    (出典:2007年1月23日朝日新聞朝刊)
  2. 国交省談合 地方ごとの窓口一本化 受注の調整スムーズに メーカー依頼
    (出典:2007年1月19日朝日新聞朝刊)
  3. 「談合防止」裏で癒着 国交省、天下り連綿と
    (出典:2007年4月18日朝日新聞朝刊)
  4. 国交省の官製談合認定 公取、防止法を適用 省庁初水門工事に関与
    (出典:2007年1月18日朝日新聞朝刊)
  5. 水門談合「元技官も関与」 メーカー説明 旧建設省退職後
    (出典:2007年1月17日朝日新聞朝刊)


[水門談合 17億円課徴金 公取委二十数社に命令へ]
(出典:2007年1月23日朝日新聞朝刊)

   国などが発注した水門工事を巡る談合事件で、公正取引委員会は独占禁止法違反(不当な取引制限)にあたるとして、石川島播磨重工業(東京)などメーカー二十数社に総額約17億円の課徴金納付を命令する方針を固め、各社に事前通知した。談合を自主的に申告すれば課徴金を免除したり、減額したりする制度も適用し、一連の談合を最初に申告した三菱重工業(同)の課徴金は全額免除するとみられる。

 通知を受けた各社は意見を述べたり、証拠を提出したりすることができ、公取委はこれらを踏まえ、処分を決定する。 関係者によると、談合が行われていたのは、国土交通省が発注したダム用水門と河川用水門に加え、同省所管の独立行政法人・水資源機構と農林水産省が発注した水門工事の計4分野にわたる。

 日立造船、JFEエンジニアリング、川崎重工業なども課徴金納付命令の対象になるとみられる。公取委はこのほか、談合の再発防止などを求める排除措置命令も各社に行う方針だ。

 課徴金減免制度は昨年1月施行の改正独禁法で導入された。最初に談合を申告した企業は立ち入り検査前ならば全額が免除され、2番目は50%、3番目は30%が減額される。昨年摘発された旧首都高速道路公団のトンネル換気設備工事談合で初適用され、三菱重工、石川島播磨、川崎重工の3社が減免を受けた。

 今回の水門事件も、三菱重工に加え、立ち入り検査後に公取委に協力を申し出た社が課徴金を減額されるとみられる。

[国交省談合 地方ごとの窓口一本化 受注の調整スムーズに メーカー依頼]
(出典:2007年1月19日朝日新聞朝刊)

 国土交通省発注の水門工事をめぐる官製談合事件で、公正取引委員会が官製談合防止法の適用方針を固めた本省の元課長補佐らを中心とする談合システムができる以前は、メーカーの談合組織が同省の地方建設局(現・地方整備局)ごとに別々の同省OBらを窓口にしていたことが関係者の話で分かった。メーカー側はその後、窓口の一本化を要望し、その意向に沿う形で談合システムができあがったとみられる。発注者の同省側が談合に関与した動機として、「天下り先の確保」が指摘されている。

 公取委もこうした経緯を把握している模様で、談合に加わった計二十数社に排除措置命令や課徴金納付命令を出す準備を進めている。
 今回の疑惑で中心的な役割を果たした疑いが持たれている同省建設施工企画課の元課長補佐は、01年に中部地方整備局の機械課長から異動。04年に退職するまで、近畿局発注分を除く全国の河川用水門の工事全般やダム用水門の更新工事に絡み、石川島播磨重工業、三菱重工業、日立造船が交代で務めた業者の「世話役」に落札業者を指定するなどしたとされる。
 近畿局発注分では、同局の元機械施工管理官(故人)が同様の役割を果たしていたという。
 しかし、関係者によると、かつては地域ごとに業者の談合組織との窓口役が存在。多くは各地方建設局で機械課長などを経験し、業界に天下ったOBらで、業者側が落札予定社を報告するなどして、官側の意向を確認していたという。
 01年ごろ、受注調整をスムーズに進めるため、窓口を一本化する動きがあり、当時の世話役が中心となり、影響力の強い地方建設局OBに相談。その結果、元課長補佐らに集約する仕組みになったという。
 国交省では、ダムなどを担当する土木系が技術官僚の主流で、元課長補佐らのように機械関係を専門とする技官は立場が弱かったと言われる。
 元課長補佐らはOBを受け入れているメーカーに発注を多く配分していたとされる。
 大手メーカー関係者は「談合の指示を本省で集約するようになったのは、立場を強め、機械関係職員の天下り先を確保する狙いがあったのではないか」と指摘している。

16社50人 天下り先確保か

   朝日新聞社が01〜05年度の水門設備受注額上位20社に国交省出身者の在職の有無を尋ねたところ、回答のあった16社で計50人を採用していることが分かった。天下り批判にもかかわらず、発注側と業界との深い結びつきが続いている。  16社中、国交省OBが「在職していない」と答えたのは1社のみで、10社が複数人の天下りを受け入れていた。6人を受け入れている石川島播磨重工業(受注額1位)は「高度な技術的知見に基づいて助言を受けている」と、OBの技術面での貢献を強調する。  地方の企業には地域での発注事務を受け持つ出先機関からの天下りが目立つ。2人が在籍する西日本の受注上位企業は「OBがいた方が、指名競争入札の指名に入りやすいという感覚がある」と漏らす。  官製談合の発覚が相次ぐ中、OBの受け入れを「見直す」としたのは15社中6社。地方企業を中心に、「仕事が増えるわけでないなら馬鹿馬鹿しい」といった声が広がる。

[「談合防止」裏で癒着 国交省、天下り連綿と]
(出典:2007年1月18日朝日新聞朝刊)

 談合に深くかかわっていたのは、談合防止を主導すべき巨大官庁の側だった。水門設備工事に絡む談合問題で、公正取引委員会は17日、国土交通省に対し中央省庁として初の官製談合防止法の適用を決めた。天下りした元幹部による「天の声」も明るみに出た。同省は2年前に官製談合防止策をとりまとめたばかり。今後求められる自らの手での実態解明と再発防止策に、幹部らからは「この上、何をすればよいのか」と戸惑いの声も聞こえてくる。

 「公取委に指摘されてからでは遅すぎる」。冬柴国交相は、国交省が自ら調査するよう指示。安富正文事務次官をトップに入札談合防止対策検討員会が設けられ、17日に初会合を開いた。
 検討委は幹部14人で構成。この日の初会合では、疑惑を指摘された元職員にも事情を聴くことを確認し、アドバイザーの大学教授や弁護士からは、入札制度の問題も検討するよう求める意見が相次いだ。
 国交省は、旧建設省時代の93年のゼネコン汚職を機に、談合防止策に取り組んできた。一般競争入札への転換を進めたり、入札情報の公開を義務づけたり、自らを入札改革の先導役と位置づけ、自治体にも対策を求めてきた。それにもかかわらず再び、談合防止策を求められる事態に。

 「官製談合防止策は2年前に打ち出した。その効果も確かめないうちに、この上どんな対策をとればいいのか」「ただでさえ厳しく見られがちな公共事業に不信の目が注がれる。まじめにやっている職員が情けない思いをしている」。そんな嘆きの声も幹部らから聞こえてくる。

28年前の教訓生かさず

 水門工事では、公取委が79年にもメーカー37社に対し、談合組織をつくって建設省(当時)などの発注工事で談合していたとして独禁法に基づく勧告を出した。石川島播磨重工業や三菱重工業など、今回と同じ会社が多く名を連ねていた。
 公取委で長く審査に携わり、79年の事件の処理にもあたった鈴木満・桐蔭横浜大学法科大学院教授は、今回、現役時代を含む国交省OBの関与が指摘されている点について、「退職後の天下り先を確保することが狙いだ」と言い切る。「OBを採ってくれた企業に確実に『みやげ』を渡すには、入札は形だけで実質、随意契約にする必要がある」
 79年の事件後、建設省が流した情報で業界団体が全国のダム工事を割り振っていた疑惑が国会で追及され、当時の建設相が「遺憾の意」を示したこともあつた。
 鈴木教授は言う。「公取委は内部告発がないと動けない。振り返ると、象の足を小鳥が触っているにすぎなかったと感じる。不文律で省庁が天下り先をあっせんする構造は今も続いている」
 01〜05年度の水門工事受注額上位20社のほとんどが、国交省出身者を受け入れている。天下り批判は絶えないものの、発注側と業界との深い結びつきをうかがわせる。
 西日本の受注上位企業は「OBがいれば、受注が有利になると思って受け入れてきた」と明かす。
 OBの受け入れ見直しを進める動きむ出てきたが、西日本のメーカーは「役所の方から要求があった揚合に断れるかどうか・・・」という戸惑いをのぞかせる。

一問一答 元技監「受注業者名 挙げたことない」

 水門談合への関与が指摘された豊田高司・元技監は、朝日新聞の取材に関与を否定。山口甚郎・元国土地理院長は「お話しできる時期が来れば話す」と明言を避けた。

 豊田元技監との一問一答は次の通り。
○業者の指定に関与したと指摘されている。
□国交省の調査を受けた時に話す。それまでは発言を控えたい。
○基本的に関与していない、という主張か。
□そうです。ありません。
○業者が賀詞交換会などであいさつに来ることがあったというが。
□はい。そういう時には得意な分野があれば頑張ったらいいんじゃないですか、と言っていた。
○それ以上は。
□言っておりません。
○相手は受注の了承を求めてきたのでは。
□それは、どう取られたかは分かりません。
○豊田さんから受注業者名を挙げたことは。
□まったくありません。そういうことは。

排除勧告を石播も受諾 下水道ポンプ談合

 東京都発注の下水道ポンプ工事の談合事件で、公正取引委員会は17日、排除勧告に応諾せず審判で争った14社のうち石川島播磨重工業(東京)が独占禁止法違反を認めて勧告を受け入れる申し出をしたことを明らかにした。公取委は同日までに裁判の判決にあたる同意審決を出し、同社の同法違反が確定した。同事件では昨年10月にクボタ(大阪市)に同意審決が出ており、2例目。

[国交省の官製談合認定 公取、防止法を適用 省庁初水門工事に関与]
(出典:2007年1月18日朝日新聞朝刊)

 国など発注の水門工事の入札を巡り大手メーカーなどが談合を繰り返したとされる問題で、公正取引委員会は17日、国土交通省の元課長補佐ら2人が現職当時に談合に関与したと判断し、官製談合防止法を適用することを決めた。この2人の関与について国交省側に伝え、改善措置を求める。同省発注の水門工事ではまた、ダム用の新設工事で、旧建設省(現国交省)の技術系トップの技監などを歴任した幹部らが退官後、談合に関与したと認定する方針を固めた。業者に対する排除措置命令などに元技監らが談合で果たした役割などを盛り込むとみられる。

 官製談合防止法が中央省庁に適用されるのは初めて。国発注の公共工事予算の8割を握り、談合防止を他省庁や自治体に要請する権限を持つ国交省自らの談合への関与が濃厚になっただけに、批判は免れず、同省が進めている入札制度改革への信頼も揺らぎかねない。

 関係者によると談合への関与の疑いが持たれているのは、同省建設施工企画課の元課長補佐と同省近畿地方整備局の元機械施工管理官(故人)。

 元課長補佐は01年に中部地方整備局機械課長から本省課長補佐に異動したが、04年4月に退職するまで、近畿局発注分を除く全国の河川の水門工事全般やダム用水門の更新工事について談合に関与。石川島播磨重工業、三菱重工業、日立造船が2年交代で務める「世話役」から、落札予定社の報告を受けて了承したほか、落札業者を直接指示したり、天下った同省OBを介して伝えたりしていたとみられる。  近畿局発注分については元管理官が業者との窓口になっていた疑いがある。

 公取委は昨年3月、三十数社を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査し、元課長補佐からも聴取。元課長補佐は、大筋で談合への関与を認めたという。  公取委は、落札業者の指定が全国的、組織的に行われた可能性がある点を重視した模様だ。

 これとは別にダム用の水門新設工事の談合に関与したとされるのは、豊田高司・元技監(70)と山口甚郎・元国土地理院長(71)。2人の関与は退官後とされ、現職の関与を対象とする官製談合防止法は適用されない。山口元院長は01年ごろまで受注業者決定にかかわり、豊田元技監が引き継いだとされる。業界の世話役が過去の受注実績などをもとに落札予定社を決め、2人の承認を得ていた疑いがある。豊田元技監は95年に技監就任。96年の退官後は国交省所管の財団法人理事長などを務めている。山口元院長は90年に国土地理院長。91年の退官後は財団法人理事長などを務めた。

 国交省の安富正文事務次官の話
事実関係を公取委から聞いているわけではないが、徹底的に調べたい。

官製談合防止法 03年1月施行。

@談合の明示的な指示A受注者の指名B予定価格などの漏洩(ろうえい)を、国や地方自治体などの職員の「入札談合等関与行為」とし、こうした行為があった場合、公取委は発注機関に改善措置を要求できる。発注機関は調査結果と改善措置の内容を公取委に通知するとともに、関与した職員に故意・重過失があれば損害賠償を求めなければならない。これまで北海道岩見沢市、新潟市、旧日本道路公団の3例に適用。関与した職員への罰則(5年以下の懲役か250万円以下の罰金)を盛り込んだ改正法が昨年12月に成立。>

[水門談合「元技官も関与」 メーカー説明 旧建設省退職後]
(出典:2007年1月17日朝日新聞朝刊)

 国などが発注した水門工事で大手プラントメーカーなどが談合を繰り返したとされる問題で、メーカー側が公正取引委員会の調べに対し、旧建設省(現国土交通省)ナンバー2で技術系トップの技監などを歴任した幹部らが同省を退職後、談合に関与していた、などと説明していることがわかった。公取委は既に元幹部らから事情を聴いている模様で、談合の詳しい仕組みなどについて詰めの審査を進めている。

 国交省も事務次官をトップに第三者の専門家が助言する調査委員会を設置し、OBの関与の有無を調査する。  関係者によると、談合に関与した疑いが指摘されているのは、技監経験者と地方建設局長(現・地方整備局長)などを経て退職したOB。いずれも河川局を中心に勤めたキャリア技官だった。

 談合は国交省、農林水産省、独立行政法人の水資源機構がそれぞれ発注した水門工事で繰り返されていたという。国交省発注分は大規模なダム用の水門ゲートと河川用の水門に大別されるが、このうち2人はダム用の新設工事で談合にかかわったと指摘されている。

 局長経験者は01年ごろまで、受注業者の決定に関与したとみられる。その後、技監経験者が引き継いだとされる。  業者側は石川島播磨重工業、三菱重工業(いずれも東京)、日立造船(大阪市)が交代で業界の「世話役」を務めていた。世話役は業者側が談合で決めた受注予定社を報告し、了承を得ていた疑いがあるという。2人の側から修正を求めたり、特定の業者を指定したりしたケースもあったとみられる。

 朝日新聞の取材に対し、技監経験者は談合への関与を否定したが、業者のあいさつを受けたことはあり、「そういう時には得意な分野があれば頑張ったらいいんじゃないですか、と言った」などと説明。業者名の指定は否定した。  局長経験者は「お話しできる時期が来れば、話す」などとしている。

 国交省発注の水門工事を巡っては、河川分野で元課長補佐らが談合に関与したとされ、公取委が官製談合防止法を適用するかどうか、近く方針を打ち出すとみられる。  同法は現職職員の関与を対象としており、技監経験者らは退職後に談合に関与したとされることから、同法の適用対象にならない。審査を通じ、業者間に2人が関与した談合の取り決めがあったと認定されれば、公取委は業者に対する排除措置命令などに2人の役割や関与の仕方を盛り込む可能性がある。

Initially posted July 1, 2007