わがまま温泉日記 四万温泉 しま 四万温泉へはJR吾妻線中之条駅バス40分

四万たむら
http://www.shima-tamura.co.jp/
住所 群馬県吾妻郡中之条町四万温泉新湯 〒377-0601 Memo:
一泊二食 \15,000
ビール中 \780
電話 0279-64-2111
営業期間 通年
泉質 四万たむらの湯@含砒素Na・Ca-塩化物・硫酸塩泉 83℃
滝の湯@Na・Ca-塩化物泉 pH5.5(含砒素弱食塩泉)
岩根の湯@Na・Ca-塩化物・硫酸塩泉
翠の湯@含砒素弱食塩泉 70.5℃
計1600L/分 (データは未だ整理中です)
旅行日 03/04/04












坂道のぼる宿
草津ホテル
仙郷楼
俵石閣





予約に際し
お値段を聞いてみたら\23,000というのだ。やはりウワサ通り高いな〜。でも箱根より高いのは変だぞ?
思い切って「もっと安い部屋はないんですか?」と尋ねてみると、あるじゃないのよ!手頃な部屋が・・・
このご時世、高い部屋から売りたい気持ちは分からぬでもないが、相場を知らない初心者が、八千円も余計に支払う羽目になったら、そりゃ、可哀想。
かつてワタシは、その可哀想なクチであったと断言できる。



塩之湯飲泉所の泉質表示
明治湯@含砒素-Na・Ca-塩化物・硫酸塩泉(含石膏食塩泉)78℃

四万温泉 正面に見えるのが四万グランドホテル 霧積温泉までの山道で泥だらけになったクルマは、まるで雲上のスカイラインをすべるように、中之条から四万温泉を目指して走る。四万川ダム建設に合わせて整備されたのだろうが、道路の快適さは、それこそ雲泥の差。
 R383の快適舗装道路の最奥に、水を湛える奥四万湖。あの山の向こうが苗場なんだな〜と、見やった視線を眼下に落とす。湖水は緑色っぽい一風変わった色なれど、別段、藻が大発生しているわけでもなさそう。
 途中、日向見(ひなたみ)という温泉地があり、四万の病を癒すとお告げのあった「御夢想の湯」こそ、四万温泉発祥の湯だという。「万病に効く」なる効能書きには食傷気味だが、その4倍もの病を癒すとあれば、草津のお湯でも不可能な、恋の病も治せるかもね。

たむら玄関 田村坂と命名された坂道を上っていくと、入母屋造りの茅葺き屋根の上部がまず見え、全体像が徐々に姿を現す仕掛け。坂道のぼる一歩一歩に期待感の高まりを感じてしまう。
 谷間の樹林に沈みこむ秘湯の一軒宿も捨てがたいのだが、広大な宿の敷地の坂道のぼってお宿に着くのも好きだなぁ。所詮、ワタシは「おのぼりさん」さ!
 重厚な構えの玄関先には、屋号とともに「温泉宿」なる木札が掛かり、五百年もの伝統と、温泉宿としての心意気が見て取れる。のではあるが、「四万たむら4日間」などというパッケージツアーを歓迎する立看板が何とも目障り、雰囲気壊す。

畳敷きのフロント 母屋の造りを活かしたせいで、意外に狭くて驚くほどのしっくり落ち着くフロントに比し、館内ロビーは明るく広々、浴衣姿の宿泊客が交差する。若い女性スタッフが多いせいもあり、老舗旅館特有のお高くとまった風などいささかもなく、活気に充ちる。
 金涌館の8畳和室に休処のつく部屋は、お値段以上の好印象で満足できる。やはり「お高く泊まった」ところなし。

塩之湯飲泉所 四万温泉の名物といえば温泉納豆。お土産コーナーでも5パック500円で売ってはいたが、やはり、テレビにも再三再四登場の電気屋さんの温泉納豆。
 全長200mばかり、線状に伸びる小さな温泉街を散歩するなら、すぐに見つかる。話のタネにとお土産用に買ってきた。5パック400円也
 この温泉街には飲泉所もあり、もちろんお湯に浸かるわけにもいかず、一口ひしゃくで口へと運ぶ。食塩泉といっても、今夜のお宿「たむら」を始め、塩味の感じられないものが多いなか、ここのは少し塩辛い。

大浴場「甍(いらか)の湯」
露天風呂「森のこだま」
幻の湯「竜宮」
檜風呂「御夢想の湯」
庭園露天風呂「甌穴(おうけつ)」
金涌館「岩根の湯」
花涌館「翠の湯」

 もちろん、「想い出つづり湯めぐりの旅」なるスタンプ帳を350円で購入し、温泉グッズを携えて、意気揚揚と田村坂を下ったのではあるが、積善館など、ほかのお宿のお風呂にも入れるものかと思ったは、ワタシの単なる早合点。世の中、そんなに甘くない。シマッタ・・・。
 「たむら」と「四万グランドホテル」の、十もあるお風呂を巡った記念のスタンプにしか過ぎないのだが、悔しさ紛れにせっせとスタンプ、押して回った。それにしても、こんなにお風呂があると、目が回ること請け合いなのだ。一泊では、到底足りない。

半露天風呂「森のこだま」 参番湯「森のこだま」は半露天。さすが人気で、芋の子を洗うような状態。どうやらグランドホテルからの泊り客が多いようだ。朝なら空いてるだろうと踏み、七番湯「岩根の湯」に向かう。
 先客はたったの一人で、いいわね〜なんて駄洒落は決して言わねぇ。岩根というから、岩がゴツゴツしている風呂かと思いきや、タイル貼のけっこう古くからある浴室。泡風呂、打たせ湯、蒸し風呂と、バラエティに富んでいて、その一つ一つをゆっくり楽しむ。
 パンフレットによると、このお湯が四万温泉発祥のお湯とのことではあるが、にわかには信じられない。なぜって、この地は「新湯」だよ! もちろん、仲居さんにも「なぜ新湯って呼ぶんですか?」と、質問だけはしてみたが、「この宿は古いんですよ。でも、新湯って、新しいお湯ですもんね・・・」と、一向要領を得ず、逆に、妙に納得されてしまった。

総檜風呂「御無想の湯」 木風呂の好きなワタシにとって、五番湯「御夢想の湯」は外せない。掛け湯の湯箱があるのみで、洗い場の設備がないのが心地よい。そもそも、洗い場などというものは、お湯そのものを楽しみたい者にとっては、無用の長物。身体を洗い流す音、シャワーの飛沫、シャボンの匂いと、いずれもお湯を味わう上では挟雑物にほかならない。
 熱めのお湯と檜の香りに包まれて、夢見るような「御夢想」、「虚無僧」、「混むぞう〜」の湯。いまだ、修行が足りないようだ。

四万湖と同じ緑のお湯が湧いたという「翠の湯」 湯船の枠が丸太ながら、底板の下から気泡とともにお湯が湧くのが蔦温泉と似ていることもあり、八番湯「翠の湯」には、夜中、二回も浸かりに行った。ワタシはけっこう気に入っているのだが、朝風呂含めて三度が三度、誰にも会いはしなかった。みんな「森のこだま」に行ってるんだろうな〜。
 「甍の湯」同様、浴室内にはクロロフィル臭とでも形容すればよいのだろうか? 微かに匂いが鼻腔をかすめる。塩素に代わる新しい消毒液の残存臭かと思ったけれど、母屋の前の飲泉所でも同じ匂いのお湯が湧く。食塩泉などと一くくりにしてはいけない。個々の源泉はそれぞれ個性を有しているのだ。

甍の湯 ところで、ここでは疑問も湧くよ。四万温泉といえば、源泉温が高いのに、なぜにここだけ42℃の適温の湯が、湯船の真下から湧いてんだかね〜。多分、蔦温泉風のお風呂にしたかっただけなんじゃないの? そういえば、「甍の湯」はジェットノズルからの底面吐出&玉砂利タイルで、法師温泉風だもんね。
 池波正太郎なら、鬼平にきっとこう説教させるだろう。「物真似ってのは、薄っぺらくていけねぇや。」 なぜって、独創性はもちろんのこと、何の合理性も必然性も認められないのだから。

湯ートピアホール四季 照明にも贅を凝らした、湯ートピアホール四季にて、食事はいただく。配膳係の若い女性がテキパキと動き回る。そんな光景、目にするだけで、夕食の鮮度だって一段アップ。
 夕食の目玉は何といっても上州牛のすき焼き。お肉が柔らかくって、けっこう上質牛なのだ。わが家ではダンナの持病を慮って、すき焼き・しゃぶしゃぶ料理がめっきり減った。これ幸いとペロリ胃袋収納、健康に気遣っているフリをして、ダンナの分まで頂戴しようと目論んだとき、お鍋はすっかり空だった・・・。
上州牛のすき焼きがメインの夕食 ビールをついでもらうのも、やはり若い女の子によるお酌の方がオイシイのだろう。痛風のことも考えず、ゴクンゴクンと飲んでいる。そういえば、ワタシはお酌なんてしたことがない。だから、正確には、手酌よりはおいしいと言うべきだろう。で、ワタシのお酌と比べたら、やっぱり若い娘のお酌を選ぶんだろうけどね。

 朝食も同じホールにてバイキング形式。洋食の品揃えが充実している。これって意外にも、温泉ホテルのバイキングとしては異例中の異例に属する。しかも、手垢にまみれた感なく、鮮度の高さに食欲増進。

ニホンカモシカと接近遭遇 翌朝、目覚めると降りしきるザラメ雪。もちろん半露天にて雪見風呂。なかなかいい絵を楽しめた。
恵まれた森の緑と、豊富な湯量で源泉掛け流しのお風呂。それに、11時チェックアウトという設定もお客に優しい。
 しかも、ここ「たむらの森」では、特別天然記念物ニホンカモシカに遭うことだってできるのだ。駐車場で出会ったときには、一瞬クマかも? それしかないぞ! と腰が抜けそうになった。若草を食んでるだけだと分かったところで、その巨体には圧倒されて、クルマの陰にかくれてバチリ一枚。次なる瞬間、カモシカの姿は失せて、クルマの泥も消えていた。

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