平成23年度以降の入学者選抜方法等のあり方の検討についての要望書


2008年11月17日

千葉県教育委員会
教育長 佐藤健太郎 様

「日本語を母語としない親と子どもための進路ガイダンス」
実行委員会委員長 長澤 成次

 日頃より、千葉県教育の発展のために尽力されていることに敬意を表します。

 私たちは、千葉県に住む「日本語を母語としない親と子ども」を対象に進路ガイダンスを実施してきました。これは、ボランティアと教員が手を携えて、千葉県教育委員会や各市教育委員会等の後援を得ながら、日本の教育システムや千葉県公立高等学校の選抜方法の説明、高等学校の紹介等を行うものです。

 初回の2002年度は、日本語を母語としない中学生・既卒生の参加が30名、その保護者等が32名でしたが、7年目を迎えた2008年度は中学生・既卒生127名、保護者等が141名に達しています。そして、その中学生・既卒生のうち約72%の91名が来日3年以内のものたちです。

 昨年11月16日に千葉県教育委員会教育長等は「外国人の子供に関する教育の充実に関する要望書」を文部科学大臣に提出されましたが、義務制の児童・生徒たちだけでなく高校進学を希望するものに対しても「教育の保障」が求められていると、私たちは考えています。

 そこで、私たちは平成23年度以降の入学者選抜方法等について、以下の点を十分検討されることを要望します。

1.外国人の特別入学者選抜を実施する高等学校を増やすこと。

(理由) 現行は、県立幕張総合高等学校、県立松戸国際高等学校、県立成田国際高等学校、柏市立柏高等学校の4校のみで、その数があまりに少なく、物理的にも通学できない生徒が存在しています。このため、地域によっては「外国人特別入学者選抜」の志願をあきらめざるを得ない生徒が多くいます。

2.外国人の特別入学者選抜における入学許可候補者予定人数を明確化し、その予定人数を拡大すること。

(理由) 現行では、外国人の特別選抜入学許可候補者数ははっきりとは示されてはいません。このため、受検生は実際どれくらいのものが合格するかわからない状態で受検しなければなりません。
 また「日本語を母語としない生徒」で受検を希望するものが急増しているにもかかわらず、外国人の特別選抜における入学許可候補者数は長く増加しておりません。このため、最初から外国人の特別入学者選抜、ひいては高校進学をあきらめる生徒が多く存在しているのが現状です。

3. 「日本語を母語としない生徒」への入学者選抜における配慮・対応を行うこと。具体的には「受検時間の延長」や「問題文のルビ打ち」などの配慮・対応を行うこと。

(理由) 現行では「入学者選抜における障害のある生徒等への配慮・対応」がなされ、2008年(平成20年)度では、この制度を50名が利用しています。しかし、「日本語を母語としない生徒」には、この制度が適用されていません。
 すでに、近隣都県では「受検時間の延長」や「問題文のルビ打ち」などの配慮・対応がなされているところがあります。

4.「日本語を母語としない生徒と保護者」を対象とする入学志願手続説明会を実施すること。説明会には言語別の通訳を配置すること。

(理由) 現在、毎年4回の「入学志願手続の説明会」が開かれていますが、通訳が配置されていないこと等により、日本語を母語としない生徒と保護者は十分な情報を得ることができていません。
 また、出身国の教育システムとの違いがあり、他県からの受検者や海外帰国「子女」とは別の説明が必要だと思われます。そのためには言語別の通訳が必要なことはいうまでもありません。

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