ガイダンス主催者交流会 13年の歩みと課題
更新日:2017年1月14日
第37回全国在日外国人教育研究集会・東京大会での報告
※歩みについては、経緯を参照
主催者交流会での成果
地域によって状況は異なりますが、各地で蓄積されてきた様々なノウハウを共有し、共通課題を明らかにしてきました。その結果、ガイダンスの開催地は減ったり増えたりしつつも各地で広がりを見せ、外国につながる生徒の受け入れ枠や支援施策も、少しずつ進んできています。
以前は、日本語教育の団体と教員組織がガイダンス実施団体の大半を占めていましたが、最近は学習支援を行う団体、当事者団体も関わるようになり、第二世代が支援側に立つ状況も各地で見られています。また、会議の内容は、支援事例の紹介だけでなく、制度面の課題も両輪となっています。
2005年の国への提言の他にも、各地で自治体や教育委員会への働きかけを行っており、他自治体での事例が提言・申し入れの大きな武器となっています。また、2016年度には神奈川のNPO法人ME-netが中心となって、県を越えてガイダンス開催の資金調達に挑戦しています。
これまでの主な成果、共有してきたことは、以下のとおりです。
- ガイダンス開催、ガイドブックのノウハウ
- 教育委員会、教員、関係機関の巻き込み方、協働
- 外国人特別枠・特別措置
- 出願資格(在留資格、来日期間等)
- 入学後の支援(学校内、学校外)
- 高校卒業後の進路・キャリア支援
- フリースクールのノウハウ 東京→神奈川→千葉へ
- 自治体、国への提言
- 当事者の卒業生が担い手に
- 自治体間連携によるガイダンス開催資金の獲得
現在の課題
しかし、未だに改善されない課題、新たに浮かび上がってきた課題も多々あります。
- 「外国とつながる子ども」の多様化
→ ニーズの多様化、出願資格の複雑化 - 学齢超過での来日の増加
→ 中学に入れない、出願資格のない子はフリースクールが受け皿に - 地域性やニーズに合わない外国人特別枠、定員内不合格
- 入試制度の改悪
→ 3教科から5教科へのハードル、2回のチャンスが1回に減少 - 日本語・学習支援、母語教育
→ 制度化されているのは一部だけ - 定時制高校の統廃合、中退率の多さ
→ 貴重な学びの場、セーフティーネット - 卒業後の進路と在留資格
→ 「家族滞在」の就労制限 - ブラジル学校卒業生の高校受検資格
→ 集住自治体の多くで高校受検資格がない - 支援者・学校(小・中・高)・教育委員会との連携
- 担い手の固定化、高齢化
→ 15年前とメンバーがほとんど変わっていない
今後も引き続き、行政などへの働きかけを通して、外国につながる子どもたちの進路保障につなげていきたいと考えています。
文責:小林芽里(N-Pocket)、報告:島本篤エルネスト(ME-net)