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03/03/01
皮肉をこめて書いたので、勘違いしないでね。塩素の及ぼす害については「お風呂の科学」をご覧ください。 |
秋山郷は和山温泉という山峡の秘湯からの帰り道、何を考えたか、越後湯沢にて一休み。もちろん、お昼のことしか頭にはない。今日のお昼は、名物、へぎ蕎麦と決めているのだ。
この「へぎ蕎麦」なるもの、つなぎに山ゴボウの葉の繊維と海藻を用いる珍しいもので、いつかは食してやろうと機会をうかかっていた。鉄道高架下の駐車場にクルマを入れて、列に並んで待つこと、小一時間。
で、ふつうの蕎麦と、どこが違うか、ワタシの味らい(味覚を味わう器官)では知覚できない。そう言われればそうなのかな〜という程度。未来永劫分からぬだろう。おかげで、ビールのツマミにたのんだ自家製の漬物ばかりが記憶に残る。
「駒子の湯」なんていうから、「こんまい子」と連想弾み、こじんまりした共同浴場かと思っていたら、立派な施設なんだね〜。内部もピカピカ、浴室だって、ちょっとしたホテルの浴場と見まがうばかり。カランもシャワーもやったら元気。
川端先生! 角巻き姿の駒子が、茶髪でミニスカートはいて現れた感じですよぅ! 先生が逗留執筆なされたという福住楼は、未だ風情を残すのに、小説の主人公だけは勝手に一人歩きして、こんなに立派になっちゃって・・・。
浴室に一歩足を踏み込むと、何ともさわやかな香りただよう。石油臭やら腐卵臭などという有機的な野蛮な匂いではなく、無機物による香りづけが至るところでさり気なく施され、清潔かつオシャレ。これぞ、うわさに聞く塩素の香りに違いない。実にスッキリとしたクリスタルな感覚。
やみつきになったワタシは、自宅でもこの匂いが楽しめないかと考えてみた。わが家のトイレのタンクが最近少々おかしくて、ときどき流れっぱなしになるのだが、塩素臭を楽しみたいなら、シャワーなんかより、こちらの方が断然おすすめ!
秘湯めぐりの多いワタシにとって、こんなにも清潔感あふれるお湯があろうとは、思いもかけずヘナヘナと腰を抜かしてしまったわ。目には涙すら浮かび始める。これがなまった粘膜へ、根性入れるありがたき刺激というものなのか・・・。六根清浄、六根清浄、お題目など無心に唱える自分が見える。
湯船に注ぎ込まれるのは、豊富なお湯。お客のニーズに応える心憎いまでの演出に、圧倒されて二の句がつげない。
さて、実際は、体表面にしみついた和山のお湯を洗い流すの悔しくて、シャンプーだけでオシマイにする。ワタシはかつて同じ経験をしたことがある。どれほど悔しい思いをしたことか・・・。
旅の最後に、ゆったり酔ったりするのはよいが、やったらめったら立ち寄ったりは無定見になすものではない。
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