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人生の指南役

腹部X線写真の読影

最近は診断機器の進歩している。

CTの解像度も優れているし、すぐに撮影することもできるようになってきた。腹部単純X線(X線)は過去の遺物になってしまって、消化器内科医でも腹部単純X線を撮る医師が少なくなってきた。でも本当はX線だけでも多くの情報を得ることができるんだよ。
さっきの僕の講演会のslideはためになっただろう?
「はい、眼からうろこが落ちました。見て下さい、これです!」
君も言うようになったな。
「先生の真似してるだけですよ」
おほん。ところで、頭の中では「見る」ことと「診る:判断する」ことは脳の別な場所で処理しているんだ。実はこれを結び付けることとは結構難しいことらしいんだ。
絵画や音楽など芸術は右脳で論理的な考えや計算は左脳で処理されるっていうだろう?
「えっ、あ、はい」
すなわち、病気のことを文字で知っていても、それを絵(X線)とで判断できるかどうかは別問題。だから、絵(X線)を絵(病気の画像)として認識することが大切なんだ。途中で言葉で翻訳したり解釈する必要はない。
例えば英語を話したり、聞いたりするとき、それを日本語で訳していると、会話は成立しないだろう?英語で考えられるような頭というか耳を作り上げてゆかなければならないんだ。それと同じだよ。
X線の読影はNiveauやfree airがあるから腸閉塞や腸管穿孔があると判断するのではなく、Niveauやfree airという言葉を覚えていなくてもいいから、この写真は大変だ!と思えなくてないけなんだ。
結腸癌で緊急手術になるような写真をみても、消化器を専門としていない医師には診断できないかもしれない。
実際、消化器内科の医師ですら最近は腹部単純X線写真を撮影しない医師が増えている。そのため読影ができない医師も増えている。
もちろん引き続き内視鏡やCT検査を施行して、正しい診断や治療につながればそれで構わない。でも、重篤な疾患を有している患者が重篤な状態であるとは限らないんだ。
先の緊急手術の結腸癌の患者さんだって、救急車で搬入されたわけではない。Walk inで受診しているんだ。大切なことは腹部単純X線写真で、その後の診察にsmoothに移行できることなんだよ。X線ですべてがわかるわけでも、わかろうとしているわけでもない。
腹部単純X線は被爆もcostもかかるわけではないので、腹痛診療における基本であるべきと考える訳さ。
腹部単純X線写真の有用性は僕ら臨床医が一番認識するべきなんだ。放射線医は写真は読めるかもしれないけど、患者さんを診ているわけでない。患者さんを最初に見るのは我々臨床医。その医師がX線を撮って、その所見を考え、次の検査を行い診断し、治療をする。X線を一番必要とするのは患者さんを診る臨床医なのさ。
腹部単純X線は消化器内科だけでなく、患者さんをみるすべての医師、勤務医だけでなく開業医の医師にとっても共通の診療deveice platformなのさ。これを使わない手はないよ!

腹部X線写真の読影