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人生の指南役

最近読書はしてる?

この前の「流星の絆」は泣けたな。君は読んだかい?

「なんですかそれ?」
あれは東野圭吾の作品のなかでもピカ一だから、是非読むといいよ。
僕もたまにしか読んでいなかったけど、最近は東野圭吾に凝っていて、これで14冊目なんだ。ガリレオもいいけどね。
「それなら知ってますよ。テレビでやってましたよね」
・・・そうそう。福山がはまっていたね。

東野圭吾を読み始めようと思ったきっかけは、担当していた83歳のおばあちゃんのお薦めだったんだ。
彼女の病気は膵頭部腫瘍で、徐々に大きくなってきていて、でも良性か悪性か判断がつかなかった。膵頭十二指腸切除という手術は侵襲も大きく、小柄な高齢のおばあちゃんには耐えられるかどうかもわからなかった。外科とも相談して、最終的には患者さんの判断に委ねようということになった。

そのことを伝えると意外にもあっさりと「手術を受けます」との返事が返ってきた。本当に手術を受けるのかいと聞くと。
「癌かも分からない爆弾を抱えることの方が恐ろしい。私は本が好きなので、まだまだ読みたい本がたくさんあるから、もう少し元気でいたい。だから手術を受けます」
実に明快な回答であった。
その彼女が読んでいておもしろいというのが東野圭吾だったのさ。
手術が終わって、元気になったら本の感想を語り合おうねと約束して、手術室に送り出したのさ。

手術の結果は良性だったのだけれど、「癌じゃなくてよかった」と言って元気に帰られた。
本の感想は外来でしようねって約束してさ。

最近読書はしてる?