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人生の指南役

がん回廊の朝

この患者さんはさっきCTを解説したようにすい臓がんの方だ。

放射線治療と抗がん剤の併用でつらい治療を耐えてくれている。でも彼は徒に死を待っているわけではない。来るべき死を遠ざけようと必死に戦っているのだ。

我々はこのような病気を治してあげるなどというおこがましいことを考えているわけではない。
彼らの戦いに力を貸しているに過ぎない。そしてその気持ちが萎えないように、勇気付けてあげることもまた我々の大切な仕事なのだ。彼だって自分の病気のことをある程度は理解しているんだ。それはすでに入院時に話してあるからね。明るい未来を期待しているわけではない。
であれば、せめて一瞬でも晴れ晴れしい気持ちになれるような勇気付けをしてあげようではないか。行く末が永くない患者さんの前で辛気臭い顔していたら、患者さんだって元気になれないだろう。ほんのひと時でも患者さんに生きる喜びを感じてもらえるようにしようよ。刹那的かもしれないけど「今日の顔色はいいねえ」「おいしそうなもの食べてますね」とか。患者さんの横に座ってそっと手をかけてあげる。文字通り手当てをするんだよ。肌と肌のふれあい、血の通ったふれあい。もちろんこころがこもっていなければだめだけどな!

いい顔できたか?ノックするぞ、笑顔を作れ。
「先生の笑顔・・・素敵です!!」
朝から照れるようなこと言うなよ。

コンコン。
「おはようございます」

がん回廊の朝