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ダイヤモンド社のビジネスオンライン情報サイト/第12回原稿

働き盛りのビジネスマンを襲う 本当に怖い病気
下痢から出社拒否
お腹が気になり仕事ができなくなったMさん(40歳)
通勤経路のトイレチェックが日課。しかも洋式便器限定
Mさんは、中堅の電子部品商社のサラリーマン。大事なときに、いつもお腹が痛くなるので通勤経路、営業経路の間にあるトイレチェックは欠かせない。しかも洋式便器かどうかが問題だ。Mさんは子供のときからのクセで、ズボンを全部脱いでからでないと大便ができない。和式便器だとどうしても、スポンが脱ぎにくく用が足せないのだ。普段の通勤時間でも、いつも利用している乗換駅のトイレの個室が気になる。自分は行きたくもないのに、誰も入っていないとなぜか安堵する。
緊張するとお腹を壊してしまう体質を、人生で最初に自覚したのは歯医者の待合室だ。小学生だったMさんは、歯に麻酔の注射をされる恐怖を思って心臓が口から出そうだった。そのドキドキのあとに腹痛がきた。痛みと下痢で歯医者さんの待合室のトイレから一歩も出られなくなってしまった。心配した母と看護婦さんがトイレのドアをノックしても、なかなかお腹の痛みはおさまらなかった。

大学受験と入社試験でも
大学受験の朝でもそれは起こった。前夜から緊張で寝られず、早く自宅を出たのだが、駅に着くと前夜から降った雪で電車が遅れていた。乗るはずだった電車に乗れないと思った途端にドキドキともに腹痛が襲ってきた。慌てて入った駅のトイレは長い行列ができていた。仕方なくそこに並んだ。やっと入れた個室は苦手な和式便器で、お腹が痛いのに用が足せなかった。そのあとの試験は散々で大学受験に失敗。
一流商社に最終面接まで残った入社試験のときもそうだった。三次面接が終わり、意気揚々と出かけた面接会場の廊下でお腹が痛くなってしまった。慌ててトイレから戻ると、名前を呼ばれたあとだった。焦って役員室に入った。汗だくで、しどろもどろの受け答えをした自分が、入社試験に通るはずもなく、もちろん不採用。それがトラウマになってそのあとの面接もうまくいかず、親のコネで何とか電子部品の専門商社に入った。

昇進試験の日にそれは起こった
入社から約20年。電気メーカーに電子部品を卸す仕事をしていた。Mさんの会社では、昇進試験が毎年行われる。今年の昇進試験でやっと部長代理になれる。課長になって5年。万年課長と家族に言われ続けていたMさんが40代を迎えるときにやっと巡ってきたチャンスだ。大手電機メーカーの新製品情報をいち早くキヤッチして、ライバル会社から、自社の半導体にスイッチしたことで大きく評価された。リーマンショック以降、予算未達で停滞気味だったチームのムードがにわかに活気づいた。Mさんは仕事が楽しくなっていた、前日からパワーポイントの資料でリハーサルをして、プロジェクターに自分にパソコンをつないだ。そのときにそれが起こった。
昇進試験でお腹が痛くて話せない。
役員が全員座った会議室で、急な腹痛がきた。そのまま進めようと思ったが、言葉が出てこない。「失礼します」退席してトイレに行った。しかし腹痛はあるのに、便がでない。自分の持ち時間は30分。20分のプレゼンのあと、10分も質疑応答だ。慌てて会議室に戻ったときには7分ロスしていた。昨日のリハーサルで、プレゼンは20分丁度で終わるように段取りしてあるのにと思うと、気持ちばかりが焦った。

昇進はしたが会社に行けなくなってしまう
Mさんは無事昇進した。部長代理の席は課長の席と違って机も広いし、椅子も大きい。昇進して今までと変わったのは、月曜朝の役員会議に出席するようになったことだ。部長代理になって数カ月。あの日のことがMさんの人生を左右するとは思わなかった。その朝いつも通り出社しようとした。しかし、乗換駅で急に便意を感じてしまい。駅のトイレに入った。いつも入る個室は故障中。一刻を争うMさんは、次の駅で降りトイレに入った。しかも、その朝は全体的に電車が遅れていたために、こともあろうに会議に遅刻してしまったのだ。自分の席につくともう会長が席にいた。「すみません」と入っていくと会長が一言「M君。トイレに行ってたの?」。昇進試験のことを会長は覚えていたんだ。と思うだけで全身が緊張した。Mさんはその日を境に会社に行こうとすると、お腹が痛くなってしまうのだった。

Mさんが消化器科の門を叩く
Mさんは、数日休んだあとに消化器の専門外来を訪ねた。そこで医師から告げられた言葉は過敏性腸炎。ストレスや温度など、刺激に過敏になってしまう体質ということがわかった。自分の他にも悩んでいる人が多いという言葉に少し安心した。ストレスのない暮らしはできないが、これからはトイレばかりを気にする自分を少しだけ戒め、気楽に行こうと心に決めた。

財団法人脳神経疾患研究所の消化器センター長 西野徳之医師は語る。http://www.minamitohoku.or.jp/expert/nishino.html
「Mさんの場合は働き盛りのビジネスマンに多い典型的なストレス性の過敏性腸炎です。下痢や便秘は身体の大事なサイン。長く続くようであれば、消化器専門のドクターに気軽に相談に来てください。下痢を無理に止めようとして、腸の動きをとめてしまう薬を常用し続けると、便秘を起こすこともあります。下痢が気になるときは緩やかにお腹に作用する薬をお守り代わりに持ち歩くことで、かなり精神的に楽になると思います。過敏性腸炎の方は無理にトイレを我慢せずに行くことです。また加齢とともに腹筋がおちて、腸の働きが悪くなりますから普段から腰に負担のない腹筋を鍛える運動をするとよいでしよう。」
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