わがまま温泉日記 田沢温泉 たざわ

有乳湯(うちゆ)
住所 長野県小県郡青木村田沢 〒386-1601 Memo:
入浴料 \200
電話 0268-49-0052
営業期間 通年 6:00〜21:00 水曜定休
泉質 田沢温泉2号@単純硫黄温泉 40.2度 pH9.3 283L/分
(アルカリ性低張性温泉)
旅行日 02/09/22
コメント 温泉街入口に咲くコスモスの花

 真田家ゆかりの上田から、松本街道を20分ばかり走るだけで青木村に入る。村役場からほどなく、田沢温泉というから、山奥の秘湯ではない。このアクセスの良さには、いささか拍子抜け。
 温泉街の入口には無料駐車場。よしよしと、思わずうなずき、好感度5ポイントアップ。そもそもお金をとるのが間違いなのだ。その脇に咲くコスモスの花。秋に咲く、秋桜とは言い得て妙だ。

 石畳の緩やかな坂道を、首を上下左右に振りながら、ゆっくりゆっくり歩を進めると、三階建ての木造建築が、狭い路地のようなメインストリートに圧倒的な存在感をもって迫りくる。何でも、島崎藤村ゆかりの温泉とのこと。
凛としたたたずまい 静かに、ひっそりたたずむその落ち着いた様は、戦前の家父長制を思わせる。三つ指ついて、主を迎える凛とした空気を漂わせている。向田邦子「あうん」の好きなワタシとしては、この時代感覚、たまらない。二つ指を突き出して、Vサインときたもんだ。
 ユネスコ指定の世界遺産があるのなら、環境省指定の「日本遺産」があってもよさそうなものだが、悲しいかな、わが国の役所にそこまでの気概はあるまい。日本人だからこそ、分かる良さってあるのになぁ〜。
 ひなびた温泉地であるに違いはないが、やつれが見えず、隅から隅まで端正なのだ。これを何と呼ぶのがいいんだろ? 温泉街では断じてなくて、湯治場と呼ぶのも気が引ける。温泉地では大きな感じ、「小さな温泉場」とでも言うのがよいのだろうか・・・。

真っ赤な郵便ポストのある有乳湯 石畳の一番奥に共同浴場「有乳湯」は位置する。
真っ赤なポストは由緒正しきお湯の証。瞬時に思いつくだけでも、日景鷹の湯法師と、ずらり名湯、顔をそろえる。
 お寺を模した立派な構えの共同湯、上に浴室、下に資料室という造りになっている。

 外観とは裏腹に、何とも近代的なタイル貼りの浴室。しかも、洗い場はブース形式で仕切られている。当然、備品完備と思いきや、シャンプーやリンスはもとより、石鹸すらない。ここまで徹底していると、腹を立てる気力も萎える。
浴室 浴室内には、ほんのり漂うゆで卵臭。お湯に浸かれば、滑るように皮膚上を手の平がさまよう。肌触りは特筆に値するのだが、ワタシにとっては、ちとぬるい。しかし、加熱・加水なしの源泉そのまま、多少ぬるめであろうとも、文句は言えまい。
 もちろん、飲用可能で、「口をゆすいだお湯を吐かないでください」なんて掲示もある。飲んじゃえばいいのに・・・。
 このお湯、もう少し熱めなら、きっと大のお気に入り。湯浴み楽しみ、「千曲川のステッチ」なんぞ、編んでいるかも知れないね。

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