私たちのハネムーンはドイツ・イタリア・スイス・フランスをまわるヨーロッパ旅行でした。学生の時に50日間の一人の貧乏旅行でヨーロッパを一周し、その後学会でイタリア・フランスを旅していたので、ガイドブックなしでまわれました。旅程は自分がすばらしいと思った景観、感銘を受けた美術館を是非妻に見せたいと思い、妻の希望も入れプランを立てました。従って旅券は往復の飛行機とユーレイルパス（鉄道一等席乗り放題券）だけという二人だけのオリジナルのツアー、ホテルはすべて現地調達でした。

　妻にとってはじめてのヨーロッパ、自由でのんびりした鉄道旅行で、「観て・食べて・買い物をして、二人の楽しい想い出をつくろう」がスローガン。しかしコンパクトにまとめたつもりでも、広いヨーロッパのこと結局かなりの強行軍となってしまいました。途中けんかもしましたが、それでも妻は疲れを見せず、健気に予定の旅行を最後までついてきてくれました。

　その中で一番印象に残っているのはスイス。山は天候に左右されるので、当初予定に入れていなかったのですが、行ってみるとヨーロッパは快晴続き。これは行かなきゃ損･･･と急遽予定を変更してスイスへ。すると雲ひとつない快晴に映える雪を頂いた秀峰マッターホルンが私たちを出迎えてくれたではありませんか。二人で抱き合って「やっぱり来て良かったね」と感動しきり。滞在した2日間とも快晴でしたが、後で聞くとその前後はずっとくもりで山が見えなかったとのこと、予定外のことながら本当にラッキーな旅でした。もちろんその他の場所もすばらしい想い出がいっぱいでしたが、その中でホテルのカーテンを開けた時の朝日を浴びて輝いていた山の姿がとりわけ印象に残っています。

　今でも結婚記念日には二人でアルバムをめくります。旅行の際に買ってきたものはほとんど手元にありませんが、数々の写真とともに楽しかった想い出は今でも鮮明に二人の心の中に残っています。