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死ぬかと思った4

 時はもっと遡って学生の時のアルバイトの帰り途。やはり11-12月頃だったと思う。時間は夜9時頃。栃木ではめったに雪は降らない。でも、冷え込んで氷が張ることはある。その日はめっきり冷え込んだ日ではあった。霧が強く、Fogランプでも、前方確認がしにくい。時速30Kmで走ってもこわいぐらいであった。何度も通りなれた道ではあったが、霧で距離感どころか土地勘もなくしている。おまけに霧のために前のめりに運転しなくてはこわいぐらいで、前に進むことに集中するのが精一杯で、どこを走っているのかを考える余裕もない。
 そのときふっと見えた標識が「止まれ」。そう、そこはT字路であった!あ、もうここまで来ていたんだと思っても後の祭り。見えた時点で、すでに交差点までの距離は10Mはなかっただろう。ブレーキを踏んだが、減速しない!なんとその時Gripを失ってしまったのだ。そう、霧と寒冷で道路の表面が凍結していたのだ。あっと思った時にはズルッと滑っていた。大衆車なのでそのころにはantilock breakなどは装着していない。必死でポンピングブレーキを心がけた。するとハンドルが・・・ちょっと効く!
 必死の思いでポンピングブレーキとハンドル操作をする。しかし、一時停止では止まれない。交差点に入ってしまった。霧でまったく見えないが、左右を確認している暇もない。なぜなら、そのT字路の向こう側は段差のある畑。そこに落ちる対策をしなければならないから。ああ、落ちる。車もお釈迦・・・。と思った瞬間、すぐ左に畑に入る坂道が見えた。クランクでそこに入れるか?速度も落ちている。少しGripもある。なんとかようやく車を下り坂道に斜めに滑りこませて、車は止まった。畑への坂道は舗装してないので制動が効いたのかもしれない。
 ほっと胸をなでおろした瞬間、後ろをトラックが横切った。交差点への進入が、あと数秒ずれていたら、車は横幅50cmぐらいのscapと化していたかもしれない。当然救急車が来る前に僕もこと切れていただろう。バックミラーから右側に眼をうつすと・・・、交差点から直進してきたと思われる車が畑に落ちていた。
 僕の車ももう少しスピードが出ていたら、止まれの看板の覚知がもう少し遅れていたら、その車に乗り上げていたかもしれない。しばら放心状態で、手も震えて動くこともできなかった。
 そのあと何度もその道を通ったが、夜に通ってもなんでもない普通の交差点。一時停止で止まって、左右を確認して右折するだけの見通しもわるくない。でも状況が変わると命を落としてしまうかもしれなかったことを考えると身がすくむ思いがしたものだ。
 命ってなんていたずらなんだろう。たまたま僕は助かったが、そうやって命を落とす人もいるのかもしれない。神様に感謝。そして日ごろの行いを勤勉に公正にしなければと襟を正さずにはいられない。
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