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Embalming

Embalmingって、ご存知ですか? 僕は最近知りました。 担当の患者さんが亡くなられ、遠方にご遺体を搬送しなければならないため、葬儀社からご遺族の方にご提案があり、了解が得られたとのことでした。 Wikipediaには以下のように説明されています。 (詳細は検索してみて下さい) 欧米で遺体を消毒、保存処理を施し、また、必要に応じて修復し、長期保存を可能にしようとする技法。日本語では死体防腐処理、遺体衛生保全などと翻訳される。土葬が基本の欧米では遺体から感染症が蔓延することを防止する目的も含まれる。 (具体的には脱血して、着色したホルマリンを注入するのだそうです。) 下記でも詳細な説明がなされています。ご参照下さい。 http://www.embalming.jp/

当院では昨年末から陽子線治療が開始されています。 そのせいもあって、全国から治療希望者(自費で\280万円)が多くいらして、治療は1-2ヶ月待ちです。中には東京から日帰り通院の方もいらっしゃるようです。 そのような患者さんの後方支援といいますか、陽子線治療後の治療とケアを当科で担当することが増えてきました。そんな患者さんのひとりです。 42歳という若さでした。 僕は胆膵系の癌の患者さんを中心に年間30-40例は看取っていますが、癌の患者さんで年下の方を看取るのは二人目でした。 齢を重ねることで、これからは自分よりも若い方を看取ることが多くなるのだと思いました。同年代の方をおくるのは、高齢者をおくるのよりもどうしても感情的に昂ぶりを抑えられなくなります。それと同時に自分はいつまで生きられるのだろうかという漠然とした不安にかられる思いもしました。 50歳を前にして思うこと。 自分がもし江戸時代に生きていたら、すでに寿命が近いはずです。現代で自分がまだもう少し生きていれそうであることを思うと、この世に生まれ生きていることのありがたさを実感します。 話は違いますが、90歳まで生きたという葛飾 北斎は友達も家族もいなくなる中で、死の直前にも生涯の傑作ともいうべき龍虎図を書き上げています。(ご存知ですか?一昨年ギメ美術館で「龍図」が発見され、既存の「虎図」と対であることが発見されました。)寿命を越えてまだなお創作意欲と向上心を持ちつづけることは並大抵のことではないでしょう。そのmotivationの高さは、驚嘆するしかありません。 自分がこれからあとどのくらい生きられるかはわかりませんが、生きている意義とその証を、医療と医学という仕事を通して、患者さんやその家族と共有してゆきたいと思っています。 僕の場合、消化器内科は外来・検査・回診など「勤務時間≒頭脳労働エではなく体を動かす労働時間」なので、昼食も昼休みもなく、身を削る思いをしながら診療しています。でも働かされているのではなく、自ら率先して能動的に働いています。忙しさが苦にはならないし、楽しみながら仕事をしています。臨床研究や論文・原稿などで「腹部X線診断」(本を出せるかもしれません)や「ERCP」(胆道学会でVideo Workshopで発表してきます)などのLife Workも見つけることができて、自分なりに生涯の目標も出来てきました。 最近、自分にとってこの医療職が天職だと思えるようになりました。アメリカ人の友人からそれは'calling'というと教えてもらいました。God is callingという意味だと。(知らなかったのは勉強不足だけかもしれませんが・・・。)ただ聖職者とは違うので、前出のような世俗的な「ささやかな息抜き」はさせてもらっています。

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