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母校での講義

 私が自治医科大学(栃木)に入学して間もなく、講義(オリエンテーション)の中で一期生の先輩から次のようなエールを頂きました。
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 君たちは晴れて医学生となり、今持っている「人のために役立ちたい、弱い患者さんを救ってあげたい」という気持ちをいつまでも持ち続けて下さい。というのは、医師となって五年、十年と忙しい日々を過ごすと疲れも出てくるし、体力もなくなります。「夜起こされる心配なく、ゆっくり休みたい」「日曜ぐらいは家族とゆっくり過ごしたい」と思うようになるものです。それでも当直、救急患者の診察も医師の大切な仕事のひとつ。くじけそうになった時には、今の気持ちを思い出してがんばってください。
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 あれから十五年・・・今度は先輩の代わりに私が新入生にエールを送ることになり、先日桜の映える母校の白亜の講堂で九十分間、初々しい医学生を前に講義してきました。
 大学で授業をするというより、「地域医療に従事している先輩医師から、明日の地域医療を担う後輩への助言」といった内容でした。
 「二十代の若い医師が八十代のおばあちゃんに助言や説得ができるか?」といった投げかけら始め、「経験の少ない人間に人間を診ることはできなません。医学の修得はもちろん大切ですが、医師となる前に一人の社会人として自立し、人間性豊かな医師へと成長して下さい」と話しました。そして「地域医療は、診察だけではなく地域住民への健康の啓蒙活動も大きな仕事」、「地域医療の持つ意味を自分なりに理解し、地域とそこに住む住民を好きになり、魅力を感じながら赴任してほしい」というメッセージを送りながら、ヘリコプターで島外へ患者さんを救急搬送しているスライドを使い利尻島国保中央病院の活動を紹介しました。
 その後は、若者たちと意見交換するなどして時間を共有し、久々に自分も若返ったように楽しいひと時を過ごしてきました。
 かくいう私も医師として十年目、医師の卵であった時の先輩の言葉は今でも鮮明に心に響いています。かつての私がそうであったように、願わくば自分のエールがいつまでも彼らの心にこだませんことを。
 
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