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荒天の正月

 利尻の正月は猛吹雪で明けました。
 年末から正月にかけて強い寒波が道内全域にどか雪を降らせましたが、利尻島にも他の地域とは違った厳しい冬がやってきました。 
 この時期になると北西からの季節風が強くなり、海が荒れるために定期船が欠航することが多くなります。定期船は二年連続で元旦欠航。今シーズンの終日欠航はこれで15日間。昨年同期の六日間と比較しても、今年の冬は特に荒れています。利尻ではあまり雪は多くないので、冬を実感(痛感)するのは雪ではなく、むしろ時化(しけ)なのです。
 しかも、一度海が荒れるとすぐには回復しないので、定期船は二、三日連続して欠航してしまいます。新聞・手紙はもちろん、すべての流通が滞ってしまい、当然お店には葉野菜・生鮮食料品などが少なくなってきます。ですから家庭ではもしものために冷蔵庫の中身も蓄えは多めです。
 冬の海は時化のない日でも、波やうねりのため定期船も揺れるので、冬期間は島の人たちもついつい出無精になってしまいす。先日私は、運悪く出張の帰りに荒天にぶつかり、定期船も飛行機も欠航のため、稚内で一晩足止めを余儀なくされました。離島では冬期間の出張は、前後に一日余裕を持たなければなりません。それでも時化のため島から出られない、島に帰れないということが一シーズンに何回かあります。
 また秋から冬にかけては、屋根の修理や雪下ろしの作業中に転落する方がでてきます。軽症で当院で治療できればよいのですが、骨盤骨折や内蔵損傷などの重症の患者さんで搬送が必要な時に、荒天だと大変です。定期船は欠航で、しかもヘリコプターも飛べないとなると患者さんの命にもかかわってくることもでてきます。
 冬期間はわれわれにとっても「もしも」を考えると、常にプレッシャーがかかります。これからは朝起きると、海をみて時化ていないか、定期船が動いているかを確認することから一日が始まります。「冬来たりなば春遠からじ」とはいってもまだまだ春は遠いようです。
 
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