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どちらが親孝行

 先月のお盆の頃、利尻島は観光客と帰省客で人口が倍ぐらいに膨れ上がり、島が沈んでしまうのではと心配になるほどの賑やかさでした。
 規制の方々は先祖の霊を慰めるためのお墓参りに来ます。そして、島に住むおじいちゃんおばあちゃんが元気で暮らしているだろうかと心配し、そして大きくなった孫を見てもらおうと帰ってくるのです。それと同時に「年をとった親を放ってはおけない」「そろそろ一緒に暮らさないか」と親を説得するために来る人もいるのです。
 利尻町は1987年の市町村別平均寿命の調査では男女ともに日本一でした。とにかくお年寄りが元気です。七十代の方でも平気で現役の漁師をしている方もいますし、実際見かけより十歳は若く見える方がたくさんいます。
 漁師を引退しても早起きして浜を歩いたり、山で山菜を採ったり、畑や庭の手入れをしています。おいしいものを食べて、張り合いをもって生きる、これが長寿の秘訣なのかもしれません。
 ある日、帰省中の娘さんが悩みをかかえて病院へ来ました。一人暮らしのおじいちゃんを迎えたいが、なかなか来ると言ってくれないと。「役場の福祉の方も、老人会など今の生活が一番充実しているのではと言ってくれているのですが・・・」。おじいちゃんは頭も体もまだまだ元気です。そのおじいちゃんが島で暮らすと言っているのです。親を思う気持ちもよくわかりますが、ここはおじいちゃんの気持ちを尊重してあげましょう。そのあとおじいちゃんが来ました。「島にいるのが一番長生きできると思っている」
 島を離れたおばあちゃんから連絡がありました。「息子が呼んでくれて、あったかい部屋も用意してくれて、孫に囲まれていい暮らしをさせてもらってます。でも友達もいないし、窓から隣の家の壁しか見れない生活は楽しくない」と。
 親の自立と親孝行、必ずしもかみ合わない、難しい問題です。
 
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