いらっしゃいませ!ここは西野徳之とその家族のホームページです!

お時間のある方は、わが家でいっぷくして下さい!

ウニ漁の朝

 思った通り本日の病院は開店休業です。
 いつもの朝だと、病院のホールは百人を越える患者さんの診察待ちでにぎわいますが、今日は10人前後しかいません。本日は「旗日」なのです。
 今年もウニとりの時期がやってきました。天気が良く風もなく、波も穏やかな日に、週に二、三回程度で「本日、ウニをとってもいいですよ」という目印の旗が揚がります。漁師の朝は早く、朝三時には起床して漁の準備をします。朝六時、旗が揚がると一斉に海へ出て漁をします。漁は乱獲防止のため約一時間と制限されています。
 ウニをとり終わると、陸(おか)へ上がって今度は奥さん、おばあちゃん出面(でめん=お手伝い)の近所のおばさんがウニの殻むきをする番です。きれいなオレンジ色のウニの身を海水に漬けて漁業組合に出荷すると、時刻はもうお昼。ウニとりの日は一家総出です。当然この日は病院へ行く暇もないのです。
 漁師だけではなく旅館、食堂、売店の方々も観光シーズンで忙しくなる時期なので、ついつい無理をしがちです。
 忙しさに紛れて薬の服用を忘れてしまい、血圧が上がったり、糖尿を悪くする人が出てきます。
 また、働きすぎでストレスによる胃潰瘍になる人もでてきます。元院長の北守茂先生(現帯広市立病院院長)と阿部昌彦先生(現道立羽幌病院副院長)は在任中、利尻島での胃潰瘍の現況を研究され「夏場の繁忙期に患者さんが多くなる」ことをまとめて学会で発表されました。
 この時期、外科で多く見かけるのがウニの「刺さし」です。ウニの殻むきの時に手に刺してしまったり、子供や観光客が浜辺ではだしで遊んでいて、足の裏にとげが刺さったりするのです。ウニのとげは刺さると奥で折れて残ってしまい、深い切開が必要となり、その治療も大変です。
 みなさんがおいしく食べているウニにも、多くの血と汗が流れているのです。(実際のウニには血はついておりませんので、ご安心を)
 
『 ← まちのドクター奮戦記へ戻る 』