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流氷が来る島

暖かい日差しに利尻島でもようやく春を感じられるようになり、厳しい冬を乗り切ってほっとしています。
今年は二月下旬、流氷の来訪で利尻と稚内を結ぶ連絡船が止まり、冷や汗をかきました。
 「院長、痛み止めのモルヒネが底をつきそうです。注文した日から連絡船がストップしたままです」。欠航三日目、病院のスタッフが心配そうに切り出しました。「あと一日は持つと思いますが・・・」
 オホーツクで流氷観光船の立ち往生事故が大きく伝えられましたが、宗谷地方にも10年ぶりの流氷が押し寄せ、稚内港は白い世界に変わってしまいました。流氷がいつなくなるか、見当がつきません。
 離島にある病院という性格から、利尻島国保中央病院は、特に冬期間は薬の在庫を増やして緊急事態に備えています。しかし、モルヒネは麻薬のため法律の規制が厳しく、多量のストックは難しいのが実状です。この時期はたまたま重症の入院患者さんが多く、麻薬使用量が急増していました。船はだめでも飛行機があります。天候は良好で、順調に飛行しています。ところが、モルヒネは書留小包で、飛行機では運べないという。
 病院の事務長が利尻、稚内の郵便局長とかかえあって、事情をよく説明しました。「明日午前の便で、今回に限って特別に空輸してもらえることになりました」という報告に、胸をなでおりろしました。
 「ほかに在庫不足の薬はありませんか」「大丈夫です」
 結局、流氷で連絡船が欠航した四日間、診療に支障をきたすことは避けられました。皮肉なことに飛行機に遅れること数時間、臨時の連絡船が運航されました。
 離島の病院では他の地域では普段考えもしないことを大きな問題として解決しなければなりません。
 
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