[現代・政治]-----その底流を探り、常識を整理する-----

地方自治を担う人民と地方政府(7)

地方分権一括法案、成立する

  国と地方自治体の関係を上下・主従の関係から、対等・協力の関係に変えようという「地方分権一括法案」が、1999年6月11日、衆議院本会議で自民、民主、公明、自由、社民などの賛成で、可決された。一括して採決した関連法案は、24省475本に及び、その厚さは広辞苑2冊分になるという。この制度改革は、明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革といわれる。住民の要望に沿った条例も制定できるようになり、使い方次第で住民自治が拡大するが、一方で各自治体間の行政サービスが比較され、格差が現れてくることにもなる。2000年4月に施行される。
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地方分権一括法案の骨子

主な変更点

◇主な権限委譲の項目◇
  • 国から都道府県へ
    • 都道府県教育長の任命
    • 市町村が作る下水道事業計画の認可権限
    • 二つ以上の都道府県の区域内にかかわる採石業者と砂利採取業者の登録と拒否
  • 都道府県から政令指定都市(12市)へ
    • 都市計画の決定権限
  • 都道府県から中核市(人口50万以上)へ
    • 都市計画法に基づく開発審査委員会の設置
  • 都道府県から特例市(人口20万以上。新設)へ
    • 宅地造成工事区域の指定
    • 騒音、悪臭など局地的公害の地域と基準の決定
  • 都道府県から市へ
    • 児童扶養手当の受給資格の認定
    • 商店街振興組合などの設立許可
  • 都道府県から市町村へ
    • 市町村立学校の学級編成と始業日、就業日など学期の決定
    • 市町村立高校の通学路の指定
    • 犬の登録、鑑札の交付、注射済み票の交付
  • 「地方事務官」の廃止
       地方事務官は、国家公務員なのに知事の監督を受けて都道府県庁で社会保険(約1万6500人)と職業安定(約2200人)の仕事をしていたが、これを名実共に国家公務員にすることにした。地方事務官は自治労の有力部隊であり、組織防衛の必要から自治労は廃止を反対していたが、衆議院行革特別委員会で付則を修正し、社会保健関係の職員は、7年間(組合の専従が認められている最長期間)は自治労加入を可能とした。
  • 課税自主権の拡大
       自治体が地方税法にない新しい税(法定外普通税)を作る場合、自治省の許可が必要だが、事前協議制に変わる。自治省の同意は必要だが、、作りやすくなる。

    問題点---カネで縛られる仕組みはほとんど変わらず

    cameleon
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