
国民の税金を、国に納めた税金(国税)
と、地方自治体に納めた税金(地方税)
とに分けて、その比率をみると、国税は約65%、地方税は約35%になる。
一方、国や地方自治体が仕事のために支出したおカネは、国が約35%、地方自治体は合わせて約65%を占めている。
◇ことば◇
官官接待
三割自治と補助金行政の下で、地方自治体の役人が、税金を使って中央省庁の官僚を接待すること。
95年7月、全国市民オンブズマン連絡会議は、官僚や議員の接待に使われる「食糧費」の全国実態を発表した。93年度(一部94年度)の食糧費は、40道府県と10政令指定都市の秘書課、財政課、東京事務所分だけで、合計29億5千万円であった。食糧費による接待費は、全国の推定で年間300億円にのぼる。
官官接待は、中央官僚が自治体にたかり、地方自治体が中央官僚にこびる体質が現れた現象であると指摘された。接待してないのにあるかのように装い、公金を他に流用していたという事実も発覚したように、官官接待は、賄賂や横領に結び付く可能性がある。
社会的批判が高まって、官官接待の廃止を表明した自治体もあるが、大方の自治体は改革に手を着けていない。
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つまり、大ざっぱにいえば、地方自治体の
収入は3分の1しかない(3割自治)のだが、公共の仕事の
3分の2をこなしているという構造になっている。
このような行政が可能となるには、カラクリがある。3分の1の差を埋め合わせるために「補助金」や「地方交付税交付金」という名目で、国から地方へ移されるカネがあるからである。
- 「補助金」
「補助金」とは、義務教育のための経費、
社会福祉サービス、道路や公園の公共事業な
ど、特定の仕事に対して、一部の経費を国が
補助するおカネだ。補助金制度は、零細な補助金
が多数あること、申請手続きが煩雑で
決定に官僚や政治家が介入できること、似た
ような補助金が複数の省庁にまたがっており、
別々に管理しなければならないこと、自己負担
分を地方債(地方自治体の借金)でまかなう
ことになって、借金が増えていくこと、など弊害が多い。
- 「地方交付税交付金」
「地方交付税交付金」は、使い途を決め
れていないおカネで、税収の多い自治体と少ない
自治体のふところ具合を調整する意味もある。実際には、補助金を補完するものとし
て使われ、官僚の意向に沿った自治体に誘導
できる余地があること、資金(原資)が少な
いことなどが、問題点として指摘されている。
このように、自治体の財政は、自治体が
中央省庁の顔色をうかがい、一喜一憂する仕組みになっている。自治体行政は、国から「財布」でコントロールされていたわけである。
そこで地方分権推進委員会では、自治体に安定した財源と自由な権限を与えるため、補助金や交付金についての改革案が検討された。