
日本の地方自治体は、議院が内閣を選ぶ「議院内閣制」の中央政府とは違い、
米国などの大統領制と同様な「首長制」をとっている。
大統領にあたるのは、知事や市町村長などの首長で、首長は、議会で決められたことを実行する
「執行機関」である。一方、地方自治体の議会は、自治体の施策の方針を決める「議決機関」である。
首長と議会の議員は、それぞれ別々に住民の「直接選挙」によって選ばれている。
したがって、首長も議会も住民の政治的代表というわけである。
これらの首長と議会は、対等の立場でチェックし合い、バランスを保っている。
こうした仕組みを「二元代表制」民主主義ともよぶ。もし、首長と議会が対立した場合、
次のようにして調整している。
第一に、議会は首長を「不信任」し、一方首長は議会を「解散」することができる。
- 不信任議決をするには、在職議員の3分の2以上が出席し、出席議員の4分の3以上の
賛成が必要である。
- 逆に首長は、不信任の通知を受けた日から10日以内に議会を解散できる。
- 解散後、初の議会で不信任議決をするのは、過半数の同意が必要である。
第二に、首長は、議会の議決や選挙に異議がある場合、再議あるいは再選挙を求めることができる。
米国大統領が、議会に対してもっている「拒否権」と同じ仕組みである。
たとえば、議会の条例の制定や改廃、予算に関する議決に異議がある場合、
10日以内に再議を求めることができる。再議の結果、出席議員の3分の2以上
の多数で同じ議決がなされた場合は、その案件が確定する。
第三に、首長は、事務の停滞を防ぐために、議会の権限に属することであっても、
首長が議会に代わって行うことができる。これを「専決処分」という。専決処分の
事務を終えたら、首長は次の議会で承認を得なければならない。