コメント
01/09/02
朝食はバイキング形式で、生タラコがおいしい。
01/10/18
癌に対する放射線の効果については、疑問視する向きもあるが、ワタシは信じたい。
許容値以下の微量の放射線がもたらすホルミシス効果というものも近年研究の緒についたばかりだそうである。(Thanks to
Mr.Yamasemi)
また、血から汗が出ると伺ったオンドル小屋だって、癌細胞を死滅させるには至らないまでも、何らかの効果は期待できそうだ。というのも、癌細胞が正常細胞よりも熱に弱い性質を利用したハイパーサーミアという治療法もあるそうだから。(Thanks
to Mr.Konpeki7)
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半年先の予約受付開始の2月、夏の予約を入れてみた。電話口に出たお兄ちゃんが言う。「湯治部ですが、いいですか? 食堂での食事もいまいちなんですけど、いいですか? 部屋はクーラーもないんでけど、いいですか?」
田沢湖から鹿角にぬける走りなれた道。相も変わらず、玉川温泉入口は大混雑。しかし、今回ばかりはひるむことなく、宿へと続く坂道を駆け下りる。なにしろ、楽しみにしていたお泊りなのだ。
さっそく、地獄谷めぐり。てっきり、宿の敷地なのかと思っていたら、国立公園なのである。お国が管理しているだけあって、荒涼たる風景の中、よく整備された自然研究路を歩く。露天風呂やらオンドル小屋の、もの珍しさも手伝って、けっこう楽しめるね〜。
思い思いの場所で、岩盤浴にはげんでいる人たちがいる。あとで、食事のときに聞いたのだが、場所によって放射線の強さが違うんだとのこと。放射線を放つ北投石は特別天然記念物。なんでも、台湾の北投温泉で発見されたので、その名がついたそうである。もちろん、日本ではここでしか産出しない。
名湯玉川温泉のお湯は、「大噴(おおふけ)」から湧き出している。もうもうたる湯煙が迫力満点。熱いお湯の大好きなワタシも、さすがに、そこに浸かりたいとは思わなかった。
このお湯を、50mほど伸びる大きな湯畑で、沈殿物をこしとってから、宿へと引いている。草津の湯畑と比べると、どちらが大きいんだろう? 草津は周りが建造物、こちらは周りが大自然。にわかに、甲乙はつけがたい。
さてさて、いよいよ大浴場。「死にかけの病人が元気になる」といわれるほど、ここのお湯はよく効くらしい。なるほど、いるわいるわ、術後の跡も生々しい人たちが・・・。強酸性のお湯に身をしずめている。入ってみると傷口がピリピリ痛む。薬のようなこのお湯が、5倍に薄めて飲むと、意外なことに、とてもおいしい。これはもうレモン水なのである。
しかし、観光シーズンの日中は、日帰りの入浴客の多いこと、多いこと。イモの子を洗うような混雑ぶりで、湯治場の風情を楽しむどころの話ではない。夜中、また、ゆっくり浸かることにしようかね。
8畳の和室にベッドを二つ置いた、何とも妙な取り合わせの、きれいなお部屋。そこに、きつ〜い西日が差し込んできた。クーラーがないので、窓を締め切ることはできない。夕食どきを見計らい、ちょっと早めに大食堂へと避難開始。
宿の通路には、あらゆるところに手すりがつけられ、体の弱った人への配慮がうかがえる。ところが、残念ながらその手すり、格好の物干し竿に化けている。部屋の前には、ゴザが立てかけてあったり、花が活けてあったりと、生活感漂う宿なのだ。いや、新館は建物が新しいだけに、どこか病院を思わせる。
湯治客を迎える大食堂。一べつするだけでも広いのに、さらに右奥にまで続いている。こんな巨大食堂は、さすがにお目にかかったことがない。食事はいずれも薄めの味付けながら、別にまずくはない。健康に気遣っているのだ。
隣り合わせたご主人が、ずいぶん食事を残したようだ。食器を下げにきたおばちゃんが、「ここの人、元気だった?」と尋ねる。ア〜ッ! こんなとこまで、気配りがある〜!
館内を見渡すと、働き盛りの夫婦連れがけっこう目立つ。しかも、どちらか一方がとても相手に優しいのである。穏やかで、一品ずつを慈しむ、かつて見たこともない夕食の風景が、そこには広がる。
右隣は奥さんが乳ガン、左隣はご主人が舌ガン、いずれも再発を恐れて毎年、GWとお盆休みに、岩盤浴に来ているという。北海道出身、東京在住の左隣のおじさんには、ビールまでごちそうになって、いろいろ教えてもらったな。お元気で・・・。
本当に、湯治を必要としている方々が、どれほど予約に苦労なさっているかをうかがうにつけ、ワタシはただただ、反省しきり。ハイシーズンの予約だけは避けようと、心に決めた。
冒頭の、電話予約の応対といい、和室にベッドの妙な取り合わせといい、ウォシュレットはあってもクーラーがない設備のアンバランスといい、不思議ばかりのこの宿のナゾ。どうやら解けたようである。
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