タイヤについて
155V6の標準タイヤはS(スポルティーバ)が標準だった日本では、205/45 ZR16のピレリP700Zでした。このタイヤについて新車装着時に疑問がありました。タイヤというよりその装着方向についてでした。P700Zのトレッドパターンはトレッド中心線を軸とした線対称パターンで、点対称のパターンではありませんでした。つまり、パターンに方向性があったということです。こういうパターンの場合、一般的には指定回転方向を持っています。

ところで、私の155に新車装着された状態では左のリアだけ回転方向が他の3本とは逆でした。これでは気になるので、ディーラーに問い合わせてみたところ、C社TM店のメカニックさんは即答してくださいました。実は、以前にこの件でピレリに問い合わせたことがあるといのです。というのも入って来るクルマ・クルマで、クルマ毎、また1台のクルマでも4輪それぞれで装着方向がまちまち、ばらばらだったからだそうです。そしてその時の回答は「P700Zには指定回転方向はない」というものだったそうです。

 P700Z左右リアタイヤを後方からみたところ

じゃあなんで方向性をもったパターンにしたんだ!といいたいところですが、確かにタイヤのどこにも回転方向の指定表示はありません。まぁ作ったメーカーの見解ですから納得しました。
それでも、C社TM店では「気になるようなら、組みなおしましょうか?」とおっしゃってくださいましたが、回転方向がないことが確認できたのでお願いはしませんでした。

そんなP700Zでしたが、1年半ほどで、前輪が減ってきました。良く見ると前輪と後輪とでパターンが異なってきた(^^;)…つまりタイヤ外側の「細く浅い溝」が前輪だけ減って無くなっていたのです。後輪はまだまだ使いそうなのに前輪だけどーして。流石、フロントに2.5Lという重量エンジンを載せたFF車!!P700Zを悪く書く雑誌もありますが、別にそんなに悪くなかったと思います。コンパウンドは硬めでしたが、高速連続走行などには適していたと思います。真夏の高速道路を長距離走った直後でもトレッドがベトベトした感じにはなってませんでしたし。…なにしろあのP7の跡を継いだタイヤです。極端に悪くなるとも思えないのですが。

ローテーションも考えましたが、個人的に前輪で使っていたタイヤを後輪に使う、またその逆を行う、(または左右を入れ替える…つまりローテーションということ自体)ということに抵抗があったのと、後輪に比べ前輪の減りが早く、前輪2回に対し後輪1回の交換でもいいかと思えるぐらいの差があったことで、前輪だけ交換することにしました。

そこで、まず順当にP700Zを探しました。ところがもう当時生産を終了しており市販をしてませんでした。本当は、ディーラーで取れば取れたのかもしれませんが高そうだったのでこれは行いませんでした。本来、前輪だけですとか1本だけという場合はディーラーで取るのが最良だと思います。というのも、新車装着されているタイヤは良く知られるように見た目は市販と同じ物でも、中の構造はクルマ毎に別物ということが普通ですので、一部交換の場合4輪ともまったく同じ性能のタイヤにしたい場合はディーラーでとるのがいいと思います。もっとも自動車の生産途中で仕様変更もあると思いますので「全く同じ」というより「手に入るタイヤのなかでもっとも近い性能」というのが正確かもしれません。

と、理想はいったもののやはり簡単なほうへ流れ、市販のP700Zがないことがわかると、もう別パターンでいいやと思いました。最初はピレリの後継モデルにしようかとも思いましたが、どうせパターンも変わっちゃうのだからと思うとこだわりもなにもなくなりました。こだわりがなくなったとはいえ、ちょっと訳あってメーカーはヨコハマにすることにしました。最初はAVIDにしようと思いましたが、雑誌で見つけたお店ではAVIDは扱っておらずしかも他の店でのAVIDの価格より安い価格でM7Rを売っていた(同じ店で両方扱っている場合はM7の方が若干高かったです)のでそれにすることにしました。サイズは当然205/45ZR16、記憶が定かではありませんが1本13000ぐらいだったと思います。一昔前の195/60-14のM5の値段ですね。(っていつの話だ〜)

 交換直前のM7R。ご苦労さま

前輪後輪で異なるタイヤという禁断の選択に出てしましました。こうなると後輪に使っていたタイヤを前輪に使いたくない…どころの話ではありませんね。自己矛盾…。

この状態で約2年半走っていましたが、自分の155の使い方とM7Rはミスマッチだったかもしれません。まだ山は残っていましたがそろそろ2回目の交換を行うことにしました。今度は晴れて4輪交換することにしましたが、またまた訳あって今回はミシュラン以外の選択肢はありませんでした。205/45−16というサイズから自ずからパイロット・スポーツかエグザルトの何れかということになりました。価格を考えるとエグザルトににしようかなとも思いましたがどう考えてもターゲットが違う感がありました。重いエンジンの4ドア車なので山道をひらりひらりというより高速ロングドライブを優先させたかったですし、事実自分の155の使い方もそのような感じです。(前回にはなかった真剣な検討。でもM7Rも決して悪くないですね。スポーティなわりに結構持ちましたし価格も手ごろだったし。ただちょっと用途が違っていたかなという感はありました。)
なにより、エグザルトのスピードレンジがVであったというのがもっとも気になったところです。対するパイロット・スポーツはYです。そして標準のP700ZはZ、ヨコハマのM7も当時検討していたAVIDもこのサイズはZでした。

スピードレンジVは240km/hの意味です。ちょっとややこしいのですが、Z、というかZR表記は240Km/h以上という意味で、いわば一昔前の価値観からきたスピードレンジです。そしてYは新しい記号でZの領域をより具体的に細分したもののひとつで300km/hです。

おわかりいただけるでしょうか?標準がZR表記ですので、Vは明らかにこのレンジより低いのです。これに対し、Yは旧ZR表記の領域ですので新Yタイヤの耐久スピードが旧ZRタイヤより優れているかもしれませんし劣っているかもしれないということになるのです。個人的見解からすれば旧ZRより現在のY表記の方が高速耐久性に優れているでしょう。

まあ155V6自体240km/hなどというスピードは出ないのでVでもいいのですが、そのスピードが出る出ないというよりメーカーが出荷時に付けていたタイヤより表記性能を下げたものにしたくないというところにこだわりました。

というわけで、パイロット・スポーツの205/45ZR16 83Y(あ〜ややこしい)を選びました。

 ▲MICHELIN Pilot SPORT

まだちょい乗りですが、なんかよさそうです。155用のサイズ205/45−16が日本のカタログに追加されたのは2001/02からですが(製品自体は2000年仏製でした。供給が追いつかないから日本向けサイズを絞ってた?)、155のS(スポルティーバ)にお乗りの方でタイヤ交換を予定されている方は是非候補に入れてみてください。購入前、特にお店の方と相談した訳ではなかったのですが(銘柄指定で価格を聞いただけなので)、装着作業終了後お店の方も「多分このクルマにはM7Rよりあっていると思いますよ。高速安定性とウェットグリップのよさを感じてみてください。」とおっしゃってました。