【第14回・学科一般 問10】

 大気中の二酸化炭素は年々増加しており、地球の温暖化が懸念されている。今、気圧1000hPa の地上で、底面積が1平方メートルの大気柱をかんがえると、この大気柱の重さは、同じ底面積で、高さ10mの水柱の重さ107g にほぼ等しい。簡単のため、大気は見かけの分子量29の乾燥空気からなるとし、1年間に大気中の二酸化炭素濃度(モル濃度、あるいはモル比)が2ppm (ppm= 106)増加すると仮定したとき、二酸化炭素(分子量は44であるとする)の年間増加量は地球大気全体でおよそいくらか、下記の(1)〜(5)の中から正しいものを一つ選べ。
 ただし、地球は表面積約5.1×10
14m2 の球であると仮定する。また、1ギガトンは109トン、1テラトンは1012トンである。

(1) 15テラトン
(2) 1.5テラトン
(3) 150ギガトン
(4) 15ギガトン
(5) 1.5ギガトン

  

 

解説:

 数値が大きいので計算が面倒ですが、一つ一つていねいに順を追っていけば解くことができます。

 

 

空気の見かけの分子量

 実際の空気は窒素約80%、酸素約20%を主成分とするさまざまな種類の気体の混合気体なのですが、空気を、仮に“空気分子”というただ1種類の分子からできていると考え、実際の成分気体の分子量と存在割合に応じた平均をとったのが“空気の平均分子量”、この問題文では“空気の見かけの分子量”と言っています。詳しい計算方法は、「第2回 問3 乾燥空気と湿潤空気の重さ」で解説していますので、こちらを参照してください。

 

気柱に含まれる“空気分子”のモル数

 気柱の底面積は1m2 、その重さは107g です。この気柱に含まれる“空気分子”のモル数は、

“空気分子”のモル数 = 107g / 29   ← モル数 = 質量 / 分子量

 

二酸化炭素の年増加量

この空気分子のモル数に対して毎年2ppm ずつ増えていくというのは、この空気分子のモル数の1/106 に相当するモル数分の二酸化炭素が毎年増加していくということです。

毎年の二酸化炭素モル増加量 = (107g / 29)×(2/106

 

このモル数が二酸化炭素の何gに相当するかを計算すると、

毎年の二酸化炭素増加質量 = (107g / 29)×(2/106)×44  ← 質量 = 分子量×モル数

 

地球全体での二酸化炭素の年増加量

この増加量は1m2 あたりの値であって、地球大気全体での値を求めるには、これに地球の表面積をかければいいので、

地球全体の毎年の二酸化炭素増加質量 = (107g / 29)×(2/106)×44×(5.1×1014

                  = 1.55×1016 [g]

                     = 1.55×1013 [kg]

                     = 1.55×1010 [トン]

                     = 1.55×101 [ギガトン] = 15.5 [ギガトン]

 

 

 答:(4)   

 

  


【第6章の目次へ】