【第2回・学科一般 問3】水蒸気を含む混合空気と乾燥空気に関する次の文章で、空欄A〜Cを埋める語句の組み合わせ(1)〜(5)のうち、正しいものを一つ選べ。ただし、水の分子量は18、乾燥空気の見かけの分子量は29とする。
混合比が0.018 kg/kg の水蒸気混合空気と、同じ気圧、温度を持つ乾燥空気が存在する。両者の同体積における質量差(密度差)を見積もる。
ある体積における混合空気中の乾燥空気の質量を1kg とすると、その空気中の水蒸気の質量は0.018kg である。この水蒸気を同じ体積、分圧、温度の乾燥空気に置き換えると、その質量は(A)になる。もとの乾燥空気と(A)を加えた質量と、混合空気の質量を比較すると、(B)だけ混合空気が(C)ことになる。
A B C (1) 0.011 kg 0.018 kg 重い (2) 0.018 kg 0.018 kg 重い (3) 0.018 kg 0.011 kg 軽い (4) 0.029 kg 0.011 kg 軽い (5) 0.029 kg 0.018 kg 軽い
解説:
最初に言葉の説明です。
原子量とはその原子を6.02×1023個(これを1モルという。12本を1ダースというのと同じようなもの)だけ集めたときにどれくらいの質量(g)になるかを表すものです。現在、約110種類の原子が存在することが知られていますが、その個々の原子量はわかっていて、ふつう周期表(原子の一覧表)にはこの値が載っています。
H
水素
1.001
N
窒素
14.00
O
酸素
16.00分子はいくつかの原子が結びついてできていますが、分子の質量(g)も数字で表されます。これを分子量といい、原子と同様にその分子を6.02×1023個集めたときの質量です。その分子がどんな原子から成り立っているのかがわかれば、分子量はそれぞれの原子量の和(=合計)として求められます。
例えば、水 H2O という分子の分子量を求めるには、水素2つの原子量と酸素1つの原子量をたしてやればいいのです。
(1.00×2個)+(16.00×1個)=18.00 ←水分子の分子量
同様に、酸素分子 O2 や窒素分子 N2 の分子量は、
(14.00×2個)=28.00 ←窒素分子の分子量
(16.00×2個)=32.00 ←酸素分子の分子量
となります。
ただし、この問題ではあらかじめ各分子の分子量は与えられているのでこのような計算は不要です。
空気の主成分は約80%の窒素(分子量28)と約20%の酸素(分子量32)です。それ以外にアルゴンや二酸化炭素や水蒸気がごくわずかに含まれています。このように空気というのはいろいろな気体が混ざり合ったものであり分子ではないので、本来は分子量というものはありません。しかし、この混合気体である空気を一種類の気体分子と考えて、“空気の平均分子量”を考えることはできます。この問題では“空気の見かけの分子量”と言っています。
成分気体それぞれの分子量と存在割合とから平均をとると次の式のように、
(28.00 × 0.8)+(32.00×0.2)= 28.8
窒素 酸素空気の平均的な分子量は28.8(この問題では29)となるのです。
同条件(圧力・体積・温度)の気体は、単純に分子量で重さの比較ができます。そうして比較すると水の分子量は18なので、「水蒸気(水の気体)よりも乾燥空気のほうが重い」ということになります
なお、乾燥空気とは水蒸気を含まない空気のことを言い、湿潤空気とは水蒸気を含んでいる空気のことを言います。
この問題で言っているように、空気1kg をとるとその中に含まれる水蒸気の量はわずか0.018kg です。これをすべて同じ体積の乾燥空気で置き換えると空気の重さはどう変わるかを聞いています。0.018kg の水蒸気(分子量18)をそれよりも重い乾燥空気(分子量29)で置き換えるには ( A) 0.029kg 必要で、両者の差「0.029kg - 0.018kg 」をとって、( B) 0.011kg だけ元の水蒸気を含む混合空気のほうが(C) 軽かったことになります。
答:(4)
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