【第6回・学科一般 問5】

 地球が受け取る太陽エネルギーについての次の文章で空欄 A〜C を産める語句の組み合わせ(1)〜(5)のうち、正しいものをひとつ選べ。

 地球が大気圏の外側で受ける太陽放射エネルギーは、太陽光線に垂直な面で1m2 当たりおよそ1.4kwであり、(A)と呼ばれている。この値の(B)が地球表面が受ける1m2 当たりの平均エネルギーである。ところが、このエネルギーのうち約(C)は地球表面ないし雲の反射や大気による散乱のため宇宙空間にかえってしまう。入射するエネルギーに対してこのようにして宇宙空間にかえるエネルギーの比率をアルベド(正確には惑星アルベド)と言う。

A

B

C

(1)

太陽定数

1/4

1/3

(2)

天文単位

3/4

2/3

(3)

太陽定数

1/4

2/3

(4)

天文単位

1/4

1/3

(5)

ボルツマン定数

3/4

1/3

  

 

解説:

 太陽定数や球の表面積の扱いなどについては、「第4回・学科一般 問1 放射平衡-火星の気温(2002.10.13 up)」でも触れていますので、こちらのほうを参照してください。

 

太陽定数

 問題の最初の文の記述、「地球が大気圏の外側で受ける太陽放射エネルギーは、太陽光線に垂直な面で1m2 当たりおよそ1.4kwであり ・・・ 」という説明そのままです。太陽光線に垂直な面とは下図のA面のことです。

念のため、「第4回・学科一般 問1」で解説したものを引用して再度説明しますと、太陽定数とは以下のようなものです。

 大気の上端(宇宙空間と大気との境目)にある面 1m2 に垂直に太陽光線があたるときのエネルギー(J)を太陽定数といい、ふつう S0 という文字で表しますが、太陽から1.5億km離れた距離にある地球では1370 [kJ/m2・s] という値になります。これは 1秒間あたり、1m2 あたりの面積に 1370KJ の光エネルギーが届くという意味です。

 

∴ A に入る語句は、「太陽定数

 

地表面が受ける平均太陽エネルギー

 問題文中にあるように、太陽光線に垂直な面(A面)で1m2 当たりおよそ1.4kwの太陽エネルギーを受けているとありますが、これはあくまでも大気上端(=地球大気と宇宙空間の境界)における値です。

 A面を通過した太陽光線は、球形をしている地表面(B面)全体に降り注ぎます。A面が受けるエネルギーとB面が受けるエネルギーとは同じ大きさですが、降り注ぐ太陽光線は、平面Aから、より広い面積の球面Bに散らばるので、同じ面積(単位面積1m2)で比べるとA面と比べてB面の単位面積あたりが受ける太陽エネルギーは小さくなります。

 ここではこのA、B面における単位面積あたりの太陽エネルギー量を計算し、両者を比較します。

 

(1) A面が受ける全エネルギー量

 A面の大きさは、大気上端を通過した太陽光線がちょうど地球の上端と下端を通るような大きさですから、これは地球を赤道に沿って二つに割ったとき、その切り口の断面積の大きさということになります。
 いま地球の半径をr[m] とすると、円の面積を求める式から、πr
2 [m2]という大きさになります。この断面積の大きさと断面1m2 あたりが受ける太陽エネルギーの大きさ、すなわち太陽定数をかければ、平面Aが受ける全エネルギー量が計算できます。

A面の受ける全エネルギー量 = πr2 [m2] × 1.4[kw/ m2]

             = 1.4πr2 [W]

 

(2) 地表面が受ける単位エネルギー量

 最初に述べたように、A面の受ける全エネルギー量とB面の受ける全エネルギー量とは同じ、これは上の(1)で求めました。ですから、この全エネルギー量を球面Bの表面積でわってやれば、B面における単位面積あたりの太陽エネルギー量が求まります。
 ただし、太陽光線は地球の半分の側(B面)だけにしか当たらず、B面は昼のときは、その裏側は夜ということになりますが、この問題で「地球表面が受けとる
平均のエネルギー」を聞かれていますので、地球全体の表面積で地球が受けとった全エネルギー量をわってやれば、地表面における単位面積 1m2 あたりの太陽エネルギー量が求められます。

 

地表面が受けとる単位エネルギー量 =( AまたはB面における全エネルギー量)/(地表面の面積)

              = 1.4πr2 [W] / (4πr2 [m2])

              = 1.4 × 1/4

となります。

 

∴ B に入る語句は、「1/4

 

 

アルベド

 問題文中にあるように、アルベドとは「エネルギーのうち約(C)は地球表面ないし雲の反射や大気による散乱のため宇宙空間にかえってしまう。入射するエネルギーに対してこのようにして宇宙空間にかえるエネルギーの比率をアルベド(正確には惑星アルベド)と言う」説明通りです。
 確かに計算上は上の(1)や(2)で考えたようなエネルギー量が地表面に届くはずなのですが、大気中には太陽光線を反射する白い雲があり、また地表面自身も光を反射します。その結果、入射光に対して反射光のエネルギーの大きさはどれくらいかという反射率が求められるわけです。
 具体的な数値は下の表(イーグルマン,1980年より)を見てください。赤字に注目してください。

まず太陽放射による入射エネルギーを-100% とします。すると、このエネルギーは吸収されたり反射されたりするわけですが、赤字で示したように具体的には、雲による反射20%地表による反射4%散乱による損失6% となります。これら3つを合わせると計30%となりますが、これは最初の100%に対してほぼ1/3の大きさです。

∴ C に入る語句は、「1/3

 

 

 

 答:(1)   

 

  


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