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ガミラス(ガルマン・ガミラス)

0.地球移住戦争までの歴史的経緯

ガミラス人は地球暦の21世紀にはすでに波動物理学の成果として波動エンジンを実用化し、姉妹星のイスカンダル人とともにサンザー太陽系外へと乗り出していた。そして、大マゼラン星雲内で数々の異文明と遭遇していた。ある異星文明とは友好関係を築くことが出来、ある異星文明とは相容れないこともあった。前者の場合は問題は無かったが、後者の場合、イスカンダル星人とガミラス星人では対応が異なっていた。イスカンダル人はあくまで平和的に交流を進めようとしたのに対して、ガミラス人は武力に訴えてしまったのである。この時点から、イスカンダルとガミラスは同じサンザー太陽系の姉妹星でありながら、異なる歴史を歩むこととなった。

ガミラスとの交流を受け入れない異星文明は武力によって服従させることを選択したガミラスは、戦闘の機会も増え、次第に軍事国家へと変化していく。地球暦の21世紀後半には、政治と文化の中心的存在であり、軍事に対しては拒否権のみを有していた皇帝が軍の統帥権を掌握し、総統という地位を兼任し軍政をひくに至って、ガミラスは完全な軍事国家となるのである。そして全てが軍事最優先にシフトしていくのである。

また、この頃、ガミラスの軍事技術史に残る発見があった。それはガミラシウムによる高出力レーザの開発であった。ガミラスの艦艇の主砲はレーザが使用されているのだが、レーザ発振を得るための媒質として、ガミラス星の地下深くに豊富に存在することが確認されたガミラシウムが非常によい特性を持っていることが発見されたのである。固体のままで使用すれば、高出力の連続発振レーザとなり、蒸気化すれば、超高出力のパルスレーザとなった。特に波動エンジンから得られる大電力により放電励起した場合、十分な破壊力を持ち、艦載砲として有効であることが発見されたのである。ガミラシウムレーザ砲の採用により、ガミラスの艦艇は一新され、軍事艦艇に適した左旋波の波動エンジンの採用とあいまって、非常に強力な宇宙艦隊を有することとなったのである。

軍用に適した左旋波の波動エンジンをガミラスは採用していたが、波動エンジン開発の初期には右旋波のエンジンも研究されていた。しかしながら、右旋波は軍用には不適であるとして波動エンジン開発プログラムの初期に放棄された。そのため、右旋波と左旋波のハイブリッドが研究されることも無く、左旋波エンジンの特性改善に研究は集中することとなった。

この波動エンジンの開発過程においてガミラスは、タキオン波動を圧縮したときにエネルギー密度が時空臨界点を超えると生じる衝撃波を兵器として利用できることを発見し、兵器化していた。しかしながら、衝撃波砲はガミラシウムレーザに比べて構造が複雑になること、またより多くのエンジン出力を必要とすることからガミラシウムレーザを主要兵装として採用し、衝撃波砲はごく一部でのみ採用されたに過ぎなかった。もしもガミラスが左右両旋波のハイブリッド波動エンジンを採用していたら、ヤマトの衝撃波砲に匹敵する強力な主砲を得られ、宇宙史は変わっていたかもしれない。

軍事国家ガミラスは新しく接触した異星文明に対し、彼らがガミラスに対して友好的かどうかに関わらず、ガミラスへの隷属か服従かを迫るようになる。イスカンダル人は時として、ガミラスの侵略の対象となった星を助け、ともにガミラスと戦うこともあったが、ガミラスの軍事力は圧倒的であり、異星文明は次々とガミラスに支配されるか、もしくはこの宇宙からその存在を消されてしまうこととなった。サンザー太陽系の外では戦火を交えることもあったガミラスとイスカンダルであったが、同じ太陽系の姉妹星でともに文明を育んできた相手として、ガミラス人にはイスカンダル人に対して特別の思いがあり、異星文明における戦闘以外ではガミラスは決してイスカンダルと戦火を交えることは無かったのである。しかしながらこの頃からイスカンダルとガミラスの国交はほとんどなくなってしまう。

やがて、イスカンダルは他星系への進出をやめ、サンザー太陽系内に留まるようになる。いくら友好的に異星との交流を育んでも、ガミラスが侵略してしまえば交流も何もあったものではなかったし、ガミラスと同じサンザーの文明と言うだけで、交流を拒絶されることも増えてきたからである。一方ガミラスは、大小両マゼラン星雲でいくつかの異星文明との全面戦争を戦っていた。

そんな中、長くて数千年、短ければ100年足らずでガミラス帝星とイスカンダル星(だけでなくサンザー太陽系)の生命体の生存可能な環境としての寿命が尽きることが明らかになる。イスカンダル人は星とともに静かに運命を甘受することを選択し、ガミラス人は新しい星への移住を選択する。ガミラスはその科学力を挙げて侵略した勢力圏内の殖民星の移住適合性を調査する。しかし、どの星の環境も、ガミラス人が長期にわたって生活するには不適合であった。(たとえば、 [1]大気の組成にガミラス人の遺伝子に突然変異を誘起する成分が微量に含まれており、短期滞在には問題が無くとも数世代がたつと先天的異常の確率が急増する、[2]大気の層が薄く、宇宙放射線が強すぎて、遺伝子に悪影響を及ぼす、等々)

ガミラスはこれまでの勢力圏外に移住先を求めざるを得なかった。それも出来る限り早く。ガミラス母星の環境は日増しに悪化の度合いがひどくなっていった。地球暦の22世紀初めには大気が完全に酸性化し、雨は希硫酸、海は王水、大地は強アルカリ性、となり、防護服なしでは内殻に出歩けないような危機的状況に陥ったのである。デスラーの父である総統デスマルクはついに大小マゼラン星雲以外の島宇宙への移住もやむを得ないと考え、アンドロメダや銀河への探査を開始する。優先事項は[1]環境がガミラス人へ適応していること、[2]例え文明が存在してもガミラスと比べて低レベルにあり、簡単に隷属もしくは絶滅させられること、[3]ある一定以上のレベルの文明の影響下に近い将来入る恐れのないこと、であった。もはやガミラスには残された時間は余り無かったのである。また、大小マゼラン星雲でのいくつかの全面戦争をかかえており、新たな戦線を遠く離れた島宇宙に開く余裕も無く、時間と言う敵以外を相手にする余裕などなくなっていたのであった。そのため、出来る限り戦闘を避け、速やかに移住を開始しなければならなかったのである。(とはいうものの、それでもまだ100年以上の余裕はあると思われていた。)

そんな中、銀河という島宇宙のオリオン腕にある恒星系の惑星のひとつが移住可能であるとの報告がもたらされる。大気組成はガミラス人にとって放射性同位体の含有率が著しく低いこと以外は問題なく、宇宙放射線、太陽光の成分など全てにおいてガミラス人の要求を満たしていた。この星には既に人類が存在していたが未だ恒星系の外への航行能力は無く、ガミラスから見れば、このような未開の文明など簡単に抹殺できると思われた。また、この惑星、すなわち地球、の大気改造が可能であり、大気改造後にはガミラス人類の移住が可能である、との報告を受けた総統デスマルクにより地球大気改造用の放射性戦略兵器の開発が命じられ、地球移住計画が始動する。時に地球暦2138年のことであった。



1.地球移住戦争時 -帝星壊滅戦争−(地球名 ガミラス戦争)

3年の準備期間(太陽系の詳細な調査と大気改造用の放射性戦略兵器として遊星爆弾を選定するまでに3年の時間が必要だったのである。[遊星爆弾の実用化にはさらに数十年の期間がかかっているが…])を経て、地球暦2141年にガミラスは冥王星に地球攻略のための前線基地を構築する。地球はガミラスの基地が完成するまでこの動きを察知できなかった。やがて、ガミラスは地球政府に対して、隷属か絶滅かを要求するが、地球政府は回答を拒否。ガミラスによる侵略戦争が開始される。この時点でガミラスは16個程度の空母機動部隊(本来は8個機動部隊と8個の予備という編成[重空母軌道艦隊を除く]であったが、戦線の拡大により既に再編用の予備も前線に投入されていたため、総数16個もの機動部隊が投入されていたのである。)を保有していたが、これを地球戦線に投入することは無かった。地球艦隊相手ではその必要も無かったし、また、マゼラン星雲の各戦線でこれらの機動部隊の打撃力が必要とされており、銀河系に派遣する余裕など無かったのである。

この当時、ガミラスは大きく分けて、

という3種類の艦隊編成を採用していたが地球戦線には、「ガミラス人類の移住」という目的からすると驚くほどの弱小戦力しか派遣されなかった。地球艦隊が脆弱であったことと、他方面での戦闘が激しく戦力の抽出がままならなかったこともあって、主力艦隊からわずかな数の主力艦艇と護衛空母が派遣され、数個水雷戦隊とともに地球攻略艦隊が編成されたのであった。地球攻略線においては、 全通甲板を持ち大気圏内での航空機運用能力を持つ艦隊型空母が必要となる大気圏内での艦隊戦および航空爆撃は行わないという作戦方針がとられ、無重力化での航空機運用能力しかない護衛空母だけが配備された。もし、大気圏下での空爆能力を持つ艦隊型空母もしくは軌道上からの砲撃の可能な戦艦を地球戦に集中投入していれば、地球人に地下に篭る時間的余裕など与えずに、短期間のうちに抹殺できていたかもしれなかったが、各戦線での艦隊戦力の中核を成す艦隊型空母や戦艦の地球方面への派遣が不可能であった以上、それは仕方のないことであった。また、ガミラス人に適した放射性の大気組成に地球の大気を改造するには10年以上が必要であり、また、放射性の大気中では地球の生物は生存できず、大気改造の過程で遅かれ早かれ地球人類は死滅すると予測されたのも、地球攻略戦に大戦力、特に空母機動部隊、が投入されなかった理由の一つであった。

ヤマトが地球を旅立ってからしばらくは、ガミラスではヤマトの航海の目的を掴めなかったため、冥王星艦隊壊滅後もしばらくの間は対ヤマト、対地球戦に艦隊戦力は投入されなかった。その間、デスラー機雷やアルファ星におけるガス状生命体などによる余り積極的とはいえない攻撃が行われただけであった。ガミラス側からしてみれば、マゼラン星雲への銀河からの侵略に備えた防御兵器網にヤマトが勝手に入り込んで来たので、ヤマトが苦しむ様子を楽しんでみていた、というのが実情であったであろう。しかしながら、さまざまな情報収集活動の結果、ヤマトは地球から脱出したのではなく、ガミラス伴星のイスカンダルへ放射能除去装置を受け取りに行くために航海を続けていることが判明し、この時点で、ヤマトがガミラスの地球移住計画の重大な障害となることが認識される。そしてガミラス軍令部は太陽系方面作戦司令長官として、ドメル将軍の派遣を決定する。ここに至ってついに大艦隊が対地球戦に投入されることとなったのである。

しかしながらドメルはヤマトとの数度の手合わせの後、大艦隊でヤマトに決戦を挑んでもヤマトに決戦をかわされる恐れが多分にあることを実感していた。そのため、最後の決戦ではヤマトがガミラス艦隊を探知して撤退しないように、七色星団の暗黒星雲を主決戦場に選び、味方艦隊の構成を悟られることの無いようにするため瞬間物質移送器を使用したのである。

瞬間物質移送器により攻撃機を目標艦の至近にワープアウトさせるという斬新な戦法は、ヤマトには敗れはしたが、非常に魅力的なものとガミラス軍令部では認識され、後にガミラス宇宙艦隊の基本戦術となるのである。(この瞬間物質移送器を使用した戦術と艦隊ドクトリンについては別稿に詳しく述べたのでそちらを参照していただきたい。)


ガミラスの艦艇および兵器
この時代のガミラス軍は主として以下のような艦艇・兵器により構成されていた。

初代デスラー艦
ガミラス帝星の総統府であるが、本土決戦において万が一の場合には非常脱出用の戦闘艦艇として使用される。この時代、ガミラスで高エネルギー砲であるデスラー砲を装備した唯一の艦艇。この艦は本来、ガミラス本星においてはガミラス総統府として、そして地球移住航海時にはガミラス大艦隊の旗艦としての役割を果たし、地球到着後は再びガミラス総統府として機能することを目的に設計・建造されたものであり、デスラー砲の他にはミサイルが装備されているのみで、実際にこの艦を戦闘に使用する事態になるとは想定されていなかった。
大型戦艦(地球側通称シュルツ艦)
冥王星前線基地の司令官シュルツが座乗していた艦として地球では有名。ガミラス宇宙軍の主力艦艇。ガミラスの艦艇はいずれもがそうであったが、この艦も高出力レーザを主砲としていた。この高出力レーザは波動エネルギーにより励起されたシングルモードのパルスレーザであったが、イスカンダルより波動エンジンの設計図とともに地球に与えられた技術のひとつが耐久力の高い対レーザコーティングであり、ヤマトの装甲板の表面はこの対レーザコーティングがなされていた。そのため、ガミラス艦艇のレーザビームは至近距離からの直撃以外ではほとんど効果が無かったのである。
新型戦艦(ドメラーズIII)
太陽系方面作成司令長官として赴任したドメルに与えられた最新の戦艦。大艦隊の旗艦用に設計されており、艦隊司令部を収容できる。通信、情報解析能力が高く、通常戦艦に比べて、武装が簡略化されている代わりに、防御力が高い。また、最新の波動エンジンを搭載しており、高機動が可能。
三段空母
三段(最上甲板を含めれば四段)の飛行甲板を持つ艦隊型空母。大気圏内、重力下での航空機の発着を可能にするため、全通甲板が採用されている。日本海軍の赤城や加賀が初期は発着同時運用を主眼に多段飛行甲板形式を採用していたのとは異なって、ガミラスの三段空母は整備甲板から飛行甲板への航空機の移動を省略するために、各層を飛行甲板としたのが出発点であり、発着艦が同時に出来る、というのは副次的な効果に過ぎなかった。大気圏内では、上甲板以外への着艦は垂直離着陸を除いて事実上不可能であった。この空母は大量生産され、各戦線に送られて艦隊の中核戦力として活躍した。
戦闘空母
ガミラスの最新鋭の空母。搭載機数を犠牲にする代わりに重装甲、重武装を施して、戦場での残存性と敵艦との直接の砲戦能力を強化した艦。攻撃力、防御力のバランスが取れており、瞬間物質移送器によるガミラスの戦術の転換がなければ、間違いなく艦隊の主力となっていたと思われる。
高速巡洋艦[クルーザー型]
艦首エネルギー砲が4門あることから、分類上は巡洋艦になっており、名称も高速巡洋艦とされているが、デストロイヤータイプの駆逐艦と共通の艦体を使用しており、実際は駆逐艦である。艦首のエネルギー砲が小口径化され(装備数は増えている)、主砲塔が減らされるなど、武装が削られ装甲強化が図られている。武装減少により、推進力へのエネルギーの割り振りが増え、結果として高速化された。ただし、機関の性能そのものは変わっていないので、速度は向上したが、加減速能力は駆逐艦と同じであった。また、艦首のエネルギー砲は、小口径化されたことで、発射間隔が短くなり、装備数が2門から倍の4門となったこととあわせて単位時間あたりの発射砲弾数は劇的に増加し、これにともない命中率も向上した。小口径化されたことで一弾あたりの破壊力は低下したが、発射速度と命中率の向上により、艦首エネルギー砲は結果として、強化されたことになる。
駆逐艦[デストロイヤー型]
ガミラス艦隊の中核をなす艦種。ガミラスの駆逐艦[デストロイヤー型、ミサイル型、高速クルーザー型]は艦首のエネルギー砲が印象的で、地球艦隊の将兵の間ではこれらをまとめて「目玉戦艦」と呼んでいた。ガミラス宇宙艦隊の打撃力の中心は空母と戦艦であるが、これらはあくまで決戦兵器であり、数的にはデストロイヤータイプの駆逐艦が大多数を占め、ガミラス艦隊の事実上の主力の座にあった。駆逐艦は艦隊防空、輸送船の護衛、水雷戦、哨戒などあらゆる任務に就いていた。他のガミラスの艦艇と同じように、装甲板表面に対レーザコーティングがなされていたが、高速を得るための重量軽減のために、巡洋艦以上の艦種に比べて装甲板だけでなくコーティングの層も薄かった。ガミラスの艦艇は装甲板表面やコート層境界面での光の反射により干渉縞を生じ、見る角度によっては、干渉縞が迷彩模様のように見えることもあったがとくにコートの各層が薄い駆逐艦の各タイプでは光の干渉がよく生じ、迷彩模様に見える機会が多かった。この薄いコート層でも核融合炉から得られた電力でしか励起できなかった地球のレーザ砲であれば十分散乱させる事が可能であった。それほどに地球の艦艇の光学兵器は破壊力に乏しかったのである。艦首の連装エネルギー砲は粒子ビームであり、駆逐艦クラスのエンジン出力でこのクラスの砲にエネルギーを供給するのは容易なことではなく、波動砲ほどではないにしてもエネルギー充填が必要であった。そのため、当たればそこそこの打撃力は有していたが、発射間隔が長く、水雷戦隊全艦での一斉射撃という運用が最も効果的であった。(それ以外の単独射撃はあまり効果的ではなかった。)
駆逐艦[ミサイル型]
デストロイヤータイプと共通の設計だが、武装がミサイル主体となったタイプ。デストロイヤータイプや高速クルーザータイプの主砲では強力な耐レーザコーティングを施された敵艦には打撃を与えられないため、耐レーザコーティング艦対策として、敵艦に肉薄し、コーティングに無関係なミサイルにより打撃を与えることを目的として設計された。そのため、単艦で評価すると攻撃力不足の感は否めないが、艦隊レベルでは無くてはならない艦種である。速度、防御力などはデストロイヤータイプと違いはない。
新型駆逐艦
新型戦艦(ドメラーズIII)と同時期に設計されたため、デザインラインはよく似ている。これらの新型艦は艦隊主力が戦艦から空母にシフトしつつあるのを受けて新たに設計されたものである。新型駆逐艦は主にミサイル打撃力を持ち、敵艦へのミサイル投射およびミサイルによる艦隊防空を主任務とし、対空・対艦ミサイル能力を高めた艦である。残存性とミサイル積載スペースの確保のため、艦型はデストロイヤータイプよりもかなり大型化している。
高速空母
護衛空母。通常、主力艦隊に随伴し、偵察および防空任務に着く。また、単独で強行偵察任務での使用も想定されており、高速度が与えられている。そのため、装甲は薄く火力も乏しく、攻撃力・防御力ともに不足の艦であった。全通甲板を持たないため、惑星大気圏内、すなわち重力圏内での運用は想定されておらず、あくまで宇宙空間用であった。
反射衛星砲
ガミラスの最新鋭局地防御兵器。波動エンジン出力により励起される強力なマルチモードレーザ兵器である。光学兵器であり、鏡面で反射されるという特徴を生かし、反射衛星により固定火力の欠点であった"死角"という問題を解決した画期的兵器。ヤマト装甲板表面の耐レーザコーティングも蒸発してしまうほどの出力を持っていた。光学兵器であったため、屈折率の関係で大気中から水中には到達出来ないため、海中は冥王星で唯一安全な場所であった。
デスラー機雷
攻撃的防御兵器。機雷自身が目標に向かうという画期的な兵器。コントロール機雷が唯一の弱点であった。
遊星爆弾
惑星改造用戦略爆撃兵器。目標の破壊よりも、むしろ放射性物質を散布し、目標の惑星の大気をガミラス人に最適な放射性の大気に改造することを目的とした兵器。ガミラス人は通常は放射性の大気中で活動している。しかし、徐々に放射性物質の含有率を減らしながら生活することにより、3ヶ月から半年程度で、放射性物質の含有されていない大気中で活動できるようになるのである。しかし、この非放射性大気への順応作業をガミラス星に住むすべての人間・家畜に施すことは事実上不可能であり、地球の大気の改造が移住には不可欠であるとの報告を受けた、デスマルクは大気改造手段の開発を命じる。これにはさすがのガミラスも長期間を要した。デスラーの代でようやく戦略爆撃用途も兼ねた遊星爆弾の開発に成功し、デスラーは遊星爆弾による地球人類の地表からの抹殺と地球大気の改造に着手したのであった。


艦隊編成

[1]空母機動部隊
ガミラス軍の空母は2隻で1個航空戦隊を構成していた。1航空艦隊には原則として2個航空戦隊が配備されていた。主力艦艇(巡洋艦以上のクラス)は戦艦2隻ないしは巡洋艦4隻で1個戦隊を構成し、1航空艦隊には1個戦隊が配備されていた。水雷戦隊は1隻の巡洋艦と2個駆逐隊(1個駆逐隊は4隻の駆逐艦により編成されていた)の計9隻で編成されており、1航空艦隊には防空および対潜戦力として4個水雷戦隊が配備されていた。従って、通常、1個航空艦隊は 空母4、戦艦2、巡洋艦4、駆逐艦24ないしは、空母4、巡洋艦8、駆逐艦24という編成であった。(これにさらにタキオンタンカー、弾薬航空燃料運搬船、工作艦などの補給艦艇も配備されていた。) 大小マゼラン星雲の幾つかの戦区では敵艦隊も空母機動部隊を投入しており、航空戦が展開されていた。そのため、それらの戦区に展開する機動部隊には水雷戦隊のうち半数の2水雷戦隊の換わりに最新鋭の防空巡洋艦と防空駆逐艦からなる2個防空戦隊が配備され、また戦艦も防空能力の高い新型が配備されていた。

戦闘空母は2隻一組で、専属の防空戦隊(2戦隊)と共に独立重航空艦隊を構成し、作戦内容に応じて、各航空艦隊に臨時編入されていた。これらの独立重航空艦隊はガミラスが劣勢になっている激戦区に投入されていたことから、ガミラス軍の将兵の間では「火消し艦隊」や「お助け艦隊」と呼ばれていた。この時代、ガミラス宇宙軍は重航空艦隊を3艦隊保有していたがローテーション予備の戦闘空母は配備されていなかった。小マゼラン星雲の造船所で2隻の戦闘空母が建造中(ガミラス帝星壊滅時点で1隻は95%の完成、もう一隻は30%の完成度)であった。30%の完成度の艦体は解体放棄されたが、95%完成していた戦闘空母は白色彗星戦争時は一旦建造を中止していたがその後、デスラー砲搭載と各種改装が施され、対暗黒星団戦争時にはデスラー座乗の艦隊旗艦として使用されることになる。

なお、原則として、各航空艦隊は実際には同数の予備航空戦隊を有しており、3ヶ月から6ヶ月周期でローテーションを組んでいた。これは、航空戦力には戦闘による損失の補充等、再編成と訓練を欠かすことが出来ないためであったが、戦線が拡大し、戦闘が激しくなるにつれ、このローテーションは有名無実化し、実際には、後方配備可能な時に可能な航空戦隊を休ませる、というその場しのぎの対応になっていった。しかし、砲撃力を重視した主力艦隊(空間打撃部隊)を保有しつつも、航空機戦力に重点をおいた白色彗星帝国に勝るとも劣らない機動部隊編成と運用がなされていたことは特筆に値する。このバランスの取れた艦隊編成も瞬間物質移送器の登場によるドクトリンの変化に伴って一気に随伴護衛の極端に少ない特殊な編成へと変化してしまうのであるが、それについてはガルマン・ガミラスの時代の節で後述する。


[2]主力艦隊
ガミラス宇宙艦隊は各戦線での空母とその艦載機が戦艦を超越した攻撃力を有していることを認識し、空母の集中運用を可能にするため空母機動艦隊を編成する。しかし、航空機優勢を認識してもなお、戦艦中心の主力艦隊を編成し活用していたのは、航空戦力の消耗の激しさと、空母の脆弱性を正確に認識していたためであった。大編成の敵艦隊には空母機動部隊の打撃力だけでは不足であり、やはり戦艦を基幹とした主力艦隊と水雷戦隊は不可欠であった。また、惑星軌道上からの敵惑星への軌道砲撃は艦載機の航空爆撃による爆弾投射量を遥かに上回る打撃力を有しており、上陸作戦時には主力艦隊は欠く事のできない戦力であった。もちろん、上陸後のピンポイントの攻撃には艦載機による精密爆撃が適していたので、空母機動部隊も不可欠ではあったのだが。

1作戦方面は通常5個程度の主力艦隊が展開していた。通常、1個主力艦隊は、戦艦戦隊が2ないし3個戦隊(4-6隻)、巡洋艦戦隊が1ないし2個戦隊(4-8隻)、水雷戦隊が4から6戦隊(巡洋艦4-6隻と駆逐艦32-48隻)、護衛空母戦隊が1個戦隊(高速空母2隻と防空駆逐艦4隻)、補給艦艇(タキオンタンカー、弾薬運搬船、工作艦、等) により構成されていた。


[3]水雷戦隊
ガミラス宇宙艦隊でもっとも多用されたのが水雷戦隊であった。本来は、敵艦隊に肉薄し砲雷撃戦を挑んで、敵艦艇を漸減させるのが目的であったが、高速力であることや、数が多かったことなどから、本来の水雷という任務に加えて、艦隊防空、哨戒、船団護衛、対潜攻撃などあらゆる任務に駆り出されていた。デストロイヤータイプの駆逐艦がガミラス建艦史上最高の出来といわれるほどの(攻撃力、防御力、速度、航続距離、そして生産性と整備製のよさ)バランスのよさを誇っていたこともあって、大量に建造され、各地に派遣されていた。ガミラスは本来、デストロイヤータイプに代表される軽快な機動の可能な中小型の多数の艦艇で敵艦隊を包囲し、集中砲火を浴びせるという戦術(車掛かりとも呼ばれていた)を主要戦術としていたため、水雷戦隊は宇宙艦隊の主役の座にあったのである。しかし、戦線の拡大とともに、さまざまなタイプの敵艦隊を相手にしなければならなくなり、相手の艦種に応じた戦術を取ることを要求されるようになった。そのために、主力艦隊や空母機動部隊が編成されたのである。しかしながら、それでもなお、ガミラスの主力は水雷戦隊であり、デストロイヤータイプだったのである。結局、ガルマン・ガミラス時代にもデストロイヤータイプの生産は続けられていたし、水雷戦隊も編成されつづけていたのである。ガルマン・ガミラス時代においても総統親衛艦隊は最精鋭の水雷戦隊が努めていた事からも、ガミラスの基本戦術における水雷戦隊の重要さをうかがい知る事が出来る。


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