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02/05/05
千人風呂には五十人もの入浴客がいたことだろう。なのに深閑として、小声でも高い天井に声が響くのだ。
実に不思議な体験をした。
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森を見れば木が見えず、木を見れば森が見えない。とかく、気ばかりつかってしまう。
湯をみて人を見ず、人を見て湯をみず。
今まで、いろいろなお湯を楽しんできたが、混浴を体験したことだけはなかった。一度だけ、白骨温泉でも挑戦したのだが、湯につかりながら、女性の入ってくるのを下から見上げる男たちの姿を見て、急きょ回れ右したものだ。
しかし、ここでは混浴を承知で500円の入浴券を買ってしまったのだから、入るしかない。
脱衣所には、「男向かって左・女向かって右」と書かれた、浴槽内でのすみ分けマナーの見取り図もあり、鼻歌など口ずさみながら千人風呂の浴場の扉を開けた。
開けてビックリ。目に飛び込んでくる景色は男性の裸体ばかり。入り口から「四分六分の湯」まで続く、わずかしかない木のついたて(下の写真右端)に隠れながら、「冷まし湯」という少々ぬるい湯を2〜3回浴びた。このお湯、実は、のぼせたときにかぶるらしいのだが、風呂にもつからないうちに、かぶってしまった。トホホ・・・
しかし、ここで断念しては、500円がもったいない。ここにいる男性たちとは二度と会うことはないのだと言い聞かせ、タオルを胸から垂らして「四分六分の湯」に入った。
このお湯が白濁した好みの湯だったからなのか、つい不覚をとってしまった。足を湯船に入れるとき、いつものクセで、タオルを外してしまったのだ〜〜〜。湯船のふちにずっと座ってウォッチングを続けている、少なくとも20人の男性にサービスしてしまった。
でも、こんな恥ずかしさも湯につかると吹っ飛んでしまう。やや熱めの白い湯はとても気持ちのよいものだ。
もう一つある「熱の湯」は、ダンナによるとぬるかったそうだ。「熱の湯」でこれなら「四分六分」なんてつかっちゃいられないと思っていたそうだ。バカだねぇ〜。
混浴なんて、ばぁちゃんしか入っていないものかと思っていたら、意外や意外、18くらいのかわいい女の子がバスタオルを巻いて、湯船を移動するではないか。そのたびに、男性全員の視線が同じように移動する。ダンナの視線も例外ではなかった。
その娘が私の横にやってきて、いっしょに話をしていたときには、男性全員がうらやましそうにこちらをながめていた。ダンナによると、耳までダンボになっていたそうナ!
いつもに比べると短い入浴だったが、いろんなことがあった。やっとのことで入ってきた若き人妻など、ご主人がぬるい「熱の湯」へ誘うのだが、じっとうつむきかげんに壁の方を向いたまま、身動き一つせず、2〜3分で上がってしまった。入るときも勇気がいるが、出るときもまた勇気がいるのだ。お気の毒に。
また、話の種にと入ってこられたオバサン、「しゃれにもならない」と、これまた早々に退散してしまった。
逆に、正々堂々と素っ裸で歩いている奥さんもいたのだが、さすがにワタシはそこまでは無理。とはいうものの、いいお湯なんだもん、出たり入ったりを二度繰り返し、二度目には上手に隠すこともできたような気がする???
それにしても、お湯にもつからず、男女境界線の湯口のところでひたすらウォッチングのデブオヤジ! いい加減にしなさいよ! 私は湯口のお湯で顔を洗ったり、お湯を飲んだりするのが大好きなんだから。そこまで行けなかったじゃないのよ〜!!!
何だ、かんだ言っても、はじめての混浴。いろんなことがあって、けっこう楽しかったなぁ〜。お昼は名物「酸ケ湯そば」をいただきながら、そのエピソードの一つ一つをダンナに伝える。話すことが多すぎて、肝心のお蕎麦だってずいぶんのびた。
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