霊泉寺横の無料駐車場にクルマを止めて、お寺の縁起なんぞを読んでみる。しかし、不思議なことに、足だけはお寺ではなく、温泉街へと向かうのだ。
入口脇の風雨にさらされ灰色に変色した木製ベンチがなかったら、また、由緒正しき温泉であることを表す真っ赤な郵便ポストがなかったら、見過ごしてしまいそうな共同浴場。
番台こそあれ、オバサンはいない。賽銭箱にお金を入れる。たったの百円、思わず感涙にむせぶところであったが、ワタシの大好きな白旗の湯はタダだったことを思い出し、涙は引っ込む。現金だね〜。
浴室・浴槽とも、いたってシンプル、タイル貼。しかし、浴槽タイルは濃い青タイルでめずらしい。これでもって、単純アルカリ性泉のお湯の透明度が高いことをアピールできる。
男湯との仕切りは何ともエロティック。アクリル板で出来ているので、湯口付近のシルエットはくっきり。湯船の中をカワウソのように頭だけ出し、そろりそろりと湯口に近づかなければならないワタシ。何だか、カワイソ!
浴槽ふちのタイルには、小さな穴が開けられており、洗い場をひたひたと暖めている。夏にはあまり必要のない代物かも知れないが、冬場は役立つこと請け合い。いわゆる「床暖」なのである。
熱〜いお湯をじっくり楽しみ、灰色ベンチに腰をかけ、タバコの一服もふかせてみると、ビールが飲みたくなってきた。入湯税、煙草税、酒税と、ひたすら納税の悦びに身を委ねてしまうのであった。
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