コメント
02/04/14
ご主人は猟師というから、さぞかし、いかついかと思いきや、何とも気さく。人当たりがとてもよいのだ。
地の物をふんだんに用いた面白い夕食にデザートはつかない。部屋に戻ると冷蔵庫の中に冷してあった。こんな心憎い演出もある。 |
南アルプス街道を北上中、新倉なる地に断層が露出している場所がある。どうやらフォッサマグナの西の縁にあたるらしい。ワタシはてっきり富士川こそが大地の裂目と思っていたから、これはずいぶん勉強になったもんだ。
桜並木をくぐりぬけ、西山温泉を通り過ぎると、もう間もなく「七不思議の湯 白根館」との大きな看板。しかし、秘湯のロケーションを思い描いて油断してると行き過ぎて、冬期閉鎖中の林道トンネル前にて行き止まり。仕方なく、作業用の東電トンネル内にクルマを突っ込むダンナときたら、まったく、あきれちゃうね〜。
幻のダム湖「奈良田湖」が宿の前には広がっている。土石に埋め尽くされた無残な姿。なんでも、ダム完成から6年後、伊勢湾台風によってこうなったんだそうだ。以来、40年以上もの間、土石を運び出したり、また埋められたりと、イタチごっこの繰り返し。大自然との戦いは実に壮絶、スケールが違う。ついつい、川原湯温泉、八ッ場ダムの行く末までも案じてしまう。
初夏のような陽気にも関わらず、部屋には堀ごたつが未だ健在。寒暖の差が激しいために、まだまだ必需品なのだ。それはともかく、こたつ周りの「黒いもの」にイヤ〜な予感。近づくと、それは熊さんだった・・・。
おぅおぅ、ぜいたくにな〜と、都会育ちのダンナは熊の敷物をなでてはいるが、このワタシ、手でも触れようものならば、全身、チキン肌になる。小さい頃には、北海道のド田舎で熊の味噌煮を食べてたのにな〜。夢に出てこなければよいのだけれど・・・。
お風呂は内風呂と露天が男女別にそれぞれあるが、内風呂は「七不思議の湯」、露天は「銀河の湯」と、源泉が異なっている。
「七不思議の湯」のいわれは、その昔、平城京から孝謙天皇がこの地を訪ね、病が快癒したことによる。「奈良」田の地名もここからきている。一方、新しくボーリングされた「銀河の湯」のネーミングの方は?
さて、お湯は、熱めの露天「銀河の湯」の方が、断然のワタシ好み。浴感はヌルヌルなれど、湯上りのお肌はスベスベ、ツルツル。無色透明のお湯ながら、温泉であることを強烈に教えてくれるお湯なのだ〜。
しかも、硫黄臭までただよっている。炎天下、30分ほど放っておいたポカリスエットみたいなお湯は、飲んでもおいしい。いいね、いいね。
帳場脇にはペットボトルが用意され、お持ち帰り自由となっている。1時からのチェックインといい、こうしたユーザーフレンドリーな姿勢が随所にうかがえる宿。さぞかし、効くに違いない。
総ひのき造りの湯船がうれしい内風呂、「七不思議の湯」だって負けてはいない。ただ、源泉温が42度を下回ることもあって、ちょっぴりぬるいヌルヌル温泉。こちらは残念ながら硫黄臭なし。
もちろん、奈良の都からおいでになった、やんごとなき女帝にとっては、硫黄臭ごときに心惑わされることなど、ないのであろうが。
予約に際し、本館と別館との違いを尋ねると、部屋と食事が少しだけ異なるとのこと。本館の食事は見てないが、たぶん内容よりも、お食事処の雰囲気が違うんじゃないのかな。
別館のお食事処は「いろりの間」。ストーブを中心にゆったりと、部屋数と同じ4卓だけが配されている。ガスコンロだが、ぼたん鍋が自在鉤に吊るされて、囲炉裏の感じが味わえる。
食事も済んで、一服ついた暗いなか、すっかりお気に入りの露天に浸かりながら、夜空を仰ぐ。雲ひとつないお天気なので、全天、星で埋めつくされて、銀河を形成する小さな星の一つ一つが区別できるくらい。だから、「銀河の湯」なのか〜。
翌朝、目覚めると、お肌つるつる、ご機嫌なのだ。天気はいいし、悪い夢も見なかった。最高だベアー。
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