新潟県の関川村は県境の村。役場前の豪農「渡辺家」をしばし見学。米沢藩主、上杉鷹山に請われて勘定役を務めたというくらいだから、勤倹の教えも徹底している。
松たか子が主演したNHKドラマ「蔵」のロケはここでやったに違いないという母屋の造り。生活感を漂わせつつ、かつ重厚なのだ。
R113走ることしばらく、山形との県境に位置するトンネル抜けて、すぐ左折。飯豊連峰の山ふところに抱かれた白い森の国「小国」の秘湯へ向かう。
意外と開けた集落を外れたあたりに三好荘は建っている。
パンフレットによると、「岩の割れ目から、多量の炭酸ガスを含んだ泡が湯となって噴出するので、泡の湯の名がついた」んだそうである。なるほど、成分分析表によると、遊離二酸化炭素だって1000mgを超え、炭酸泉としての基準をクリア。
さらに続けて、「泡の湯温泉は日本でも五つしかない貴重な炭酸温泉で、入浴すると体内に炭酸ガスが吸収され血液の流れをスムーズに」するんだそうだ。

まずは、ひのき大浴場に入ったものの、ひのきの湯船ではなく、泡といったら湯口からお湯が落下する際生じる気泡ていどのもの。その成分は空気の組成に従って、窒素が過半を占めるのだろう。
こういうお風呂にあたったときには、あわてず騒がず、しっかり洗髪、ボディケア。たいていの場合、アメニティグッズがそろっているからね。
あと一つ、お風呂があったはずだと、源泉温泉(もちろんこんな表示は出ていない)の扉を開ける。
ギョギョギョ〜! なのである。湯面には油膜が張って、よどんだ感じ。茶褐色の湯色もあって、湯船の底は全く見えない。黄土色の大きめ湯の花舞っている。
また一方、チリのような湯花にまぎれて、炭酸気泡は判別しずらい。見た目、「これぞ炭酸泉」と胸を張れるほどのものでもないが、興味をそそられるお湯であること相違ない。
ぬる目のお湯にチャプンと浸かると、油分が隅の吐出し口から流れ去り、薄い茶色のお湯になる。「さてさて、お湯はどこから出てるのかな〜」なんて、いつもの調子で側面を、中腰になり、まさぐっていたちょうどそのとき、出た〜!
魚じゃなくて、ウニオバケの大群が出るわ、湧くわ、あわてるわ。次から次へ襲いかかるウニの大群、思わず後ずさりしてしまったら、尻もちをついてしまった。
実はこのウニ、湯の花なのだが、黄色く、大きく、鮨ネタのウニにそっくりなんだから。久々に、軍艦巻きが食べたくなった。
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