わがまま温泉日記 青荷温泉 あおに

青荷温泉
http://www.yo.rim.or.jp/~aoni/
住所 青森県黒石市大字沖浦字青荷沢滝ノ上1-7 〒036-0402 Memo:一軒宿
一泊二食 \8,500
ビール中 \400
TV・冷蔵庫なし
トイレ共同(洋式有)
電話 0172-54-8588
営業期間 通年(冬場はスノーモビル・雪上車で送迎)
泉質 単純泉 源泉温41.7度(青荷1号泉)
旅行日 01/04/30
コメント 樹海

 「青荷沢」という国土交通省の大きな道路標識にだまされて、折れるところを間違えた。「青荷温泉」との表示もないし、山道をこのまま上ろうか、どうしようかためらっていたちょうどそのとき、「熊出没注意!」の立看板。一目散に国道まで戻ったことは言うまでもない。
 国道折れての上り道、峠近くで振り返れば西に岩木山。峠を越えての下り道、東に八甲田の峰々が望める。青荷沢は見渡す限りの樹海であった。この広い樹海に、何頭のクマが生息していることだろう? 青荷温泉はそんな樹海に沈み込むランプの灯る秘境の一軒宿である。

谷底の青荷温泉 やっと着いた。ランプの明かりと山小屋のオヤジが迎えてくれる。そんな情景を思い描きながら、駐車場から重い荷物をかかえて、宿までの坂道を下る
 玄関前では日帰り客が涼んでいたり、散歩をしたりと、決してひっそりとなんかしてやいない。青森の一大スバリゾートへ舞い込んだ気分。
 さて、日帰り客でにぎやかなロビー奥のフロントでチェックイン。だれもいない。売店で聞くと、「オギナ声で呼ばニばダミダー」とさ。大声を張り上げてみた。部屋番号だけ教えてもらい、自分の部屋は自分で探す。あまり広くもない館内を荷物を持って、ウロチョロ、ウロチョロ。

竜ケ滝 館内清掃のおばさんに教えてもらったワタシたちの部屋は、ランプが灯ってお出迎え。ちょっと臭い。オイルライターの臭いの嫌いな人は少し考えた方がよいかも知れない。
 ダンナはデジカメ電池充電のため、コンセントを探しまくる。どこをどう探しても見当たらず、途方にくれていたっけね。ワタシのデジカメは旧式の単3電池式なので、こんなときに役に立つ。新しければよいというものでは決してないのだ。
 日帰り客と同じく、ワタシたちも荷物を置いて散歩してみる。川の両側には湯小屋やら、休憩所やらが並んでおり、その上流では雪解け水が竜ケ滝となって勢いよく流れ落ちる。

竜神の湯 露天向かいの混浴「竜神の湯」は、入って1mほど形ばかりの仕切りが設けられているが、ごらんの通り湯船はいっしょ。お湯につかれば、先ほどの「竜ケ滝」の流れが正面に見える上に、お湯も濃そうだ。お肌しっとりなのである。
 夕食は、囲炉裏の火とランプの灯りにほんのり照らされて、静かにいただくといいうイメージを抱いていたのだが、これまた裏切られてしまうことになる。大広間に宿泊客全員が集い、薄暗いランプの明かりのもと、「これ何ですかね〜」と隣のお客と確認しあって口に運ぶのだ。
 食事が終われば、風呂に入るか寝るしかない。テレビや冷蔵庫といった文明の利器などもちろんないが、本を読むにも暗すぎて字など見えやしない。早くも9時には自分で敷いた布団でおやすみとなる。

健六の湯 ランプの宿「青荷温泉」は俗化しすぎたとの声も耳にする。なるほど、電話で予約したときの手馴れた応対といい、いかにも日帰り客目当ての入浴施設「健六の湯」といい、確かにその感は否めない。
 しかし、4つあるお風呂のいずれにも、カランやシャワーの設備はなく、お湯につかる、そのことのみを考えている。今年の1月1日にオープンしたばかりの「健六の湯」においてすら、「お湯につかる」というポリシーは貫かれていたのだ。

磨き上げられたランプの群れには独特の美しさ ワタシは一種の感動すら覚えてしまった。この宿なら発電設備を整えることも、蛇口やシャワーを設けることも、資金的には至って簡単なことのはず。しかし、「ランプ」と「お湯」にはとことんこだわる。このこだわりがワタシを震わせるのだ。
 電気がないのはもちろんのこと、仲居さんがいないので、布団の上げ下げは自分でやる。ご飯や味噌汁も自分で盛る。ビールはランプしか灯っていない厨房のおばちゃんのところまで取りに行く。そうした所作を苦にさえしなければ、ここは安いし、ぜひとも泊まりで楽しみたい。

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