町田市の環境大気ダイオキシン測定


●町田市では、リサイクル文化センター周辺地域とは別に、市内3ヶ所で大気中のダイオキシン類測定を年4回行っています。
 6月1日の「広報まちだ」に、この大気中のダイオキシン測定の昨年度実施分のデータが掲載されました(実測値とTEQ値)。
 ※3ヶ所の測定地点の内、鶴間会館は1999年8月から、市役所と小山センターは2002年5月から実施しています。
 ※大気のダイオキシン濃度基準値は0.6pg-TEQ/m3です。
 ※TEQ(毒性当量)とは、それぞれの異性体の実測値に、ダイオキシン類の内、最も毒性の強い4塩化ダイオキシン   (2,3,7,8-TCDD)の数値に換算する係数(TEF)を掛けて求めた値です。

2007年度から測定箇所が、市役所、小山が丘小学校、旧246号線入口(長津田辻側)の3ヶ所に変更になりました。
  
※このデータは別サイトにまとめて掲載しました。

●そもそもこの測定は、鶴間・瀬谷地区にあった産業廃棄物処理場からの煤煙被害で、住民からの請願を受けて、議会でダイオキシン調査の予算が確保されたことによるものです。  ※現在、産廃処理業者の焼却施設は撤去されています。


●下記のグラフ(図1〜3)は、実測値に基づいて、同族体の存在量の割合を%でグラフ化したものです。
  ただし、市役所のデータだけ、mono-orthoPCBsの存在量が突出しているために、最大パーセント値を変えてあります。
  実際には、ほとんどのデータで90%以上を占め、最大値では96%にもなっています。他の2ヶ所は、最大値でも62%です。
  
●図4〜6は、実測値の内、PCDDとPCDFだけのデータをグラフ化したものです。突出していた市役所のmono-orthoPCBsを除けば、他のダイオキシン同族体のデータは、類似していることが解ります。

●図7〜10は、実測値の内、測定日毎のPCDDとPCDFだけのデータをグラフ化したものです。どの測定日でも4塩化ジベンゾフランの値が高い傾向にあることが解ります。

●図11〜13は、実測値の内、コプラナーPCBの存在量を測定地点別にグラフ化したものです。最も高い#118の割合が鶴間会館で46〜61%、小山センターが52〜61%、市役所は66〜72%となっています。


●さて、他の同族体の存在量比は、一般大気のものと類似していますが、市役所の突出したmono-orthoPCBsの出どころは何処なのかという疑問が生じます。

朝日新聞の記事(昨年4月19日付夕刊)に,有害化学物質として1972(S.47)年に製造中止となったPCB(ポリ塩化ビフェニル)が,1972年以前に施工されたポリサルファイド系シーリング材に含まれているという記事が報道されました。これは、兵庫県が2000年に実施したダイオキシン類の環境調査で,県内の公共82施設のうち8施設でシーリング材からPCBが検出されたと公表されたことによるものです。建築用シーリング材とは,建物の外壁などを構成するガラスやサッシ,パネルなどの各種部材間(目地)に防水性・気密性を確保する目的で使用される材料です。

●町田市役所は1970年の建設です。指摘されている同様のシーリング材を使用していることも考えられます。
ダイオキシンの毒性当量(TEQ値)は確かに環境基準値以下ですが、これだけ突出したPCBが検出されている以上、その要因や、もし、建材由来であるなら、PCBの揮発防止なとについて、説明があってしかるべきです。そもそも市役所は、PCB規制が強化された際、このことについて、調査を行ったのでしょうか。


参考:日本シーリング材工業会のホームページ  http://www.sealant.gr.jp/


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