町田市環境大気ダイオキシン調査 2007年度~2011年度

▲ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDDs)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)及び、コプラナーポリ塩化ビフェニル(Co-PCB)を総称してダイオキシン類といいま

市役所の移転に伴い、計測地点が、2012年5月より町田市保健所に変更になりました。今後も新しい測定地点の経過を追っていきます。


●町田市では、リサイクル文化センター周辺地域とは別に、市内3ヶ所で大気中のダイオキシン類測定を年4回行っています。2007年度からは、市役所、小山ヶ丘小学校、旧246号線入口(長津田辻側)の3ヶ所に変更になりました。
 市役所のデータは他の2ヶ所に合わせて2007年度~2011年度の分です。
 
※以前のデータはこちらから→

 ※大気のダイオキシン濃度基準値は0.6pg-TEQ/m3です。
 ※TEQ(毒性当量)とは、それぞれの異性体の実測値に、ダイオキシン類の内、最も毒性の強い4塩化ダイオキシン(2,3,7,8-TCDD)の数値に換算する係数(TEF)を掛けて求めた値です。

●図1~3は、地点別のダイオキシンの実測値をグラフ化したものです。市役所のmono-orthoPCBsが突出しているのが解ります。小山ヶ丘小学校と旧246号線入口のmono-orthoPCBsの最高値が、それぞれ6.4pg/㎥、6.5pg/㎥であるのに対して、市役所の値は270pg/㎥と飛びぬけた値です。

●図4~6は、地点別のデータの内、コプラナーPCBの割合をデータ化したものです。いずれも#118(P5CBの内2,3',4,4',5-PeCB)の割合が高いのが解ります。もちろん、市役所の#118の割合がトップ(69%)です。
次に#105、#77、#156という順ですが、市役所の場合は、#77と#156に大きな差は見られません。割合比ではここに違いが見られます。

●図7~9は、ダイオキシンの実測値の同族体の割合をグラフ化したものです。
市役所のデータではmono-PCBsの値は大きな季節変化は余り見られませんが、他の二ヵ所では、明らかに夏場に高く冬場に低い傾向が見られます。


●さて、他の同族体の存在量比は、一般大気のものと類似していますが、市役所の突出したmono-orthoPCBsの出どころは何処なのかという疑問が生じます。

朝日新聞の記事(昨年4月19日付夕刊)に,有害化学物質として1972(S.47)年に製造中止となったPCB(ポリ塩化ビフェニル)が,1972年以前に施工されたポリサルファイド系シーリング材に含まれているという記事が報道されました。これは、兵庫県が2000年に実施したダイオキシン類の環境調査で,県内の公共82施設のうち8施設でシーリング材からPCBが検出されたと公表されたことによるものです。建築用シーリング材とは,建物の外壁などを構成するガラスやサッシ,パネルなどの各種部材間(目地)に防水性・気密性を確保する目的で使用される材料です。

●町田市役所は1970年の建設です。指摘されている同様のシーリング材を使用していることも考えられます。
ダイオキシンの毒性当量(TEQ値)は確かに環境基準値以下ですが、これだけ突出したPCBが検出されている以上、その要因や、もし、建材由来であるなら、PCBの揮発防止なとについて、説明があってしかるべきです。そもそも市役所は、PCB規制が強化された際、このことについて、調査を行ったのでしょうか。

参考:日本シーリング材工業会のホームページ  http://www.sealant.gr.jp/

このシーリング材の問題について、市長への質問状を2008年6月に提出しました。その質問(シーリング材の分析結果について)への回答は「PCBは検出されない」とのものでした。
そこで、再度9月に分析調査の詳細を質しました。結果は町田市庁舎の9箇所(B1~3Fのサッシ等)をサンプリングし、硝酸への溶解テストの結果、「全く溶解しない」との判定結果を得た、よって全試料とも非ポリサルファイド系シーリング材というものでした。

しかし、相変わらず市役所のPCB(特に#118のco-PCB)は他と比べて以上に高い数値を示しています。図10参照



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図10