情報センター通信No.10
2000.9.15発行


まちだ子どもフォーラム2000
「17才ってアブナイの?」開催に向けて

                 
子どもフォーラム2000事務局  武田 悠

●「キレる」17才たち
 今年2000年の5月から短期間のうちに、17歳前後の少年・少女たちによる常軌を逸した凶行が相次ぎ、日本中を震撼させました。愛知県豊橋市で16歳の高校生が「人を殺す経験をしたかった」という理由で、何の面識もなかった64歳の主婦を刺し殺しました。佐賀では、ゴールデンウィークの真っ只中に17歳の少年が長距離バスをジャックし、1名を殺害したほか、人質にとった幼児を含む多数の乗員・乗客を狭いバスの中で長時間拘束し、恐怖に陥れました。滋賀県大津市では、ごみを出しに自宅の裏庭に出た70歳の男性が、物置に隠れていた19歳の少年にいきなり金づちで数回殴られ、負傷しています。横浜の根岸線では、17歳の高校生が、座席で眠っていた48歳の男性を金づちで殴りつけ、逮捕されました。水戸市でも、17歳の二人の少女が26歳の女性をプレハブ小屋に監禁、暴行した上、耳たぶを切り落とすという事件を起こしています。鹿児島県では、ショッピングセンターでバイトをしていた16歳の少年が仕事の仕方を注意され、店長を包丁で刺殺しました。
 なぜ、彼らはこのような凶行に及んだのでしょうか。彼らは一様に「キレた」のだと、したり顔で語る人々がいます。ある瞬間に理性を失い、激情の赴くままに振舞ったのだと。しかし、キレる理由は人によっても違うし、キレたからといって誰もが暴力的になるわけでもありません。キレるエネルギーの大きさがそのまま、凶行のすさまじさに比例するわけではないのです。それでは、その間にある「ブラック・ボックス」は何か。まさに、これが「まちだ子どもフォーラム2000」のテーマの一つです。


●「まちだ子どもフォーラム2000」とは?
1999年11月21日(日)、都立町田高校において「まちだ子どもフォーラム'99〜わかりたい!わかってほしい!!子どもと大人のコミュニケーション空間」というイベントがおこなわれ、中・高校生や市民、教職員、行政関係者など約100名が参加しました。子どもたちや子どもをとりまく環境をいくつかの視点からみんなで立体的に考えてみよう、という試みです。筆者も主催者の一員として運営に携わらせていただきました。当日は、ゲームなどを交えて和やかな雰囲気づくりに努めた甲斐もあってか、さまざまな立場の方からたくさんの貴重なご意見をいただくことができました。参加者から来年もぜひ続けてほしいという要望を多数いただいたこともあり、2000年内の開催を関係者で模索してきた結果、今回はシンポジウム形式でやってみようということになりました。テーマは、表題のとおり、17歳を中心とした世代が地域や家庭とどう向き合っているのか、いまどのような状況に置かれているのかを考えることとしました。10月1日(日)の午後2時から5時、会場は「コメット会館」の5Fホール。詳細については最後にまとめさせていただいので、ぜひご参照ください。

●社会・家庭と子どもたち
一連の少年たちによる凶悪事件を指して、「17才問題」という言葉が使われています。何の違和感もなくこの言葉を受け止める人、当の17才世代を中心として反感を覚える人など反応はさまざまです。確かに17歳を中心とした世代だけが凶悪犯罪を引き起こしているわけではないし、むしろ犯罪の発生件数としては減少傾向にあるという調査もあります。しかしそれでも、10年前や20年前に前述したような事件が頻発していたかといえば、そうではないとも思います。
 社会や家庭は子どもたちにどのように向き合い、どのような関係を築いてきたのでしょうか。戦後、私たちは廃墟の中から奇跡の復興を遂げ、その勤勉さによって今日の繁栄を享受するに至りました。生活は一変し、年々めざましい進歩をとげる科学技術は、ほんの少し前にはSFや夢物語であったことを現実の生活の中で次々と実現させています。しかし、私たちはこうした成功のもとで、本当に幸せを実感できるようになったのでしょうか。子どもたちは生まれたときから圧倒的な「自由」を享受しています。しかし、せっかくの自由を持て余し、本当に自分のやりたいことも見出せず、他者との関係も上手に作れないまま、社会の中で孤独に漂流している子どもが多いようにみえます。しかし、漂流しているのは果たして子どもたちだけなのだろうか。そんな考えも浮かんできます。
 何が悪いのか、ではなく、これから何をしようか。これをみんなで意見を交わしながら考えていくことが、まちだ子どもフォーラム2000の目的です。ぜひ、スタッフとして、または当日の参加者としてフォーラムに参加しませんか。

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