情報センター通信No.11
2000.11.30発行


町田リサイクル文化センターの協定書問題について

2000.10月/小山田桜台/奥村憲雄

町田市長宛質問状(7月17日付)への回答が8月25日付でありました。
以下、簡単に感想を付け加え、質問書/回答書と協定書をご紹介します。(質問、回答とも一部略)
『公害防止について』--町田市のごみ処理施設の公害防止にかかわる協定書問題についての質問にたいし、市は市長の議会答弁(自然消滅)を事実上撤回し、今後とも順守する旨明かにしました。
東京都内の関連協定書の中で、「終了期限が明記されているもの以外、そうした(自然消滅)ことは聞いたことがない」そうです(都の担当者)。その意味で市長回答は、本来あるべき姿に戻ったものとして歓迎したいと思います。
 しかし少なくとも97年、もしくは86年より、町田市のごみ処分施設をめぐって「公害防止協定が消滅していた」わけです。行政の責任であり、こうした立場で、安全性が極めて疑わしい廃プラ処理施設の計画が押し進められようとしていることを重く見たいと思います。
 市の回答は、『「ごみ処理基本計画」については、現時点ではプラスチック対策に取り組んでいるところであり、具体的な検討にはいたっておりません。』『「ごみ処理基本計画」の策定時期については未定です。』というものでした。これは、1月のごみ減量審議会の答申(発生抑制、燃やさない、埋めない)をかざりあげようという態度ではないでしょうか。


町田市長寺田和雄様               2000年7月15日
    質 問 状/回 答 書  

(1)町田リサイクル文化センターの公害防止について
             

日頃よりゴミ行政に関心をもつ町田リサイクル文化センター周辺住民の一人として、次の諸点について市長の見解を質したく思います。ご検討のうえご回答ください。
1982年の町田リサイクル文化センター稼働に際して、大下勝正町田市長(当時)と町田市清掃施設建設連絡協議会(大谷喜代志代表)との間で締結された、公害防止のための協定書があります。これに関連して以下の質問をします。
1997年の9月議会において町田市長は、「現在、協定書がないわけでありますが、...一応それが今日もう用を果たしたと言うと問題かもしれませんけれども、まあまあ周辺等のご理解で、それが一種の自然消滅みたいになっているわけでございます。」さらに、「協定書の問題ですが、物理的にはないんですよ。ただ、そういうふうに地域と一緒にやろうという精神は生きているわけですから(後略)」と答えています(議事録244-5p)。
続けて市長は「今直ちに、そういう自治会、町内会から協定書を結べという声はないわけであります。お互いの信頼関係の中でやっているわけでありますので、ご理解をいただきたい」と述べています。
ところが、同年6月議会で市長は「協議会は解散しているが、協定書は有効」と答弁しています。この点で協定書第6条には「乙の組織が変更改組されたときは、この協定書は新組織にそのまま引き継がれるものとする」とあります。
また、小山田住民有志一同への同市長の回答文(同年7月16日付)(以下、「一同への回答文」)は、1986年5月で同連絡協議会が解散したことと、「協定書は焼却炉建設に対し締結されたものと理解。その後新たに発生する問題は担当部で対応する」と述べています。
ここで、協定書の目的が「地域の生活環境を守るため、町田リサイクル文化センターに関する公害防止について、次のとおり協定を締結する」とされていることを確認したいと思います。
また、町田市が同センターを建設するに当たり「建設概要」としてあげているのは、「焼却処理施設、埋立処分地施設」の両者であることをご確認ください。(町田リサイクル文化センター発行パンフレット)
つまり、「一同への回答文」がいう「協定書は焼却炉建設に対し締結された」という見解は、不正確なものと言わねばなりません。 そこでお尋ねします。

(質問 )町田市長は、地方自治体として町田市が管理・運営するごみ処分施設について、地元町内会等と何らかの公害防止を目的とした協定書を結ぶことの意義を、どのように捉えておられますか?
(回答)御指摘の「ごみ処分施設」は、地元住民の御理解の上に成り立つものであり、協定書は意義あるものと認識しております。
(質問)「1986年5月で同連絡協議会が解散した」時点で、「一種の自然消滅」となった、と判断したのですか?「もう用を果たしたと言うと問題かもしれませんけれども」「まあまあ周辺等のご理解で」とは、どのような意味でしょうか?
(回答)町田リサイクル文化センターの運営において、協定書の内容は現在も存在し、公害防止においても環境関係諸法と整合性を持たせつつ環境負荷の低減を目指しております。
(質問 )かかる協定書が締結後わずか数年で「物理的にはない」状態に陥ったことについて、行政として、同施設を発生源とする公害への対策を、どのように取る所存でしたか?起こり得るさまざま事態にたいし「地域と一緒にやろうという精神」だけで対応されようとしたのですか?
(回答)町田リサイクル文化センターは、環境関係諸法の公害防止基準及び協定書別表1の諸基準を厳格に遵守しながら対策を講じており、今後も運営してまいります。
(質問)かかる市長の見解について、廃棄物処理法(周辺地域への配慮)、都市計画法(公害防止計画が定められているときは、都市計画は当該公害防止計画に適合したものでなければならない)等との関係で、東京都はどのような判断をしていますか?
(回答)第三と同様になりますが、町田リサイクル文化センターは、都市計画法や都市計画法や環境関係諸法及び協定書等を厳格に遵守しながら、施設改善等を行ってまいります。
(質問 )「協議会は解散しているが、協定書は有効」という見解に立つとすれば、周辺町内会を基盤とする同協議会にどのような事情があったにせよ、第6条の「乙の組織が変更改組されたときは、この協定書は新組織にそのまま引き継がれるものとする」との規定を生かし、新たに周辺町内会等と交渉することも可能だったのではありませんか?
(回答) 昭和57年2月4日設立された町田市清掃施設建設連絡協議会は、昭和61年5月28日解散しましたが、その後も、今日まで継続的に町田リサイクル文化センター地元町内会・自治懇談会の皆様に対し、町田市環境部として年度ごとの事業及び予算概要の説明等を行ってまいりました。
(質問 ) ('97)9月議会で市長は「(自然消滅状態は)いろんな意味で問題があるとすれば、特に地域の自治会、あるいは町内会..を中心にお話をしてまいりたいと思っている」と答弁されています。今の時点で「自治会・町内会から協定書を結べという声」が出されれば交渉を検討されますか?
(回答) 前述の町田リサイクル文化センター地元町内会・自治会懇談会が、その種の機能を持つものと認識しております。また、併せて会及びその機能を保管していく必要性も認識しております。
(質問) 町田市が町田リサイクル文化センターを建設・管理・運営するに当たり『公害防止計画』と見なしているものがあるとすれば、それはどのようなものですか?(1)その名称、策定機関、日時、全文の提示を。(2)また、1982年の公害防止のための協定書が、公害防止計画(もしくはその一部)に相当するものかどうか、見解を示して下さい。(以上)
(回答) 町田リサイクル文化センターは、前述の環境関係諸法・協定書及び別表1を基に運営されており、ご指摘の町田市としての「公害防止計画」は協定書及び別表1です。名称は協定書、策定機関は町田市清掃施設建設連絡協議会、締結は昭和57年2月4日です。(以上)
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質 問 状/回 答 書  (2)
町田市のごみ処理計画および廃プラ処理施設の建設について(略)

協 定 書

 町田市長大下勝正(以下「甲」という。)と、町田市清掃施設建設連絡協議会長大谷喜代志(以下「乙」という。)は、地域の生活環境を守るため、町田リサイクル文化センターに関する公害防止について、次のとおり協定を締結する。
(協定の基本理念)
第1条 甲は、公害の発生防止について、社会的責務を有することを強く自覚し、積極的に住民との連携を保ち、誠意をもってこの協定事項を履行するものとする。
(公害の防止)
第2条 甲は、施設の稼動にあたり、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動及び悪臭(以下「大気汚染等」という。)による公害を防止するため、必要な諸対策を誠実かつ適切に実施するものとする。
2 甲は、公害防止設備の維持管理にあたっては、常にその機能が充分に発揮できる状態とし、「大気汚染等」公害の未然防止を図るものとする。
3 甲は、公害防止設備に改善に積極的に努めるため、技術開発に即応した研究調査を実施するものとする。
(測定検査等)
第3条 甲は、公害関係諸法規を遵守し、測定検査を行い、乙がその検査記録の提示を要請したときは、これに応じるものとする。
(施設の変更)
第4条 甲は、重要な施設の改善、改良を行う場合は、乙にその計画を提示し、協議するものとする。
(緊急時の措置)
第5条 甲は、別表1に定める基準を越えた場合、または越える恐れのある場合は、直ちに、焼却量の削減等必要な措置を行い、その補修、改善等適切な措置を講ずるとともに、重大なものについてはすみやかに乙に報告し、甲、乙確認したうえで運転を再開するものとする。
(その他)
第6条 この協定に定めない事項について定める必要が生じたとき、この協定に定める事項について疑義が生じたとき、またはこの協定に定める事項について変更する必要が生じたときは、甲、乙協議して定めるものとする。
2 乙の組織が変更改組されたときは、この協定書は新組織にそのまま引き継がれるものとする。
この協定の締結を証するため、この協定書2通を作成し、甲、乙がそれぞれ署名押印のうえ各1通を保有するものとする。
昭和57年2月4日
甲 町 田 市 長  大 下 勝 正(押印)
乙 町田市清掃施設建設連絡協議会 
会長  大谷喜代志代表(押印)    立会人(2名略)
[別表1]
1. 大気関係
ばいじん量 0.03g/NG以下 (乾きガス)
硫黄酸化物 20ppm  以下 (K=6.42)
窒素酸化物 150ppm  〃
塩化水素 80ppm   〃
2. 排水関係 都公害防止条例基準値以下
3. 騒音 敷地境界線で
午前8時から午後7時まで45ホン以下
午後7時から午前8時まで40ホン以下
4. 振動 敷地境界線で
午前8時から午後8時まで 60デシベル以下
午後8時から午前8時まで 55デシベル以下
5. 臭気 敷地境界線で悪臭防止法に定める規制基準以下

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