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恐る恐る上目遣いでイルカ先生を伺うと、ニコニコ笑いながら勢い良く平らげている。・・・・・ま、いいか。オレ
の記念すべき初調理だし細かいツッ込みは無用、この人が美味いと言ってくれれば問題は無い。実際明日
からの予定を語らいつつ箸を動かしていたら皿はあっという間に空になった。片付けを請け負った先生の背中
を眺めながら、いつもの如く窓際で食後の一服をしているとさそり座のアンタレスが赤く夜空に瞬いている。良
かったねセンセ、明日も晴れみたいだねぇ。窓の外に煙を吐き出しながら告げるとケホケホと何度か空咳が
聞こえ、思わず振り向いた。珍しい。イルカ先生はオレと違って煙草も吸わないし普段から呼吸器系も丈夫
だ。静かに近寄り洗い場に立つ背中をそっと覗き込むと、彼は微かに眉を顰め咽に手を当てていた。
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