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イルカが指しているのは、アカリの驚くべき記憶力だった。知識だけであるなら、中堅の医療忍か或いは特上
レベルにまで既に達しているだろう__カカシの忌憚ない言葉に、イルカの愁眉は逆に深まる。アカデミー始
まって以来と評されるアカリの学業成績はパーフェクトと云っても良い程に高かったが、それは優れた理解
力・読解力の賜物ではなく、驚異的な記憶力の所為であるとイルカもカカシも分析していた。容量の大きなメ
モリや高性能のCPUを積んだコンピュータより、図形・写真・文字に亘るあらゆる情報を読み取る、スキャナ
の方がアカリの頭脳を例えるに近しい。コピー能力という点では、カカシの赤い片眼との類似点も浮かぶが実
際にはその範疇を軽々と越えている。何しろこっそりと立ち読みした18禁小説の内容を、セリフを含め一字一
句を暗記して諳んじられる程なのだ。
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