まごころを君に 1



ぼーくらはみんなーいーっきているー、 
         いきーているからうーっれしんだー



爽やかな初夏の風に吹かれながら、好きな男を待つ幸せ。
これで鼻歌のひとつも出なかったら嘘ってもんだ。


アタシはゆったりと木の根本に凭れると、アカデミーの校庭を見渡した。
子供達の笑い声やはしゃぎ声がそこかしこから聞こえてきて、知らず微笑ましい気持ちになる。
つい先日まで荒れ狂った戦地にいた身には、目の前の穏やかな風景がまだ少し非現実的に揺れている。


早く来ないかな、イルカ。


半年前、アタシは上忍になって初めて、前線に赴いた。
もちろん今までも単独任務や、チームを組んでの大掛かりな任務に就いたことなど幾らでもある。しかしそれ
までの自分にとって前線はまた別の次元の話だった。

そこは、これまで経験したことのない、想像すら出来ない地獄だった。

__あの場所で起こったことを、正直今でも思い出したくない。

忍は里のものだし、その存在は里に尽くす為だけに在る。
木の葉の忍は皆、それを胸に刻んで戦いに身を投じている。けれど最初から死ぬつもりで戦場に赴く者など
誰もいないし、皆生きて故郷に帰り着きたいのが真情だ。

だが大局の中で駒として動かされる忍の命は、余りにも軽く、儚い。そしてその戦いの中で最大限の活路を
見いだす為、常に先端に投入されるのがアタシたち上忍だ。


アタシはビビッた。
マジでビビッた。


普段からアタシは自分の実力に絶対の自信を持っているし、現にこうして無事里に帰ってきた。
それでも__あぁ、アタシもう死ぬんだなぁ、って思ったことが__二度、三度。そんな時自分を支えたのは、
生きてもう一度イルカに逢いたい、その一念だった。


アタシはその地獄をくぐり抜けてつくづく思った。上忍は贄だ。里のために飼われる贄だ。その地位も名誉も
金も、いざという時真っ先にその身を差し出す為の、繋がれた鎖に過ぎない。

でもアタシは、上忍になったことを、決して後悔していない。
里に生まれ育った者として、その能力に長けた自分が故郷を守るのは当然の務めだ。もしお前が犠牲になる
ことで里が救われると言われた時は、いつだって喜んでこの身を差し出す。


だからこそ、生きている内に、心残りはしたくない。

この戦地から生還できたら、__イルカに、この気持ちを告白しよう。

イルカが好きだ。離れたくない。この先ずっと、ずっと、一緒にいたい。
もしまたこうして離ればなれになることがあっても、アタシのことだけを、待っていて欲しい。
そう正直に告げよう。

野営地に寝ころんで満天の星空を見上げながら、夜毎心に、固く誓った。




アタシが掴んだ敵方の情報が功を奏して、長く膠着状態だった戦いは一気にカタがついた。自軍を勝利に導
いた功労者として、アタシは戦地での事後処理を待たず、先に帰還することを許された。





早く、早く。とにかく早く、イルカの元へ。
恥も外聞も体裁も、遙か彼方に放り投げて駆け込んだアカデミーの職員室で、突然降って湧いたアタシにイ
ルカは仰天しながらも、やがて優しく抱きしめてくれた。


__おかえり、シズク。頑張ったな。


イルカの腕の中で、アタシは泣いた。








アタシとイルカは、小さな頃から何をするのも一緒だった。
生まれ育った家は向かい合わせで、アカデミーにも一緒に通った。九尾の厄災でイルカが一遍に両親を失っ
た時は、暫くアタシの家に身を寄せていたこともある。
幼い頃から学ぶ時も遊ぶ時も、隣を見ればいつでもお互いの存在がそこにある。それは自分達にとって当た
り前すぎる日常で、その感覚は幼馴染みと言うより、殆ど兄妹に近かった。
だからアタシは長いこと自分の気持ちに気付く事が出来なかった。__心と体の成長と共に、いつの間にか
イルカを一人の男として愛していたことを。

その恋心を自覚してから、アタシの長い煩悶の日々が始まった。イルカに自分の気持ちを告げたいのは山々
だけど、イルカだって今までの自分と同様、アタシを女として意識していないのは明白だ。

その「女」としての自分を拒絶されることが、アタシは何より怖かった。

それを思うだけでもう一歩踏み出そうとする足は完全に竦み、呪縛は心を締め上げた。だからアタシがイルカ
の前で恋心をちらつかせたことなど、今まで一度もない。ただひたすら強い忍耐力で、あくまで気のおけない
昔馴染みのひとりとして接し続けてきた。

そう、あの前線に赴くまでは。

あの戦場で、人生におけるリスクもステイタスも格段に上がったと骨身に染みて痛感したアタシは、ようやっと
長年の想いにケリをつける決心がついた。__遅すぎるほどの、逡巡の果てに。




イルカの迷惑かえりみず、泣くだけ泣いてスッキリしたアタシは、数時間後の再会を約束してその場を後にし
た。


__あぁ、体に羽が生えたように軽い。思い焦がれた相手に会えたこと、その腕の中で優しい労りを受けたこ
とが、心の中の澱をすっきりと洗い流していた。


凭れた木の幹の向こうから、柔らかくアタシを呼ぶ声がする。
高鳴る鼓動を抑えようと、胸を押さえ、大きく息を吸って目を閉じる。


イルカ、アタシはもう逃げない。
どんな結果が待っていようと構わない、今夜絶対アンタに告白する。何もしないで悔やむなら、精一杯ぶつか
って、後悔したい。傷ついたって構わない、だって痛みを感じるのは、生きてる証だから。




__そう、思っていたのに。




はたけカカシ、なんでアンタが、ここにいる。








人いきれと喧噪が混じり合う賑やかな店の中、アタシはイルカの肩に凭れてグラスを舐めていた。
久しぶりのアルコールが程良く回って心地よい。

何だか、酔ったみたい。

そう言い訳すればイルカは笑って許してくれる。腕に頬を擦り寄せると微かにイルカの体の匂いがする。
あぁぁ、好きな男の温もりって、なんでこんなに心を癒すんだろう。あまりの心地よさに、もうすでに躰の芯が
溶け出しそうな気さえする。これが極楽っていうものか。


そう、アンタさえいなきゃね、カカシ。


アタシは向かいの席からザクザクと突き刺さる視線を受け止めると、倍の強さで投げ返してやった。
なんなのコイツ、さっきから。アタシとイルカの大事な夜を邪魔しやがって。なんのつもりでついてきたのか知
らないけど、此処を出たらソッコーでイルカをさらってやる。アタシは机の下で拳を握りしめた。








『やー、鳴滝くん。ごぶさた。』

聞き覚えのある間延びした声。
アタシを迎えに来たイルカの背後に立つ男に会うのは、確かに数ヶ月ぶりかも知れない。
沈みかけた夕日に照らされた白に近い銀髪が、燃えるように輝いている。口布と額宛てで顔を隠す奇抜な格
好は相変わらずだったが、いつも露出している右目だけが笑っていた。
その笑顔にどうにも不穏なものを感じて素早くイルカの腕を取ると、耳元で囁いた。


___イルカ、なんでカカシがここにいるの。あんたたち知り合い?

___シズクこそカカシさんと知り合いなんだろう?カカシさん春から上忍師してらっしゃるんだよ。
    部下達がオレの教え子でさ、それで最近親しくさせて貰ってるんだ。


じょーにんしぃー!?この男が!?およそ人の面倒を見ることとは無縁の、自堕落とふしだらを絵に描いたよ
うなこの男が!?文字通り開いた口が塞がらない。それだけならまだしも、


___シズクのことカカシさんに話したらさ、久しぶりだし積もる話もあるからぜひ会いたいって。
    だからこれから一緒にどうですかって誘ったんだけど、いいだろ?


えぇぇぇぇ、なにそれ。
イルカと二人きりになれると有頂天だったアタシは、落胆のあまり膝をつきたくなった。力んでいた体から音を
立てて空気が抜けていく。なんという間の悪さ。こんな時に__カカシと鉢合わせとは!
しかしイルカが誘ってしまったのなら仕方がない。好きな男の前で、誰だって狭量な自分を見せたくはない。
アタシは渋々、頷いた。


それにしても積もる話って、なんだ。
確かにアタシとカカシは上忍同士、一緒に組んで任務をこなしたこともある。けれど、ただそれだけの関係だ。
差し向かいでわざわざ話しをするほど親しくはないし、別にそうしたいとも思わない。訝しげなアタシの表情に
気付いたのか、カカシは再び笑ってみせた。


『鳴滝君、ゆっくり前線の話でも聞かせてちょうだいよ。向こうで大変だったって?』


・・・間違いない、アタシの気のせいじゃない。

取り繕った愛想の良さのその裏に、冷たい刃のような殺気が籠もっている。アタシだって腐っても上忍だ、こ
れくらいの殺気をぶつけられたところで痛くも痒くもない。が、何をどう考えても自分にそんな謂われはない。

今夜はアタシとイルカの運命が変わる、劇的な夜になる筈だったのに。__全く妙なことになったもんだ。

アタシは小さく溜息を吐くと、前を行く二人と共に、アカデミーを後にした。








「カカシさん、コイツはね、IQが200あるんですよ。天才なんです。」

頬と耳をペタリとくっつけたイルカの背中から、響きの良い声が湧いてくる。
頭にまで回ってきた酔いにまかせて、アタシは好きなだけイルカに甘えていた。胡座をかくイルカの腰に手を
廻すと、後ろから抱きつくように上半身を預ける。
なんだよ重たいって、しょうがないな酔っぱらいは。イルカの笑い声がアタシの体に直接響く。イルカの肩越し
にカカシを伺うともうこっちを見ていなかった。口布を下ろし頬杖をついてイルカの話を聞いているその姿に、さ
っきまでの剣呑な気配は全くない。


「それに最初に気付いたのはね、オレなんです。まだアカデミーに入る前だったかな、__オレの家にあった
チエの輪をね、コイツが手にした途端パパパッと外しちまったんです。びっくりしましたよー、オレなんか何度
挑戦してもどうにもならなかったんですからねぇ。そのうえ外したヤツをまたすぐ元に戻すんですよ、すごいでし
ょ?オレはその頃から、コイツはただ者じゃないって思ってましたけどね。」


えぇ?そんなことあったっけ。あーあーあー、あったあった、そういえば。
確かイルカのオヤジさんが任務先の土産で買ってきたヤツじゃなかったっけ。そうだそうだ、すっかり忘れて
た。それにしてもイルカはよく憶えてたもんだ、なんだか__凄く嬉しい。
アタシは半分まどろんでいるフリをして、抱きつく腕にギュッと力を込めた。さぁさぁイルカ、遠慮しないでもっと
褒めて。アタシは全然かまいませんから。


「あと演算も凄かったな。何桁もある数式をね、見た瞬間に解いちゃうんですよ。まぁそんなこんなで、コイツの
才能はすぐに周りの知るところになりましたけどね。」

「ま、でも知能指数っていうのは単なる数値基準でしょ?それが実戦でどれほど役に立つのかは未知数です
よ。」

混ぜっ返すカカシの声にイルカの笑い声が重なる。

「そんなもんですかね?でもシズクはね、小さい頃から運動神経も良かったし本当の文武両道だったんです。
ホント、オレの自慢だったな。
なのになかなか上忍試験を受けたがらなくて、散々周りを心配させたんですよ。だから、コイツがカカシさんと
一緒に遜色なく任務をこなしている姿を見ると、オレ、感慨無量なんです。今度の前線でも手柄立てたようで
すしね。」

イルカが肩越しに、アタシを見ている。そうしてイルカはアタシを背中に貼り付かせたまま、やおら居住まいを
正すと手をついて、カカシに深々と頭を下げた。


「カカシさん、これからも同じ上忍仲間として、シズクをどうぞよろしくお願いします。」


込み上げてくる涙を、必死になってこらえた。これがアタシの惚れた、イルカって男だ。いつだって暖かくて優
しくて、人の世話ばかり焼いて、__自分のことは後回し。たとえ自分が貧乏クジを引いたとしても、絶対に
他人を僻んだりしない。
だからこそ、アタシはそんなアンタが大好き。アタシは今大声で宣言できる。イルカ、アタシは絶対アンタを世
界一幸せにしてみせる。


「・・・まぁ、イルカ先生のお望みとあらば、出来るだけ善処しますけどね。」


カカシが頭を掻きながら、俯いて答えている。
イルカはカカシに酌をしながら突然くだけた調子で笑いかけた。


「実はシズクはオレの友達の中でも一番の出世頭なんですよ。だからカカシさんに面倒みてもらって、いつま
でも自慢のタネにしようと思いまして。」

「アハハ、ついでにたかってやるといいですよ、高給取りなんですから。今度の任務でもかなりの報奨金掴ん
だんじゃないですか?ついでにここのお代も持たせましょうか。」

それもいいですねー、とイルカがカカシの軽口にあわせる。男二人は同時に笑い声を上げた。


ウッ・・・、と、友達か・・・。
さっきまでイルカの言葉に舞い上がってたアタシは、急に冷水を被った気分になった。
仕方ない、アタシはまだイルカに何も告げていない。イルカの認識に変化がないのは当たり前だ。
__まぁそれもじきに終わる。絶対今夜中に単なる幼馴染みから、唯一無二の恋人へと変わってみせる。で
も今のところはまだもう少し、つぶれたフリをしていよう。
固い決意も新たにイルカの背に凭れたまま、モゴモゴと呟いて目を閉じた。





「いーるーかーあぁー、もうだめぇぇ。あるけないぃー」

ふらつく足も絡む腕も、全て計算し尽くした酔っぱらいパフォーマンスでイルカにしがみつく。勘定を済ませ店
の外に出てきたイルカを逃すまいと、自然を装いつつ必死でその首にぶら下がった。

「なんだよ、一体どうしちゃったんだよ。お前こんなになることめったにないのになぁ・・・」

「いーやーだー、いるかぁ、おねがいだからぁ、おくってってぇ」

イルカの首筋に顔を埋めてグリグリと押しつける。イルカは呆れた様子でアタシを見下ろしながらも、アタシの
腕を自分の肩に廻してくれた。

「・・・まったく、お前はもう上忍なんだぞ?もうちょっとしっかりしろよ、こんなとこばっかり子供なんだからなぁ。
おい、・・・・大丈夫か?このまま歩けるか?」

こんなにも触れあえる幸せにイルカの説教も右から左だ。ヨシヨシ、この調子、この調子。後はさっさとカカシと
おさらばして、イルカをアタシの部屋に連れ込むだけ。

含み笑いを悟られまいと顔を背けたその時、空いていた右腕を強い力で掴まれた。

「大丈夫ですよ、イルカ先生。鳴滝はオレが送っていきますよ、帰る方向が一緒ですしね。」


カカシに右の二の腕を掴まれていた。一瞬何が起こったのか理解できず、アタシは呆けた表情でカカシを見つ
めた。


「あっ・・・、そうか。カカシさんもシズクも、同じ・・・」

「そうそう、どうせ同じ上忍専用の独身寮なんですから、オレが連れて帰りますよ。イルカ先生明日も授業でし
ょ?疲れが残るといけないし、鳴滝はオレが引き受けますから安心してお帰り下さい。」


えぇぇぇぇっ、ちょっとまって、なにそれ!こんな展開、違うって!
慌ててカカシの手を振り払おうとすると異常なほどの怠さで体の自由が全く利かず、おまけに呂律も上手く回
らない。__どうやら、経絡のツボを突かれたらしい。

・・・コイツ、いったいどういうつもりで。

殺気を込めた視線を投げつけると、不気味なほど何の感情も浮かんでいない蒼い瞳とぶつかった。

「すみません、カカシさん。コイツいつもはザルなんですよ。潰れるなんてこと、めったにないんですけどねぇ。
多分任務の疲れもあるんだと思います。・・・じゃあお言葉に甘えて、お願いしてもいいですか?」

あぁぁぁ、待って、待ってイルカ!アタシを置いていかないで!叫びたいのに声すら出ない。どうぞどうぞ、ご心
配なさらず。カカシの声に押されてアタシの体を預けると、イルカは何度も振り返りつつ歩み去った。
そして、その姿が完全に見えなくなると__アタシの怒りは爆発した。



「ちょっとアンタっ!いったいどういうつもりっっ!!」

アタシの放った裏拳を右手の平で受け止めると、カカシは瞠目して呟いた。

「へぇー、点穴突いてんのにここまで動けるとはねぇ。ナルト並の馬鹿力だねこりゃ」

「なに訳のわかんないこと言ってんのよ!アンタ、アタシに何か恨みでもある訳!?さっきから邪魔ばっかりし
て、一体何の嫌がらせよ!?」

「ハハハ、恨みなんて、そんな物騒な。まぁお前は里に帰ってきたばかりでオレとイルカ先生の事情を知らな
いんだ、今後あの人に構わないんだったら何の文句もないよ。」

「事情!?アンタとイルカの?いったい何・・・」


言いかけたその時、アタシの脳裡に想像したくもない考えが浮かんだ。__まさか、まさかまさかまさか。


「お前、IQ200の天才くの一なんでしょうが?その割には頭の巡り悪いねぇ、鳴滝シズク上忍。」

アタシは拳を握り、きつく奥歯を噛み締めた。安い挑発に乗るな、こんな時は努めて冷静になれ。忍としての
長年の経験がアタシに囁く。

「一つ質問。」

「何」

「イルカは男で、アンタも男に見えるんだけど。」

「それが何。」

「アンタ、ホモだったの!?」

いや違う、アタシは同じ上忍仲間としてカカシの女出入りの激しさはイヤというほど知っている。けれどその中
に男がいたという話は聞いたことがなかった。

「あのねえ、男だ女だはどーでもいいの。オレが好きなのは『イルカ先生』なんだから。」

好き。__好きって、言ったのか。アタシの聞き間違いじゃなければ、カカシが、イルカを。
アタシはふらつく頭を押さえようと、額に手を当てた。

「ま、お前はイルカ先生の古い馴染みらしいし、今日のおいたはそれに免じて許してやるよ。だけど次はない
から、そこんとこよく憶えとくんだね。」

「・・・アンタ、いったいイルカに何してくれたの・・・」

呻くアタシを、カカシは人の悪い笑みで嘲笑った。

「んー、今のところはまだ何もしてないけどね、まぁ好き放題できる日もそう遠くない筈だし。
まぁ、これからは必要以上にあの人に近づかない方がお前の身の為だよ。わかった?おりこうさん。」


じゃあねー、と軽薄な口調で手を振った瞬間、カカシの姿は煙に包まれ消えていた。



ここまで言いたい放題言われたのも、アタシの人生史上かなり久しい。

__これはまるで宣戦布告と言うより、一方的な通告じゃないか。


衝撃から我に返ったアタシが怒りの雄叫びを上げたのは、それから暫く後のことだった。






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