メリーさんに初めて会ったのは、まだ僕が4歳が5歳の頃。
横須賀線の戸塚駅だったと思う、ホームを母親に連れられて歩いていた時。
全身真っ白の白装束、長い髪の毛も、痩せた顔もただもう真っ白け。
見た瞬間誰もが目を疑うに違いない、あまりに異様な出で立ち。
それから何度かメリーさんに会ったけど、いつでも同じ格好。
妖怪というものが在るとすれば、こんな人を言うのかもと子供の頃は思ってた。
ずっと後になって知ったのだがそれが「港のメリーさん」とか「白いメリーさん」
と呼ばれている人だった。
「港のメリー」さんは「口裂け女」のように都市伝説だと思っている人もいるけれど、
実在の人だし、多分横浜に住んでる人は一度くらい会った事があるって人多いと思う。
僕はメリーさんに会った事があるせいか、「口裂け女」というのも案外本当かもと
考えていて、小学校の帰り道をずっと誰にも会わないように走って帰ったりしてた。
いまから考えるとバカみたいだけど。
大人になって横浜で就職してからも何度かメリーさんを見かけました。
神奈川県庁や横浜市庁舎のロビーや地下鉄の駅で。
それからメリーさんの噂話を色々な人達から聞かされました。
曰く、メリーさんはずっと昔からあの格好をしていて、GI相手の娼婦をしていたこと。
もうかなりの歳なのに、いまだに(少し前だけど)道行く男に声を掛けたりしてること。
実はメリーさんは男で男娼なのだとか、
ひどいのになると、昔はあーゆう格好をしたひとが3人いて、
「メリー」、「マリー」、「クレメンタイン」と呼ばれていたとか・・・
噂はいいかげんで、どこまで本当かさっぱり判らないけど。
最後に見かけたのは、もう5年ぐらい前、横浜港郵便局のロビーに一人で座ってた。
高齢なせいか背中も大きく曲がってしまい、背も小さくなってた。
メリーさんはいつも一人だったように思う。
どこで見かけても一人、友達みたいな人はいたんだろうか?
人と違う格好や行動をすることは勇気や思いきりが必要だったりするけれど、
もしかしたら、人に合わせて、人の輪に入って行くのはもっと大変なことかも知れない。
人は誰かに受け入れられたり、許してもらえないと生きていけない気がするけど、
そのための格好や言葉を使うのをよしとしない人もいるのだろうな。
いま思い出したけど横浜にはもうひとり「羅漢さん」て有名な人もいたなぁ。
などと書いてると、また長くなりそうなので今日はここまで。(了)
バックナンバー 2000/7/4