からくりオルゴ−ル「山の仲間・アンサンブル」

 神戸市六甲山上にある ホ−ル・オブ・ホ−ルズ六甲の「オルゴ−ル・ア−ト作品大賞 2005 」に出品し「審査員特別賞」「ピ−プルズ賞」をいただいた作品「山の仲間・アンサンブル」です。
 2名 (装置製作・三松宣久、編曲・矢田部宏) による共同作品で、上部のからくり人形とその下に2台のオルゴ−ルを連結して2台の同期演奏を実現し、更にカ−ドの側面を利用してメロディに完全同期した4つの打楽器による演奏効果を加えた「からくりオルゴ−ル」です。
 「おもちゃの交響曲」「山の音楽家」の2曲があり、夫々2枚のカ−ドに編曲され、これを同時に演奏することにより1枚では演奏出来ない連打や二重奏的効果が得られます。
 見出しの画像はこの装置に更に半音手廻しカ−ド式オルゴ−ル「Organette 20」を追加し3台の同期演奏が出来るようにしたものです。
  BGMは「おもちゃの交響曲」(L.Mozart)です。
 上部のからくり人形です。
 前部にドイツ民謡「山の音楽家」の仲間達を配し、ウサギがピアノ、コトリがフル−ト、コリスガバイオリン、タヌキが太鼓を、そしてフクロウが指揮をとります。
 後部ではゾウがトライアングル、ライオンが鈴、クマがカスタネット、サルがでんでん太鼓を叩きます。これらの打楽器はカ−ドのサイドにパンチされた信号によりメロディに同期して演奏されます。
 そして木の上ではコトリが楽しそうに踊ります。
 2台の手廻しカ−ド式オルゴ−ル「Organette 20」 による「おもちゃの交響曲」の演奏です。
 2枚のカ−ドによる同期演奏と4台の打楽器の効果音により楽しいアンサンブルが演奏出来ます。 上部のカ−ドによりトライアングルと鈴を、下部カ−ドによりカスタネットとでんでん太鼓を叩きます。
 従来は7.5mm以下の間隔の速い記譜は無効でしたが、この装置により上下のカ−ドに分けることにより7.5mm以下の連打が可能となり、速い曲が 演奏出来、カ−ドの長さも短くすることが出来ます。
 但しこの「Organette 20」 のカ−ドを送る原理から考えてハンドルの回転は完全に同期していますが、カ−ドの送られる量は 多少バラツキがあり、カ−ドが長くなると終わりの方で少しズレが出てきます。カ−ドの長さが1m位でしたら無視出来ますが、2mぐらいになりますと少しズレが大きくなります。これは結果的に良い効果として現れる場合もあります。
 3台の「Organette 20」 によるによる演奏です。 夫々共鳴箱にセットされタイミングベルトで連結されています。
 出品作品に更に半音のOrganette 20 1台追加し、3台による同期演奏が可能となりました。上2台は通常の平均律のもの、下段は半音構成に調律したもので、ビアノなどの鍵盤と同じ配置になっており、これによりハ長調に編曲する必要がなくなり原調での演奏も可能となりました。ただし半音の連打は無理ですからそれなりの編曲が必要です。
 この装置により二重奏や連弾など色々な応用が考えられますが、単に同じ2枚のカ−ドを演奏しても迫力のある演奏が楽しめます。
 3枚のカ−ドになりますのでカ−ドの送りのバラツキの影響が2枚よりは増えますが、1m程度であれば無視出来ます。 カ−ドの送りのバラツキの原因は色々ありますが 「 Organette 20 」の個体による差が最も大きいようです。
 演奏の様子は「山の仲間・アンサンブル」アニメ−ション をご覧下さい。
 今回の出品作品に使用した「山の音楽家」のカ−ドの一部です。
 この2枚のカ−ドによるアンサンブルになっており、更にカ−ドのサイドに効果音のためのパンチがあります。音譜の長さによりパンチの長さを変えています。自作の専用工具で簡単にパンチ出来ます。
 このパンチにマイクロスイッチのロ−ラ−が噛み合うことによりメロディに同期した信号を取り、モ−タやマグネットにより 打楽器を叩きます。 スタ−ホイルとマイクロスイッチの位置がズレていますので、その差分だけ前方にパンチします。
  
 マイクロスイッチとカ−ドの噛み合う様子です。
 カ−ドに負荷がかからないようロ−ラ−レバ−のバネ圧の最も弱いマイクロスイッチを 使用しています。
 3枚のカ−ドのスタ−ト位置を合わせるための矢印です。
 合わせる位置はカ−ドの夫々の小節の任意の位置で可能です。正確に合わせるために照明灯が付けてあります。
 3台の「Organette 20」 の同期演奏のための連結装置です。
 タイミングペルト、タイミングプ−リ−を使用し、位置合わせのために クラッチ機構になっています。
 右の蝶ネジを緩めることにより、ハンドルとタイミングプ−リ−がスム−スに別々に回転します。カ−ドのスタ−ト位置を合わせて 蝶ネジを締めてロックします。  
 クラッチ機構の部品です。
 3台のカ−ドの位置を正確に合わせるには 「Organette 20」 のハンドルとタイミングプ−リ−が スム−スにスリップし、かつ簡単に確実にロックされることが必要です。大切なハンドルを残すために工夫が必要で、その結果 このような構造になりました。夫々セットネジにより固定します。
 中間部の固定プ−リ−です。
 3台の 「Organette 20」 のカ−ドの位置合わせには2台にクラッチ機構が必要で、中間の1台は固定プ−リ−となります。 2本のタイミングベルトを架けるために幅広のタイミングプ−リ−が必要です。
 演奏は3台の内のどのハンドルを回しても同じですから一番回し易い位置のものを選びます。
 手前の橙色のベルトはからくり人形を動かすためのウレタンゴムベルトです。
 からくり人形の「山の音楽家」の仲間達を動かす機構です。
 単なるカムとテコの組み合わせで、 回転軸やロ−ラ−にはボ−ルベアリングを使用し軽く動くようにしてあります。
 打楽器部を動かしている機構です。
 マイクロモ−タ、ギヤ−、クランクの組み合わせと、カスタネットにはマグネットを使用しています。 これらの装置を動かすために24V直流電源装置を使用しました。
 これらの装置は騒音、振動を発し、共鳴箱で拡大され演奏の障害となるため、打楽器部分全体を防振ゴムで支え、更に個々の部品も 防振ゴムで固定されており、二重の防振構造になっています。ほとんどの部品は中古品や廃物利用です。
 からくり部を分離し「3台同期演奏オルゴ−ル」として改造・製作しました。
 2台の共鳴箱に、標準タイプ2台、半音タイプ1台の合計 3台の「Organette 20」をタイミングベルトで連結し、連打・半音に対応できるオルゴ−ルです。

「山の仲間・アンサンブル」アニメ−ション

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