東海覇王伝 登場人物紹介


【崇軍】
崇雄子(すう・ゆうず)
崇高にして偉大なる存在の意。南東道・倉穴の街に住まう一介の辻占師だったが、魔術の府・六塔でその秘めたる才能を開花させ、のちに作り上げた魔具の力で倉穴を滅ぼし、たちまちのうちに南東道を統一。東海中央を支配する大帝国・久麗に侵攻する。
藩文竜(はん・ぶんりゅう)
西南道砂漠地帯の出身だが、部族間の政争に敗れ流れてきたところを崇に拾われた。戦略と知謀に長け、たちまち崇軍で頭角を現し将軍となる。完璧な勝利を求めるその戦略はときに冷酷。
鼠没鬼(そ・ぼつき)
半人半鼠の獣人。元は山賊だったが、その武力を聞き及んだ崇王に登用された。圧倒的な膂力で八十二斤の大鉞を振るい、近づく敵を皆薙ぎ倒す切り込み隊長。欲望の権化のようなその実像とは裏腹に、皆に偶像視される。
栄斗策(えい・とさく)
崇王の遠い親戚で、共に六塔で学んだ魔法使。一見書生風だが、空間を操る方術を得意とし、戦略眼もある。
古夢譚(こ・むたん)
崇軍の将軍。木武斗将軍の先輩に当たり、肝胆相通ずる仲である。
木武斗(もく・むとう)
崇軍の将軍。古夢譚将軍の後輩に当たり、肝胆相通ずる仲である。
武雷本(ぶ・らいぼん)
字は托塔(たくとう)。元は剣教会司祭だったが、戦を求め崇軍に部将として加わった。幅広の頭巾を被り、鉄球棍を振り回す猛将である。
神弐辺(じん・にへん)
浅黒い肌をした南方系の将軍。情報通で知られるが、体格がよく格闘も得意とする。
美蘭(び・らん)
一見すると優男だが、その実は血肉を好む残忍な人狼。知略にも長け、方術にも通じる。魔具・螺旋甲を持つ。
保明良(ほ・めいら)
年の頃十五、六の青い髪の美少女だが、崇雄子の魔導顧問団長を務める異才の魔女である。その思想は人間離れしており、異界からやってきた魔神の化身と噂される。傍らに奇怪な昆虫のような式神、冥音を連れている。
安陳冠(あん・ちんかん)
黒衣の少年僧の姿をした元亜空。武雷本将軍の側近となっているが、武術の腕には相当な自負を持つ。
泉斗立(せん・とりつ)
身の丈五十尺の女巨人。
張魔王・斉東斎(さいとうさい)
西南道の左道使い。張魔王(ちょうまおう)と号し、体を巨大化させる妖術を使う。
方雨竜(ほう・うりゅう)
藩文竜配下の将軍。武骨で一本気な漢。
司空奉(しくう・ほう)
草去庵(そうきょあん)の号を持つ、魔導顧問の一。
浄慈(じょう・じ)
藩文竜配下の将軍。
須原(しゅ・げん)
東洲先生と呼ばれる、魔導顧問にして将軍。鉞と槍斧を操る。
崇霊子(すう・れいす)
名は魯普天(ろ・ふてん)。崇雄子と栄斗策の六塔時代の魔具師範。崇に招かれ、崇軍の魔具司となる。
無血牙(むけつ・が)
西域の導師。角烏の町で辻占をしていたところを、崇雄子に請われて崇軍の軍師となり、後に東海帝国の宰相となる。
金覇玉(きん・はぎょく)
悪魔・罵門に仕える妖術師。美蘭とかつて真珠口の地で争い、破れてその配下となった。
毛美悠(もう・びゆう)
入師糸出身の武人。美男で腕も立つ。
扁導齢(へん・どうれい)
武雷本の内陣の武士。丸々と肥えた巨漢で、不齢導とは義兄弟。
不齢導(ふ・れいどう)
武雷本の内陣の武士。鋭角的な細身の男で、扁導齢とは義兄弟。
呉白(ご・はく)
須原配下の方術士で火炎の術に長け、火の呉白と呼ばれる。
土遁牙(どとん・が)
武雷本の内陣の武士で、鬼人。魔具・猛攻槌を持ち、秘技・血荒猛攻槌を使う。
武蓮(ぶ・れん)
浄慈将軍の実兄に当たる将軍。刀の達人で、遊天斎と号する。
飛鵡良(ひ・ぶりょう)
武蓮の副官。那智流抜刀術の使い手で、決死抜刀隊を率いる。
桐沙(とう・しゃ)
江道出身の魔女。武蓮付きの魔導顧問で、妖鳥・鵞王主を召喚する。
索真(さく・しん)
武蓮の副官で、西域出身の蟷螂人。格技に長ける。
雛酒虎(すう・しゅこ)
西南道に名を轟かせる剣豪。傭兵軍を率いて武蓮に着く。
富居(ふう・きょ)
伝説の剣豪《白夜》を騙る悪党。腕に覚えがあるとして《隼》に挑むが、返り討ちに合う。
方峰保(ほう・ほうほ)
江道の農夫出身。崇王の覇業を見守らんと崇軍に着くが、《神門》で《隼》に敗れる。
魔櫓(まろ)
自称《古流槍術》の使い手で、七十二斤の櫓を武器とする。《神門》で《隼》に敗れる。
清志呂(せい・しりょ)
六弦琴の魔具《炎野》を奏で、雷部の神の力を借りる呪術《六句》の使い手。
周夫霖(しゅう・ふうりん)
藩文竜配下の将軍。北方の魔具衆を束ねる首領。魔具《青雷刀》を持つ。
徐西風(じょ・せいふう)
藩文竜配下の将軍。南東道の波門の一族の頭首。
宝音(ほう・おん)
徐西風の部将。《野狗子》の二つ名を持つ。窟竜府北門にて亥戎に敗死。
馬開(ば・かい)
元久麗帝国巡察史の亜空で、崇軍に投じる。《絶刀》の二つ名を持つ。
剄雪(けい・せつ)
馬開の副官。左道使い。
有破(ゆう・は)
東海帝国大法官。
金久良(きん・きゅうりょう)
東海帝国左法官刑部書令。
申鳩嶺(しん・きゅうれい)
東海帝国右法官吏部書令。
聘保立(へい・ほりつ)
東海帝国大都察。
馬十郎(ば・じゅうろう)
東海帝国左都察直隷巡按。
回燃(かい・ねん)
東海帝国右都察四道巡按。
老馬頭(ろう・ばとう)
崇雄子が自ら招聘した将軍。西南道王左元帥に就任する。
于実太(うじつたい)
蛸のような頭部を持つ恐るべき魔人。毛郡の都、太紗をたった一人で壊滅させる。
上銀(じょう・ぎん)
《老馬頭七将軍》の一で、第七席の雄弁な書生風の青年。《無死子》の二つ名を持つ。
参東(さん・とう)
《老馬頭七将軍》の一で、第四席の化け物じみた風貌の巨漢。《覇道蕃虫》の二つ名を持つ。
大霊主(たいれいしゅ)
《老馬頭七将軍》の一で、第三席の、常に黒仮面と錆びた冠を着けた謎めいた男。老馬頭軍の中でも《悪夢の三人》の一人に数えられ、恐れられている。
賀琉(が・りゅう)
《老馬頭七将軍》の一で、第二席の、方術と剣術の双方に通じる多芸な将軍。《魔術王》の異名をとる。
羅禎等(ら・ていとう)
《老馬頭七将軍》の一で、第六席の、人を惑わす異能を持つ黒衣の魔人。人呼んで《無図迷》。
炎虎(えんこ)
人虎の間者。そそっかしいが憎めない男。
【久麗帝国】
王連力(おう・れんりき)
軍事大権を帝に与えられた大元帥。皇族の私兵である禁軍や、皇帝直隷の騎士団をも事実上掌握し、軍略家としても当代一と謳われる。その知略により崇軍を一度は破り、さらに決戦に挑むも、魔具・地神槍により絶命する。
久良碓(きゅう・りょうたい)
鍵の騎士団長。久麗皇族。丞相・久良山の弟。
上繰風(じょう・そうふう)
魂の騎士団長。帝国一の騎士と謳われる。魔剣・魂炎を持ち、一撃必殺の奥義・銀華炎を使うが、鼠没鬼と一騎討ちの末に殺される。
礼見(れい・けん)
目の騎士団長。騎士の出身ではないが、千里眼で未来を予知する。王大元帥がもっとも信頼を寄せる男。
陸羽(りく・う)
西域・地竜族出身の第一軍団長。六尺六寸・七十七斤の大剣を振るう武芸の腕は勿論のこと、情に深く義に厚い武人の鑑。
那有(な・ゆう)
短躯の第二軍団長。真面目で短気。
阿鳥(あ・ちょう)
第三軍団長。遊び人風の言動には周囲からも反感を買っているが、その剣技と指揮力は群を抜く。
暮薄(ぼ・はく)
第五軍団長。まだ若いが、将来が有望視されている逸材。飛虎山と行動を共にする。
飛虎山(ひ・こざん)
大元帥付参謀。二十代の若さで王連力の補佐を務める秀才。生真面目すぎるのが短所。帝都を放棄すべしと主張するが、容れられず下野。
礼未朱(れい・みしゅ)
礼見の娘。才色兼備で剣の腕も立つ若き才媛。
来波(らい・は)
礼見の副官。紅の騎士鎧に身を固め、「紅の来波」と呼ばれる。香浦とは義兄弟。
香浦(こう・ほ)
礼見の副官。来波の義兄弟。
久良山(きゅう・りょうざん)
久麗帝国丞相。鍵の騎士団長・久良碓の兄。
久嬰我(きゅう・えいが)
近衛禁軍総督。大元帥・王連力に比肩する実力者。幻刀・鳳凰を持ち、武芸の腕も上繰風と並び称せられる。帝都防衛戦を指揮するが、魔具・熱核杖の前に敗れる。
久里秀(きゅう・りしゅう)
今上帝の姪にあたる内府(皇帝に近い女の皇族のこと)。皇太子に次いで、皇位継承第二位。飛虎山に賛同し、内府禁軍を伴い下野する。
久喜先(きゅう・きせん)
唐院県知事。六塔で幻術を修めた久麗皇族唯一の導師。崇軍を恐れ、頼ってきた今上帝を殺して降伏する。
永理流(えい・りりゅう)
霊里州総督。常冬の氷瀑城を居城とし、氷の理流の異名をとる強大な方術士。氷の山や吹雪により崇軍を立ち往生させる。
李茶堂(り・さどう)
久麗商人。神洲牙龍飯店なる豪勢な温泉宿場を営む豪商。武雷本に協力する。
【越司】
富友良(ふ・ゆうら)
越司大総理。院宮峰民会議長と同市総理を併せて二十年間務めた老練の大政治家。
虞理鵬(ぐ・りほう)
智勇に長ける陸軍司令長官。元亜空であり、亜空衆でも名高い使い手だった。
那多(なだ)
神秘的な雰囲気を漂わせる美女で、虞の参謀。優れた卜占で越司軍を導く。
蛮醜大(ばん・しゅうたい)
越司第一軍団を率いる傭兵将軍。指揮に優れる。
干律馮(ひ・りつふう)
越司第一軍団の副将。若くして王連力の兵法に通じ、人望も厚い。
景霖敢(けい・りんかん)
連合艦隊司令長官。
段虞麟(だん・ぐりん)
越司の大富豪。私設の陸軍・護衛艦隊を持ち、その財力は一国を動かすほどである。
黄水竜(こう・すいりゅう)
賦与者と称する異能の使い手。賦与者の集団「裁音」を率い、抑圧された同志の解放を掲げる。
尉伴風(い・ばんふう)
黄の一の配下。凄まじい凶眼を持つ。
胡織(こ・しょく)
越司内務長官。朱漕市民保護のため、武雷本と降伏の交渉を行うが、激怒した武に惨殺される。
梅華任(ばい・かとう)
越司商務長官。胡織とともに武雷本に降り、朱漕府臨時総督に任ぜられ、後に東海帝国商務書令となる。
弟文谷(てい・ぶんこく)
越司商人。東海帝国に協力し、明志と座を組む。
明志(めい・し)
越司商人。東海帝国に協力し、弟文谷と座を組む。
【東北道】
曹一(そう・いつ)
彩国国司。武雷本に降伏する。
中嶼王(ちゅうしょおう)
新王宮・梅羽守(ばいはしゅ)を鎮護する東北道王。
成嘉幸(せい・かこう)
弓の名手。旧王宮の北、三谷原の出身。
六胡狼王(ろっころうおう)
道佛王国国王。
揺豹(よう・ひょう)
かつて江道の黒豹と呼ばれた、南海・江道の出身の獣の民。二つ名のとおり黒豹に変ずる。
王鈴(おう・りん)
人狼族の娘将軍。
羅右(ら・う)
四城山を根城とする豺狼族の若き族長。
元二(げん・じ)
木樵の青年。
馬捨入(ば・しゃにゅう)
道佛の将軍。人狼族。
藍道品(らん・どうひん)
人狼族の勇士。六星剣《ラル・ドーン》を持つ。
【北西道】
黒牙(こくが)
《窟竜府》を支配する黒社会《鉄牙会》の総帥。六塔師範を上回る方術を使うという。
《隼》(はやぶさ)
かつて《剣教会》の序列第二位だった剣士。わけあって《鉄牙会》の食客となっている。
黒武(こく・ぶ)
《鉄牙会》副長。黒牙の信頼が厚く、会務の一切を取り仕切る。
華院(か・いん)
黒牙の付き人の少年。
老図(ろう・ず)
盲目の男。《鉄牙会》の最精鋭《一の牙》の一員。
武能(ぶ・のう)
浅黒い肌をした《一の牙》の好漢。合わせて百二十斤の鉄鎖を使う。
朱令托(しゅ・れいた)
特級討魔師の位を持つ《一の牙》の一員。魔糸を自在に操る《操糸術》の使い手。
曾西(そう・せい)
常に竪琴を持つ楽士。舞楽を愛する《一の牙》きっての伊達男。
板任璃(ばん・にんり)
《一の牙》の紅一点で、当代一の美人とも言われる蛾眉。
亥戎(い・じゅう)
《一の牙》を束ねる筆頭。老練な武人で、《魔将》の二つ名を持つ。
【西南道】
呉武林(ご・ぶりん)
西南道王を名乗る群雄の一人。縫禅を拠点とし、徳が高い。
白名位(はく・めいい)
呉武林配下の金城総兵。無能な男。
杜久側(と・きゅうそく)
呉に仕える賢人にして、西南道随一の術士。戊尾犬という式神を持つ。
溥合大(ふ・ごうたい)
案山子のような風貌だが、王者の風格を漂わせる諸侯。呉王の盟友。
李威(り・い)
呉王配下の銀庭城主。徳高く名君と言われる。
凱碓(がい・たい)
銀庭城の守将。
班杯寿(はん・はいじゅ)
李威公の執事。
劉衛(りゅう・えい)
李威公に仕える若き軍師。
黎蛇鳴(れい・だめい)
《奈落将軍》の二つ名を持つ冷酷非道な豪族。地界の陰気を奉じ、毘沙州に数万の軍勢を擁するが、老馬頭軍に敗れ死す。
宮水寧(きゅう・すいねい)
黎蛇鳴の参謀。方術の心得があり、風水を得意とする。老馬頭軍に捕らえられ斬首される。
大玉氏(だいぎょく)
廃都・紅夢を根城とし、西南道王を名乗る悪党。
漠熊(ばく・ゆう)
大玉氏の四将軍の一、東将。錬手林派の武術を極めた達人。炎虎と格闘を繰り広げる。
王九(おう・きゅう)
大玉氏の四将軍の一、南将。短躯で醜悪な豚のような男。賀琉の奸計に落ち死す。
甫武(ほ・ぶ)
大玉氏の四将軍の一、西将。日和見主義。
向彫土(こう・ちょうど)
大玉氏の四将軍の一、北将。数だけ多い雑兵を任されていたが、賀琉に蹴散らされる。
【西域】
禅公(ぜん)
覇嵐邪公。強大な方術士であり、方術により国を治める。
【その他】
馬宇(ば・う)
律瀬村の長老。
権八路(けん・はちろ)
天界から降りてきたという花精。律瀬村を悩ませるが、阿鳥に成敗される。
道龍(どう・りゅう)
《千里灯》の二つ名を持つ太紗の総監。方術を極め、深い知恵を持つ老賢人。
韋邦(い・ほう)
検卿の位を持つ太紗の貴族。剣と方術の双方に通じる清廉な人物。
化玉州(か・ぎょくしゅう)
《死に損ない》の化州と呼ばれる貿易公司の艇長。
李応(り・おう)
貿易公司の情報機関員。化玉州の元部下で、昼行灯だが実はずば抜けた情報力を持つ。


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