155に搭載されたエンジン(4)
(4)はスーパーファイア以前のフィアット系エンジンです。。
1.8L DOHC(155搭載:1992-1993?)
エンジン形式:-
排気量:1756cc(84.0mm×79.2mm)
最大出力:105HP(EEC)/6000rpm
最大トルク:-
最高速度:189km/h

フィアットの1.8Lツインカムが155デビュー当初の僅かな間ラインナップされていたようで、おそらく1993デビューの1.7Lツインスパークまでの繋ぎであったと思われます。最廉価版として存在価値があったと思われますが、製造台数は僅か1000両余りのようです。ある意味もっとも希少な量産155ですね。

2.0L 16V TURBO (155搭載:1992-1997)
エンジン形式:67203
排気量:1995cc(84.0mm×90.0mm)
最大出力:186HP(EEC)/6000rpm
最大トルク:29.9kgfm(EEC)/2500rpm
最高速度:225km/h

御存じ、Q4用フィアット系ツインカムターボです。この84.0mm×90.0mmのフィアット鋳鉄ブロックがアルファ車に積まれたのは実は155がはじめてではなく164で既に搭載されています。そのあたりも含めてこのツインカムターボユニットの変遷を簡単に…(インテグラーレな方々からの突っ込みが怖い^^;)

このフィアット伝統の84.0mm×90.0mm1995ccツインカムエンジンにターボが組み合わされたのは、1984年ランチア・テーマ登場時になると思います。テーマ搭載にあたり8バルブヘッドにNA版と同様、偶力バランサーを設け、オーバーブースト機構ももったターボ版は165psを発生していました。

翌年、1985年にはフィアット・クロマの登場にあわせ同車にも搭載されましたが、こちらはバランサーやオーバーブーストは省かれ153psとなっています。クロマのツインカムターボには最後までこの8Vヘッド版が搭載され続けられたようです。

1986年には、この系統のエンジン搭載車の代名詞ともなったといえるランチア・デルタに搭載されます。最初はデルタHF4WDにテーマ用8Vと同一仕様165psのものが搭載されています。

そして1987年にクロマ・テーマとプラットフォームを共用する164のデビューとともに他のイタリア製2車と同様この8Vツインカムターボが搭載されます。これはテーマともクロマとも異なるもので、テーマ用をもとにオーバーブースト機構はそのままにバランサーを省略したもので、175psを発生していたようです。これが、フィアットブロックのアルファ車への搭載第一号になると思います。しかしその後、このフィアット製2Lを嫌ったためか1991年、164にはアルファV6の2Lターボモデルが追加されました。V6ターボが164終焉まで続いたのに対し、結局フィアット製4気筒ターボは1992年に164から姿を消しています。

同じ、1987年にはデルタHF INTEGRAREに搭載されました。このとき0.8bar/0.95barのオーバーブースト機構は廃止され、常時1.0barに引き上げられた結果、8Vで185psを発生しています。

1988年にはテーマ用に16V化され185psになりました。この16Vは、御存じの通りデルタ・インテグラーレで進化を続け、1989のデルタHF INTEGRALE16Vの200psからはじまり1992年のEVOLUTIONE Iで210ps、1993年のEVOLUTIONE IIでは215psに達しています。

一方テーマ用も途中(変更年不明)で、205psに引き上げられそのまま1995年にカッパに引き継がれています。

1991年、ランチア・デドラにターボとターボ・インテグラーレが追加され偶力バランサー付きターボが搭載されましたが、このとき既に16Vが存在していたにも関わらず何故か8V版が採用されました。しかもFWDの”ターボ”と4WDの”ターボ・インテグラーレ”ではチューンが異なり、それぞれ162ps、177psとなっていたようです。しかし、デドラのターボの寿命は非常に短く、ターボ、ターボ・インテグラーレとも翌1992年で姿を消しているようです。

さて、このような状況のなか1992年155登場時にフィアット2Lツインカムターボ搭載のQ4が登場しています。仕様としては偶力バランサー付き16Vで、185(190?)psですので、テーマ用16Vのオリジナルに近いもののようです。

これら各車に搭載されてきたこの系統のツインカムターボエンジンには、全く同じ数字をもったものがなかなか見つからず各車それぞれ専用仕様の感もなきにしもあらずです。155Q4用はアルファが手を入れたという言われ方をしますがあながち嘘ではないかもしれませんね。

155用にもっとも近そうなのは、テーマが16Vになったときのオリジナル16Vか、155と同じティーポ2/3シャーシの新デルタ(強烈な旧デルタに比べあまりにも影が薄くてどんなカタチだか思い出せない方もいらっしゃるでしょうが^^;)に積まれたものがありそうですが何れもまったく同じスペックではないようです。

この系統のエンジンは日本では、(当然、旧)デルタ・インテグラーレの印象が強く155Q4用もそのデチューン版という言われ方もされますが、これだけ多くの車種(上記登場車種以外ではクーペ・フィアットに195psも搭載)に搭載されてきたことを考えると、これは当時のフィアットの汎用高性能ユニットでインテグラーレ云々関係なく155の高出力バージョン用として当然の如く採用されたように見えます。

155への搭載は、1992年155デビューとともにはじまり同年コンペティション用GTAにも400psにも達するものが載せられたようです。Q4の終焉は、はっきりせず、1996年から97年にかけてフェードアウトしていったかのようです。この155Q4、しばしばデルタと比較され出力が低めなことを指摘されますが、手許の資料を比べる限り最高速はデルタの215km/hに対し155は220km/hと155の方が優れるようです。

●1.9L TURBO DIESEL (155搭載:1993-1998)
エンジン形式:67501
排気量:1929cc(82.6mm×90.0mm)
最大出力:90HP(EEC)/4200rpm
最大トルク:19kgfm(EEC)/2400rpm
最高速度:180km/h

このエンジンは、フィアットの1995ccエンジンのブロックをもとにディーゼル用としたもので、フィアット及びランチア車にも広く使われていたフィアット製4気筒SOHCインタークーラー付きディーゼルターボです。ディーゼルの高い圧縮比に対応するためのようですが、ボアはガソリン用84.0mmから82.6mmに縮小され、結果1929ccの1.9Lになっています。このディーゼルターボには、直噴もあるようですが155のものは違うようです。

155には155デビューの翌年1993年から搭載され156デビュー後も残り1998年までラインナップされていたようです。また途中1996年からキャタライザー付き(?)バージョンに小変更されているようです。

155とこのエンジンを共用していたクルマは、先ずアルファでは145/146があります。またアルファ以外では、フィアット・ティーポ、テムプラ、ランチア・デドラ、(新)デルタとティーポ2/3の仲間達の名前が並びます。他には、フィアット・クロマにも搭載されたようですが、こちらは直噴バージョンだったようです。

因みにアルファなどの車種のグレードにTDとつくのはご想像の通りターボ・ディーゼルですが、TBはターボ・ベンジーナで、ベンジーナとはガソリンのこと、つまりガソリンターボの意味だそうです。UROでは無いようです…って私は、半分そう思ってました^^;(155V6の給油口の蓋の裏にも「95オクタン以上のガソリンを使用のこと」みたいな注意書きがありますがそこにもベンジーナ(BENZINAだったかな?)という単語が出てきてます。)