155に搭載されたエンジン(3)
(3)は8Vツインスパーク以外のアルファの流れを汲むエンジンです。

2.5L V6 (155搭載:1992-1997)
エンジン形式:67301
排気量:2492cc(88.0mm×68.3mm)
最大出力:165HP(EEC)/5800rpm
最大トルク:22.0kgfm(EEC)/4500rpm
最高速度:215km/h

このホームページの主題のひとつですので、詳しくは別項をご参照ください。この2.5LV6は、155登場当初の92年から1.8L・2.0Lの各8Vツインスパーク、2.0L16Vターボとともにラインナップされていました。登場当初はTS系と同様の平板グリルをもっていたようですので、彫の深いスポーティなグリルを最初からもっていたQ4より、よりおとなしいTS寄りのポジショニングだったようです。

因みに、V6日本導入がマイナーチェンジと同時期からはじまったためか、155自体へのV6導入を1995年〜としている雑誌の記事を見ることがありますが(もっとも流石に最近はこの誤記事はあまり見ませんが…)ご承知の通り当然誤りですね。

155V6は本国イタリアでは、156登場直前97年9月現在では既にラインナップから外されていたようですが、フランスでは97年式まで存在しているようです。このことから9月を待たずに97年のどこかで、欧州では一斉にカタログから落ちたとするのが自然かもしれません。

おそらく新車で最後まで販売が続いたのは、98年に最終バージョン追加まで行っていた日本ではないでしょうか?

このエンジンと同排気量・同ヘッドのエンジンを搭載していた車輛は数多ありますが、「燃料供給方式」や「FF用」という意味、「同時代に」という意味では共用相手はなく155専用エンジンとしていいと思います。

●2.5L TURBO DIESEL (155搭載:1993-1997)
エンジン形式:VM 07B
排気量:2500cc(92.0mm×94.0mm)
最大出力:125HP(EEC)/4200rpm
最大トルク:30.0kgfm(EEC)/2000rpm
最高速度:195km/h

後述1.9Lディーゼルはフィアット製ですがこの2.5Lディーゼルは、VM社製です。VM社は、アルファロメオと同じく産業公社管理下にあったエンジンメーカー(?)のようで、アルファが産業公社管理下にあった時代から結びつきがあり、フィアット傘下になる前のアルファ車にも同社のディーゼルエンジンが積まれていたようです。

その流れからフィアット傘下に入ったあとのアルファ、155にもVM社製のディーゼルが積まれることになったようです。V6を載せるためにフロント部のコアサポートが他のティーポ2/3より伸ばされていたためこの比較的大型な2.5Lのディーゼルを搭載することができたようです。

この2.5Lエンジンは4気筒ターボエンジンで、大型ディーゼルに順じた本格的な設計となっているようです。ヘッドは熱歪みを避けるために各気筒で独立しており、そのためヘッドを貫通するカムを設けていません。そうなんです、このエンジンはOHVなんです。

155には、OHV・SOHCターンフロー2バルブ・SOHCクロスフロー2バルブ・DOHC2バルブ・DOHC4バルブと、実に多様なヘッド形式をもったエンジンが搭載されていたということになりますね。

また、クランクケースはトンネル・ブロックと呼ばれるもので、クランクシャフトは、先ず上下に分かれるドーナッツ型ベアリングで挟まれクランク軸とベアリングとで1本の棒状になります(ベアリングの外周とクランク軸の錘がほぼ同じ円弧から成る)。この状態で、ブロックのトンネル状に穴の開いた一端よりに差し込まれるという構造のようです。

この「各気筒独立ヘッド」と「トンネル・ブロック」がVMディーゼルの特徴のようです。目的は先に書いたよう、熱歪を避けることと、あと一つはサイズ展開のようです。

155には、デビューの翌年93年からこのVM社製2.5Lディーゼルターボ搭載車が登場し、少なくとも97年9月まではランナップに含まれていました。フィアット1.9Lのディーゼルの方は98年式まで存在するようですが、この2.5の方は不明です。

これと同じエンジンは155の他に、同時期に164にも搭載されていました。因みにこのエンジン搭載車の最高速度は155では195km/hに、164では(何故か)202km/hに達していたようです。

2500と2499:
164の2.5Lディーゼル・ターボには、2500ccのものと2499ccのものが存在するようです。2499ccのボア・ストローク値が不明なのですが、違う値をもったものが存在するようです。155には2500ccのみが存在し、164も当初は2500ccでした。この2500ccは間違い無く上記VM製でしょう。164は途中92年から2499ccを載せはじめていますが、155は最初から最後まで2500cc版であったようです。

排気量以外、最高出力・その発生回転数等に差異は認められません。何が違うのか?また本当に別物なのか?…も不明ですが、明らかに164の2500ccと2499ccを分けて記述してある資料もあります。もし違うとしたら2499cc版がVM製か否かも不明ですが、フィアットなどにほかに該当エンジンもないので2500cc版となにかが違うとしてもVM製ではあると思います。

因みに上記最高速度で、164は2499cc版の値です。

追記:
フィアット系(?)に、2495ccとともに2499ccのディーゼルが存在している可能性が出てきました。これら2つの排気量のエンジンはクロマおよびテーマに搭載されていました。当初はNA版が2499cc、ターボ版が2495ccのようでしたが、NAが廃止されるとともにターボ版が2499ccになったようです。ややこしいことにこのクロマとテーマに積まれていた2499ccターボは更に途中で2500ccになったようです。(3排気量ともボア・ストローク不明)

一方アルファ系統のVM製2500ccは、90や75に積まれていた92.0mm×90.0mmの2392cc2.4Lディーゼルターボから発展したものなので、2495ccという排気量の系統とは別物だと思われます。

164は2500ccVM製から2499ccフィアット製(?)に変更されたのかもしれません。しかし途中フィアット製2499ccが2500ccになった時点では変更されず最後まで2499ccだったのかも…。

ここまで、VM製2.4L・2.5Lについてははっきりしていますが、フィアット系2.5Lディーゼルについては、そもそもそれがフィアット系であったのかも含めかなり不確定です。

155から話が逸れてしまいましたが、それに関して言えばいずれにせよ155の2.5Lディーゼル・ターボは最初から最後までVM製2500ccで、同エンジンはすくなくとも一時期164に積まれていたものと同一であったことは確かだと思います。。