ALFA V6エンジンとは(2)
ALFA V6エンジンとは…。アルファロメオV6というエンジンはV型エンジンとして、6気筒エンジンとしてどのようなものであったのか掘り下げていきたいと思います。

などと大きく構えましたが、実はいままでもやもやしていたことを自分の理解できる範囲で整理していこうかなと思っているだけですので、「何当たり前のこといってるんだ」ですとか「そんなこと今更…」と思われることが多々出てくるとは思います。先ずはそれにも笑ってお付き合いして下さることをお願いしておきたいと思います。

まず等間隔爆発とV型6気筒エンジンとの関係について考えていきたいと思います。よく雑誌などで、「V●エンジンは、バンク角が○度であれば等間隔爆発云々…」とか「バンク角が△度のV○エンジンは等間隔爆発にするために□度のオフセットクランクを…」など見られます。これっていったい何?を順を追って考えていくことにお付き合いください。

等間隔爆発とは、読んで字のごとく多気筒エンジンが一定回転数で回っているときに、各々のシリンダーの爆発が等間隔で起こるという意味でしょう。つまり6気筒の場合「バ・バン、バ・バン、バ・バン」とならず「バン・バン・バン・バン・バン・バン」となった方がスムーズに回るだろうということですね。(←「つまり」以降の方がわかり難い?^^;)

ここで、一応アルファV6エンジンについて考えておりますので、対象を四輪自動車で一般的に用いられているオットーサイクルのエンジンについて絞ります。オットーサイクルつまり「吸気・圧縮・膨張・排気」の4行程で1サイクルを終わるという中学の技術の時間で習うアレです。

オットーサイクルは上に示した通り4ストロークサイクルですので、クランク軸2回転で1サイクルを終えます。そして爆発が起こるということは、圧縮行程から膨張行程に移る瞬間、圧縮行程で圧縮された混合気に着火(具体的にはプラグの放電)することによって発生します。
さて、あるシリンダーに着目しますと、このシリンダーで爆発が起こってから次の爆発が起こるまでの間というのは、圧縮行程から膨張行程に移ってから次の圧縮行程から膨張行程に移る間になり、つまり1サイクルの間隔になります(当たり前のことをだらだら書くと却ってわかりづらいですね。)「1サイクルの間隔」即ち「クランク軸2回転分」の間隔ですね。

ではまた条件を絞り6気筒エンジンとします。6気筒エンジンでは、あるひとつのシリンダーで爆発してから次に爆発するまでの間にほかの5つのシリンダーの爆発が等間隔で発生してくれれば、延々と等間隔爆発が続くはずです。「ひとつのシリンダーで爆発が発生してから次に爆発する間隔」=「クランク軸2回転分」=「クランク軸720度回転分」となります。720度のうちに6気筒の爆発を均等に入れるためには、
720度÷6=120度
となり、クランク軸が120度回転する毎に順番に各シリンダーのうちの1つづつに火をつけてやればよいことになります。

では、等間隔爆発のクランク角の関係は?まずは話を簡単にするために直列6気筒(L6)エンジンにして話を進めます。

まず言葉でお絵描きをします^^;。時計の文字盤を描いてみます(当然アナログの12時間計にしてください^^;)。そしてこれをエンジンの正面(背面)から見た方向としましょう。クランク軸の中心は時計の中心ということにしておきます。時計の中心を中心にぐるぐる時計方向に回っていることにしましょう。時計の中心から12時を結ぶ線をシリンダーの中心とします。つまりピストンは時計の中心から12時を結ぶ線に沿って上下しているというわけです。エンジンの正面から見てますので一番手前のシリンダーしか見えていませんが、その奥にも5つのシリンダーが並んで6気筒となっています。

では、取りあえず一番手前のシリンダーで爆発を起こさせます。爆発は圧縮行程から膨張行程に移る瞬間に起こりますので、近似的に上死点で起こさせましょう。時計の中心から12時を結ぶ線に沿ってピストンを一番高く上げるため「今」一番手前のシリンダー内のピストンの付け根は時計の中心から12時を結ぶ線に沿って一番高く上がっています。つまり「今」一番手前のシリンダーのピストンが繋がるクランクは真上を指していることになります。ではこのクランクの方向を示すために「今」の時計の中心から12時を結ぶ線の方向に1本線を引いておきます。

一番手前のシリンダーで爆発が起こりました。次に「どこか」のシリンダーで爆発が起こるのはクランク軸が120度回転した後です(等間隔爆発を発生させるために検討した結果です)。では、先ほどの絵の下に120度回転後のお絵描きをしたいと思います。先ほどと同様に時計の文字盤を描きます。先ほど一番手前のピストンのクランクの位置として目印を入れた線は、時計方向に120度回転しますので、4時の位置にきます。ではここにクランクが1つあるはずですので時計の中心から4時を結ぶ線に一本線をひいておきましょう。さてこの状態でも「どこかのシリンダーで爆発が起こる」=「12時の方向にどこかのクランクが伸びている」はずですのでこの状態の「中心から12時位置」に線を引いてクランクの目印とします。

では、その次の爆発。更に120度回転させた状態です。同じ時計の文字盤をまた描きます。一番最初のクランクは8時の位置に来るはずです。次のクランクは4時の位置。では中心から8時・4時の位置に向けて線を引いておきます。そしてここで、爆発を起こすシリンダ用にここでの12時位置にも一本。これで計3箇所のクランクの目印ができました。

さらに120度進めます。あれ?そうですね。最初に印をつけた位置が12時位置に再び戻ってきます。二重になりますがかまわずこの12時位置に4箇所めのクランクの目印をつけます。

これをあと2回繰り返します。すると結局12時位置・4時位置・8時位置にそれぞれ二重で計6箇所クランクの位置が印されることとなります。これがL6のクランクの配置です。

実際のL6の着火順序は#1→#5→#3→#6→#2→#4となるそうですので、先ほどの時計の絵で12時のひとつめを#1シリンダとすると8時のひとつめが#5、4時のひとつめが#3、12時のふたつめが#6、8時のふたつめが#2、4時のふたつめが#4となります。
つまり

12時…#1・#6
4時…#3・#4
8時…#5・#2

となり、シリンダー順に整理すると

#1…12時
#2…8時
#3…4時
#4…4時
#5…8時
#6…12時

となります。半時計まわりを角度の正方向とするとクランクは
#1→120度→#2→120度→#3→0度→#4→−120度→#5→−120度→#6
となる…と思います。よって正面からみると12時4時8時の3方向にクランクが伸びていますが実際には隣同士で同じ方向に伸びるところは3番と4番だけとなりこの間にも一般にはベアリングを置くので結局クランクは中心から6個所より伸びていく(投げられる)かたちになります。このL6のクランク形態を120度6スロー・クランクと呼ぶこともあるようです。

次は、V型エンジンとなった場合について考えていきたいと思います。