タイヤについて
こんな地下深くまでようこそ^^;
NSX用のA022は、表面上は、左右対称の顔を持っていますが、実は内部構造が左右非対称でした。

ラジアルタイヤはラジアル(半径)方向にテキスタイルのコードが入ったカーカスとよばれるよばれるゴム引き布(ではないですね。縦糸のみの布です)を主構造体にしています。ただしこれだけだと遠心力でコード間が広がってしまうので、箍(たが)に相当するもので押さえなければなりません。これが、ベルトとよばれるものでスチールやテキスタイルのコードをゴムでコーティングした部材でカーカスの頭(トレッド)の部分を巻き締めます。ベルトが桶の箍でしたら、半径(ラジアル)方向の木(カーカス)を円周方向の箍(コード)で締めることになりそうですが、実際のベルトのコードは20度前後の角度で入ってます。そしてこの斜めのコードを交差するように2枚のベルトを巻きつけるといった構造が一般的です。

NSXのA022は実は、このベルトの交差する向きが左用・右用で違っているのです。つまり、ある方向から見て、右用タイヤは下のベルトが左下から右上に向かってコードが入っていて上のベルトが右下から左上に向かってコードが入っていたとすると、左用タイヤは下のベルトが右下から左上に向かってコードが入っていて上のベルトが左下から右上に向かってコードが入っているといった具合です。つまり外から見るとパターンは左右対称であっても内部のベルトは左右対称にはならないのですね。そして、これを左用・右用に作り分けたのがNSX向けA022でした。このベルトの向きは、性能にかなり影響を与えるようです。

ところで、このA022は、実は市販のADVAN HF typeFと同じ顔を持っていますが、指定回転方向が逆なんですね。
(以下ただの戯言…Yの技術者とHの技術者の見解の相違…。ホントはA022=TYPE Fにして市販前のTYPE Fの前評判を高めたかったのがYの本音でしょう。さらにいうとHは当初Bと開発を進めていましたが、BとHとで意見が対立したことがきっかけで当初声もかからなかったYへの打診があったとかなかったとか…。そこからYとの話がすすみNSXデビュー当初Y100%装着が実現。しかし名誉の100%も勲章みたいなもので採算的には当初は足が出ていた…でもおそらくNSX自体も足が出ていたんでは?な〜んてことがあったりしたともいえないこともないかもしれないことも・・・。結局しばらくしてBもMも採用されましたけど。)

そういう意味では、パターンで確認できる方向性というのはそれほど重要ではないのでしょう。非対称方向性パターンのBSイーガーと似たパターンの構成要素をもったミシュランのGTXヴィラージュには方向性はないことになっていて左用・右用はありませんでした。ちょっと見ると不自然な気がしますが実際はこれでも問題はないんですね。方向性パターンの主な理由は排水性ですが、実際の排水の大部分はタイヤの前方に蹴り出される水が殆どで、次は踏面に入ってきて主溝を通って後ろに吐き出される水、枝溝から出て行く比率は低いらしいです。ですから、方向性による排水=枝溝の向きはそれほど重要ではないかもしれません。

それと比べると左右非対称パターンの主目的、排水を内側に任せ外側のブロック剛性を高める効果の方がまだ大きいようです。

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