【ヨウスケのアカデミック園芸ワールド】1月

2001.1.25(木)・・・素面?
 白い斑が印象的な植物です。Scindapsus pictus ‘Argyraeus’(サトイモ科)、和名を「シラフカズラ」といいます。素面カズラではありません。

 マレー半島、インドネシアに原生するS.pictusの斑入り種です。つる性で直上しますが、販売形態は吊り鉢が多いようです。葉が厚く肉厚で、葉裏は白緑色になっています。熱帯アジアに20種が分布しています。

 なお、気根を空中に垂らす登はん性の植物ということになっています(園芸上では)。


2001.1.23(火)・・・ベゴニアの原種
 今日はBegoniaです・・・が、原種です。冬に出回るBegoniaとして有名な「クリスマス・ベゴニア」の元となった親で、Begonia socotranaです。球根性のベゴニアで、クリスマス・ベゴニアは、B. socotrana×B. dregei(白)の交配でB. × cheimantha ‘Gloire de Lorraine’が誕生したのです。それが元になりどんどん派生していきました。そして現在に至るのです。

 画像の左はB. socotrana雄花で4弁花です。右は雌花で6弁花です。花の直径は5cmを超える大輪です。
 Begoniaの花序は、葉腋から花茎を出し、最上部の花が雌花になり、残りは雄花となります。B. socotranaは葉の形状から、「ハスノハベゴニア」という和名があります。フィルムの大きさと比べると一目瞭然ですね。
 B. socotranaの発見の経緯ですが、イギリスのエディンバラ植物園のI.B.Balfourが、1880年、アラビアのソコトラ島で発見し、1881年、イギリスのキュー植物園で培養したのが始まりといわれています。体細胞染色体数は2=28です。
【参考文献】
御園勇.ベゴニア.文化出版局:159
日本ベゴニア協会(1981).原色ベゴニア写真集.誠文堂新光社:102,171


2001.1.22(月)・・・つるつるツボ型
 赤くてツルツルした花を密に付け、とても美しいものです。Cestrum elegans(ナス科)です。メキシコ原生の常緑低木で、基部からよく分枝します。また、枝は垂れ下がりとても美しいものです。高さは1〜2mほどになります。

 Cestrum属(キチョウジ属)は、熱帯アメリカに約150種ほど分布する植物です。花は腋生で総状花です。この属でよく見かけるのは「夜香木(ヤコウボク)」・・・Cestrum nocturnumです。


2001.1.18(木)・・・開かない花
 一体これは何でしょう?学名だけは分かりました。Brachysema lanceolatum(マメ科)です。南西オーストラリアに8種が自生しているそうです。それだけしか分かりません。属名の「brachysema」とは「短い花の」種名の「lanceolatum」とは「披針形の」という意味です。

 それから・・・この赤いものが花なのですが・・・開きません。この状態のまま枯れます。閉鎖花というヤツですね。ということはこの花の花粉が風や昆虫によって運ばれ、交雑される可能性は少ないはずですね。種(しゅ)の維持のための仕組みでしょうか。

 葉は硬く紙質で、どことなくグミの葉に似ています。葉の裏は白い毛で覆われています。対生で蔓状です。


2001.1.17(水)・・・森進一!?いや、吉田拓郎か!?
 久しぶりの更新となりました。トップページの写真も入れ替えてみました。前回と同様にsucculent plantsを使った寄せ植えです。きっとあなたも虜になるでしょうネ。オシャレでしょ?

 さて今日から、私にもよくわからない植物がどんどん登場します(たぶんおそらくmayby)。ごく一部で流通している植物で、私も手がけるのは今回がはじめて、というものたちばかりです。ですから、なにか情報をお持ちの方は是非教えてください。よろしくお願いします。

 トップバッターは・・・♪エレ〜モの春ぅはぁ〜あぁあ〜っ何もぉ〜ないぃ〜春ですぅ〜♪というわけで、Eremophila(ハマジンチョウ科・・・Myoporaceae)です。オーストラリアからニュージーランドにかけて206種が分布する植物だそうです。薬として利用されることもあるそうですが・・・。

 こんな感じで・・・全く情報として不足な事ばかりな植物を紹介していきます。よろしくお願いいたします。


2001.1.7(日)・・・春の七草
 「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ、これぞ七草」と古くより謳われてきた春の七草。この七草を刻んで粥に入れて食べる七草粥は、正月行事の1つとして古代より伝えられてきました。
 春の七草の名前は現在の植物名とは必ずしも一致しません。【ゴギョウ】はハハコグサ【スズナ】はカブ【スズシロ】はダイコン【ハコベラ】はハコベ【ホトケノザ】はコオニタビラコです。ホトケノザに至っては同じ名前で属の異なるLamium(ヒオメオドリコソウなど)があり、非常にややこしくなっています。

 【セリOenanthe javanica・・・セリ科】【ナズナCapsella bursapastoris・・・アブラナ科】【ゴギョウGnaphalium affine・・・キク科】【ハコベStellaria media・・・ナデシコ科】【ホトケノザLapsana apogonoides ・・・キク科】【スズナBrassica campestris・・・アブラナ科】【スズシロRaphanus sativus・・・アブラナ科】 以上、学名で列挙してみましたが・・・どうでしょう?古代からの伝統も世界共通の名前で書くと・・・雰囲気が違いませんか?今年の七草粥は少し学術的になりましたか?


2001.1.5(金)・・・属間雑種
 属間雑種植物とは、読んで字のごとく異なる属同士の交雑により誕生した植物体のことです。例えば・・・ラン科植物のレリオカトレヤ(×Laeliocattleya)は、レリア(Laelia)とカトレア(Cattleya)の属間雑種ということになります。ちなみに、属間雑種、即ち人工的作られ、命名されたということで属名の前に「×」を記入します。詳しくは・・・学名表記についてのルールを参考にしてください。

 そして、これも属間雑種植物です。×Fatshedera lizei ‘Variegata’といいます。1910年、フランスでヤツデの品種である‘モセリ’(Fatsia japonica ‘Moseri’)とヘデラの品種である‘ヒベルニカ’(Hedera helix ‘Hibernica’)が交雑され(ともにウコギ科)、誕生しました。その後、1912年、リゼ商会(Lize)によって紹介され、1923年に正式に命名されました。

 この斑入りは昭和32年に日本に導入されました。常緑の小低木で、葉はヘデラに似ており、草姿はヤツデの血を受け継いでいる中間型を示します。耐陰性バッチリで、この株は・・・11月からほとんど日光の当たらない所に置いていましたが・・・この通り大丈夫です。素晴らしい植物ですね。耐寒性もあり、非常に優秀な子供といえます。生長は非常に緩慢ですがね・・・。


2001.1.3(水)・・・造花のような花。
 正月三ヶ日は今日までです。正月ボケも今日までです。忘れっぽいのはしょうがありませんが。

今日は、昨年12月に紹介したCorreaです。今回のものは前回の種とは異なるもので、Correa reflexa(ミカン科)といいます。

 こちらもオーストラリア原生の植物で赤と黄緑色の花のコントラストが印象的です。葉は対生で、雄蕊8本(葯は8つ)、雌蕊1本の合弁花です。雄蕊は4本が突出し、残りの4本は花弁の先端近くまでで、突出していません。葉は照葉でどことなくグミの葉に似ています。照葉ですが、なんとなくボコボコしています。


2001.1.2(火)・・・続いてアフリカ中南部。
 昨日に引き続きまして、アフリカ中南部の植物です。
Senecio mikanioides(キク科)は、German-Ivyの英名で流通している、つる性の多年草で、葉は互生しています。花の少ない冬季に黄色の花を咲かせ、当たり一面パンジーのような菜の花のような・・・なんとも言えない春らしい香りを漂わせます。この株は・・・外に放ったらかしにしていたので、葉の色が黄緑色になっていますが、暖かいところであれば濃緑色の非常に綺麗な色を保ちます。
Citation: Senecio L., Sp. Pl.: 866
Date: 1 Mai 1753
Type: S. vulgaris L.
Group: DICOTYLEDONES: COMPOSITAE


2001.1.1(月)・・・21世紀幕開けflower
 あけましてオメデトウございます。いよいよ21世紀の幕開けです。今年1年、ここを訪れる皆様にとりまして、私の発信する情報が役に立つものであって欲しいと願っておりまする。

 さて、21世紀幕開flowerは・・・Massonia longipes(ヒガンバナ科・・・ユリ科との見解もあり)です。8種が南アフリカの乾燥した大地に自生しています。右の白く放射状に突き出ているものは、葯を先端につけた雄蕊群です。花は約2週間ほど楽しむことが出来ます。夏に葉が枯れて休眠期に入り、秋になると新芽が出ます。夏場に水が当たると球根が腐ります。

 この画像は、おそらく同じ種なのでしょうが・・・上の画像はイボイボの葉ではありませんね。突然変異でしょうか?エコタイプでしょうか?
Citation: Massonia Thunb. ex Houtt., Nat. Hist. 2(12): 424
Date: 5 Jul 1780
Type: M. depressa Thunb. ex Houtt.
Group: MONOCOTYLEDONES: LILIACEAE