【第15回・学科一般 問9】

 大規模な大気の運動について述べた次の文章の空欄( )を埋めるものとして、下記の(1)〜(5)の中から正しいものを一つ選べ。

 北緯30度において、相対渦度0の気塊が北極まで移動した場合に持つ相対渦度の値は、地球の回転角速度の大きさをΩで表すと( )である。ただし、今考えているような大規模な運動では、近似的に次の絶対渦度の保存則が成り立つとする。

ζ + f = 一定

 ここでζ及びfはそれぞれ相対渦度の鉛直成分及び惑星渦度の鉛直成分(コリオリパラメーター)を表す。

(1) Ω/4  (2) Ω/2  (3) Ω  (4)   (5) -Ω/2

 

 

解説:

 

 相対渦度とコリオリパラメーター

 相対渦度は下のような式で定義されていますが、この問題ではこの式そのものは使いません。

 一方、コリオリパラメーターは下の式で表されます。

 f = 2Ωsinφ

Ωは地球自転の角速度(1秒間にどれだけの角度分だけ地球が回っているかを表す)、φは緯度です。

 

 絶対渦度保存則

 「北緯30度において、 ・・・ 北極まで移動」というのは、コリオリパラメーターを表す式 f = 2Ωsinφ で、φが30゜から90゜になったということです。
 問題文から、北緯30での相対渦度は0 です。北極(北緯90゜)での相対渦度をζ’と表すと、
絶対渦度(相対渦度とコリオリパラメーターの和)は緯度が変化してもつねに一定(
絶対渦度保存則)なのですから、

0 + 2Ωsin30゜ = ζ’ + 2Ωsin90゜ (= 一定)
30゜での絶対渦度   90゜での絶対渦度

という式で表せます。この式を整理していくと、

0 + 2Ω×(1/2) = ζ’ + 2Ω×1   ← sin30゜=1/2、 sin90゜=1

0 + Ω  =  ζ’ + 2Ω

ζ’ = -Ω

となります。

 

 答:(4)

 

 

【類題】 第6回-問7

 


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