【第13回・学科一般 問7】

 北半球の中緯度の大気中で、下図のように互いに気圧分布が等しい海上と陸上において、風が等圧線とそれぞれ30゜と45゜をなす方向に吹いている場合を考える。このとき、海上と陸上における風速の比(海上/陸上)として正しいものを、次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
 水平気圧傾度力、コリオリ力、摩擦力の三者は釣り合っており、摩擦力は風速に比例し逆方向に働くものとする。また、図の矢印は風向を示すもので、その長さと風速とは関係がない。

(1)

√3

(2)

√3/2

(3)

√6/3

(4)

√6/2

(5)

√6

  

 

解説:

 問題文中の「気圧分布が等しい海上と陸上」というように、同じ条件なら地表面のほうが水面よりも摩擦力が大きく働くために、海上と比べて陸上の風は弱くなります。また摩擦力によって海上と陸上とで風向も変わります。

 

気圧傾度力・コリオリ力・摩擦力の関係

 問題文中に「水平気圧傾度力、コリオリ力、摩擦力の三者は釣り合っており、摩擦力は風速に比例し逆方向に働くものとする」とあるように、これらの力の関係を作図しながら考えることは地上風を理解する上でたいへん重要です。

 コリオリ力と摩擦力の合力(下図の点線矢印)は気圧傾度力とつり合っています。

 

 

 

 

 

風速の計算

 コリオリ力は次の式で表されます。

f V = Pcosθ

 この式中の V が風速です。 V = P/ f cosθ 形に変形し、海上と陸上それぞれの風速を計算して比を求めればいいのですが、この問題ではコリオリパラメータ f の値は与えられていません。また、必要な数値が与えられていないので気圧傾度力 P も求められません。さて、どうすればいいのでしょうか。

 実はどちらの値も必要ありません。それはこの問題では風速の”値”ではなく、 海上/陸上 の風速の”比”を求めればいいからです。下のように計算をしていけばわかりますが、P と f は文字式のまま計算を進めていっても最終的に消えてしまいます。

 海上の風速: V = (Pcosθ)/ f = P/ f・cos30゜= √3/2・P/ f  ・・・ (1)式

 陸上の風速: V' = (Pcosθ')/ f = P/ f・cos45゜= 1/√2・P/ f = √2/2・P/ f  ・・・ (2)式

よって、(1)式/(2)式 より、

(海上の風速/陸上の風速)= (√3/2・P/ f)/(√2/2・P/ f)  ← P と f は分母分子で互いに消える

             = √3 / √2

             = √6 / 2   ← 分母を有理化した

 

 

 

 答:(4)   

 

【類題】 第13回-問8  


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